2016年09月21日 TOKYO MX 「モーニングCROSS 田中康夫 築地 豊洲 空理空論ではない「そもそも論」 豊洲移転ありきで始まった迷走の軌跡」

 

[堀潤]続いては田中さん、テーマの発表をお願い致します。

[田中康夫]はい。先程来、出ておりますが「築地 豊洲 空理空論ではない「そもそも論」」をですね、敢えて今日は語ろうと思います。

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[堀]ありがとうございます。

[宮瀬]築地市場の移転先となる豊洲市場の建物の下に都が4.5メートルの地下空間を設けたのは、専門家会議の提言以前に行われた検査で古い盛り土から環境基準超の有害化学物質が検出されたことがきっかけになった可能性があることが、読売新聞の取材で明らかになりました。盛り土をしても地下水とともに汚染物質が移動する恐れがあることがわかり、新たな汚染が見つかった場合に備え、当時の担当者が地下空間を考案したとみられています。

[堀]さあ、田中さん。

[田中]いや、だから、情報が共有されたり公開されないというのは勿論、論外なことなの。でも同時にね、空洞や盛り土がどうでしたかっていう「形式知」のお話ばっかり出てきているんだけれども、そもそも、あの場所を所有していたガス会社も市場に使うのは・・・と、後でお見せしますけど、難色を示した場所に、なんでわざわざよりにもよって移したんだっていう。

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出典:東京みなと館 写真でみる『豊洲埠頭―きのう・今日・あした』https://www.tokyoport.or.jp/43pdf_04.pdf

[田中]それは一体どういう経緯でなってきたのかっていうところをメディアも伝えてかないと。今の、盛り土か空洞、誰ですか?って大本のPL法の製造者責任でしょ。で、こちら見て頂くと分かるように、先程も申し上げたように豊洲に6000億円も既に費やしちゃってんですよ。ってことは新国立競技場の2個分、あれだけ高いと言われていた・・・。で、もう一個はね、元々、東京ガスが(2001年に)計った段階でベンゼンが、つまり発がん性物質が1500倍基準値にありますよと。シアンという青酸カリの一種が490倍ありますよと、あるいはヒ素ミルク事件を起こしたヒ素も49倍、水俣病を起こした水銀も24倍、六価クロムもこうですよって。でもその後、東京都が買った後(の2008年)に出てきたのがベンゼンが4万3000倍、シアンが930倍になっちゃったわけよ。

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[田中]で、ちょっとこちらをご覧頂こうと思います。で、それはそもそも的には、1999年の4月に石原慎太郎氏が知事になって、9月に市場を見て「狭い、古い、危ない」と。で、そうするとその後、2ヵ月後には移転をしましょうという方針が固まると。でもそれに対してね、元々所有していた東京ガスの場所、あの場所は約20年~30年以上に渡って一日あたり200万立方のガスを作ってたわけよ。で、それ何故かっていうと、今はもう、みんなLNGガスで船で持ってくるけど、マレーシアとかから。昔は石炭から作ってたでしょ。で、それで行っていた場所なわけですね。なので、東京ガスはその時どういう文書を出したかっていうと、2000年に東京都宛に「あの場所は工場跡地だから土壌処理や、もっと言えば下にずっと機械もあったんだからその撤去が必要ですよ」と。「大変な費用が掛かりますよ」と。そして「私たちとしてはあの場所はそういう形でない再開発をしようと思ってるので豊洲移転を、市場にするなどということは受け入れ難い」と。「同意できません」っていう文書を都に出してるんです。

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[堀]これ、東京ガスが仰ってる。

[田中]東京ガスが。だから非常に良心的にこれを出したわけ。

[堀]お薦めしませんよ知事と。

[田中]まあ、常識で考えてもそうでしょ。

[堀]そりゃそうだ。

[田中]ところが、これが2000年に出たのに2001年に移転を決定すると。で、その後には前回のオリンピック招致の時に、あの場所にメディアセンターの高層ビルを建てましょうと。

[堀]NHK新社屋移転問題もここに関わるんです。

[田中]と言ってたら、今冒頭で示したように4万3千倍の発がん性物質が検出されたと。で、2009年には、でも、2014年ですからもう2年前に開場してるって言ってるんだけど、その市場を決めましたと。で、小池さんが今こうなってると。で、石原さんが色々と迷走する発言をされてんだけど。

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[堀]そうですね。

[田中]でもそもそもで言うと、実は、鈴木俊一さんという知事がいたですね、旧自治官僚の。この人が1993年に築地の場所で再開発ではなくて、所謂、再整備をするという起工式を行ってるんです。

[堀]あっ、そうなんですか?!

[田中]はい。

[田中]で、ところが1995年に青島さんが、鈴木さんが考えた最後の世界都市博というのを中止しましたと。そうすると、あの場所をどうしましょうかという話で、築地の再整備の見直しというのが出てくるわけ。だから築地はなんと1996年に380億円を使って再整備を始めていたものを、あの場所では整備が出来ませんって話になってきちゃったの。でもね、大阪の市場というのがあって、大阪も中ノ島の一等地なんですけども、ここは15年掛けて現在地の場所で大阪の胃袋の場所を作りましょうと言って行ってるわけ。

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[田中]考えてみたら私たちだって秒単位で動いてる渋谷の鉄道と、あそこで百貨店も営業しながら再開発をするだけの技術が日本のゼネコンにあるわけでしょ。そうすると、環状2号線だって地下を通す、だから私は2007年くらいかな、参議院議員になった頃からあの場所はやっぱりフィッシャーマンズワーフのようにするべきじゃないですかと、サンフランシスコだったりボストンのように。そして場外市場も場内が無くなったら魅力半減なんだから、あの場所をきちんとレンガ建てのような、東京駅のような感じの建物にしてきましょうっつったんだけど、いや、それは都が考えることですって国はその時、僕が委員会で聞いても言ってたのね。

2008年3月27日参議院国土交通委員会 新党日本代表田中康夫参議院議員 - 築地移転問題に関する質疑

[堀]そうでしたか。

[田中]で、そういう具合になってきてしまったわけですよ。そうすると私達はこれ、どうしてけば良いのかっていうことだと思うのね。で、一個は、あそこまで出来ちゃって、多分、小池さんが、今日あたりの『女性自身』は、小池さんは晴海の場所で3000億円くらい使って再構築するんじゃないかみたいなことも言われてるけど、これが出てきた理由の一個ってのはここに僕はあると思うんですよ。つまり、1999年に卸売市場の法律が変わって、つまりあそこでね、今、セリをして売ってるのは、2007年の段階でも2割も無いんですよ。今やっぱり、大手の流通業者がいるので相対取引という形で、もう、伝票通すだけですという具合になって空洞化してきてしまってるわけ。

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[堀]昨日もちょっと触れましたけども、本当にもう、市場介さず直接、大手流通とのやり取りを。

[田中]で、同時に、ここにあるように仲卸しの人達、目利きの人達というのは半減してきているわけですよ。じゃあ市場を移すことで、今でっかい倉庫を作りましたっていう人達も含めて、もっとそういう、市場(いちば)というよりも市場(しじょう)の原理にしていく機会にしましょうってことだったと思うの。で、それはフランスでもレ・アールという、ポンピドー・センターがある場所、昔、あそこは1800年代から市場だった所を、オルリー空港の方に移して、でも結局、あそこはなんだか分かんない無機質なショッピング・センターみたいになっちゃったわけですよ。で、そうするともう一回、じゃあどうするのか。ただ、豊洲の場所を何に使うのかと。カジノに使ったら良いとか言ってる人もいるけど、これもまた都民が色々考えが出てくるだろうし、もう一方で言うと、やっぱり再生をしていく・・・。 モエレ沼公園というのが札幌の東区にあります。

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[田中]これは(彫刻家で造園家のイサム・ノグチが手掛けた)素晴らしい所で、元々、沼地と(廃棄物)処理場だった所を逆に公園にしてった。やっぱりこれからの私達が考える事はそういう再生っていうことだと思うんですよね。だから、今回言われてるのは数字で判断出来る「形式知」ばっかりで、高さがなんとかと言ってるんだけど、やっぱり私達、人間にあるのは「暗黙知」っていう数字で判断出来ないけど、これ良いのかな?っていうことじゃないですか。

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[堀]確かに。

[田中]で、それはやっぱり、あの場所は(カラオケや交番と並んで世界用語となったTSUKIJIという)文化かもしれない。歴史かもしれない。そうすると、石原さんがなんで鈴木さんの時に築地でやりましょうって言ったのを返すがえすも、海の男である人が変えちゃったのかなって。またそれを、なんでその時メディアも含めてあまり言わなかったのかなって。

[堀]もっともっとね、追求するべきだった。

[田中]それはあの23ヘクタールっていう、都心に残った最後の広大な1兆円にもなるかもしれない土地をどうするかみたいな。でもマネーロンダリング的発想で私達の・・・。アメリカの3倍、魚食べてる国ですからね、この国は。

[堀]実は、一部の市民グループなどが都を相手に訴訟を起こす等、既にね、してきたんですけどね。今まであまり大きく伝えられてこなかった部分もありました。ありがとうございました。

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