2018年2月13日 FM YOKOHAMA「たまらなく、AOR」 ロバータ・フラック特集Part2

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Fm yokohamaから今晩は。田中康夫です。


昨日から今日へと、
曜日はJST日本標準時で水曜日へ。
一つ、前に進みました。

今週も、ようこそ「たまらなく、AOR」の世界へ。

1970年代半ばから80年代、そして90年代の初頭まで。
私たち、一人ひとりが、光り輝いていた時代の音楽。AOR

それは、所謂「イデオロギー」とは無縁の、
都会的で、洗練された、しなやかなメッセージ。
慎み深いディーセントな誇りを抱いて、日々、
世の中と向き合い続ける貴方の1日の終わりに、
クワイエット・ストームな癒(いや)しを、届けてくれる
「たまらなく、アーベイン」な音色。

AOR
それは、セピア色になりかけていた私たちの記憶のアルバムに、
ささやかだけど、確かな息吹を与えてくれる勇気と希望のメロディー。
それぞれの楽曲を聴く度に、一つひとつの想い出が、ほのかに蘇ってきます。

私たち一人ひとりは微力かも知れない。でも、決して無力な訳じゃない。
今晩は。田中康夫です。
5千枚あまりのY’assyレコードコレクションの中から
選(よ)りすぐりの楽曲を、
ゆったりと、しっとりとお聴き頂く、「たまらなく、AOR」。

クワイエット・ストームな今夜のプレリュードとしてお掛けするのは、1969年、ロバータ・フラック The first time ever I saw your face。

M1.Roberta Flack - The First Time Ever I Saw Your Face 1969

1969年、ロバータ・フラック、The first time ever I saw your face。
この楽曲は1972年にクリント・イーストウッドが初めて映画の監督をし、その作品の中で用いられ、ヒットする曲です。ですので皆さんはまあ、70年代の楽曲と思われるかもしれませんが、大阪万博が開かれる前年、1969年のロバータ・フラック、First Takeという初アルバムの中の曲です。ポピュラー。ソングの王道を歩んだように思われるロバータ・フラック。彼女が極めて社会的な問題にも関心を持つ、けれどもそれを声高に語るわけではなく歌い上げた楽曲、今日はそうしたファースト・アルバムとセカンド・アルバムの中から6曲、お届けをしてまいります。続いても1969年のファースト・アルバムから、カナダの詩人でもあるレナード・コーエンの楽曲、Hey that's no way to say goodbye。そしてダニー・ハザウェイとロバート・エイヤーズの合作で1969年、Our ages or our hearts。

M2.Roberta Flack - Hey That's No Way To Say Goodbye 1969

M3.Roberta Flack - Our Ages Or Our Hearts

先週に引き続いて、ロバータ・フラック。1937年2月10日生まれの彼女は81歳を迎えたばかりです。
彼女のFirst Takeという初アルバム。ジャズ・ミュージシャンであるレス・マッキャン。彼が彼女を高く評価し、アトランティック・レコードに話を持ち掛けます。ファースト・アルバムの裏側、 LPでは彼の彼女への賛辞の文章が載ってます。1曲目は1969年、カナダの詩人でそしてシンガー=ソングライター、レナード・コーエンの楽曲でHey that's no way to say goodbye。2本目は『さよならは言わないで』というタイトルです。当時はこういう風に直訳でありながらでもとても趣がある邦題というのが付いていたんですね。そしてダニー・ハザウェイの楽曲、1969年、Our ages or our hearts。2曲続けてお聞きいただいています。日付変更線を超えて、いわゆるヴァレンタイン・デーであります。しかしながらそのヴァレンタイン・デーにいくつチョコレートをもらったか、あるいはいくつ挙げようか、もともとは男の子が女の子にお花をあげり日だったのですが、日本ではチョコレートになった。そうした数、あるいは反応に一喜一憂する時代を、ある意味ではとうに過ぎてしまった人々が、この心の襞の中に、舞踏会の手帳のように過去を思い浮かべる。実はロバータ・フラックの楽曲というものは、1枚目2枚目はそうした心の襞を改めて感じさせる楽曲です。
続いては2枚目のChapter Twoと題したアルバムの中から2曲。1970年、Gone away。1970年、 Until its tIme for you to go。

M4.Roberta Flack - Gone Away 1970

M5.Roberta Flack - Until Its TIme For You To Go 1970

ダニー・ハサウェイカーティス・メイフィールドの共作、そしてインプレッションズの楽曲でもあるGone away、1970年、ロバータ・フラック。そしてネイティブ・カナディアンであったバフィー・セントメリーの楽曲、1970年の収録でUntil its time for you to go、ロバータ・フラック、Chapter Twoというアルバムからです。この60年代の後半から70年代にかけてというのは、いわゆる公民権運動というものが勃興し、そして挫折があり、さらにはベトナム戦争があり、キング牧師ジョン・F・ケネディが暗殺をされる。2月の24日公開の『ザ・シークレットマン』という映画、こちらは『シンドラーのリスト』のシンドラー役を務めたリーアム・ニーソンが主演をする、リチャード・ニクソン政権の時のウォーターゲート事件、これをワシントン・ポストの記者ボブ・ウッドワードと共に核心にせまっていく、FBI副長官マーク・フェルトの物語でもあります。まさに高度消費社会へと移行していく前の、多くの人々が社会的な問題を声高に、あるいは心の中で語っていった時代のそうした楽曲。あえてヴァレンタイン・デーの夜にリスナーの皆様にお届けをしています。

今夜も私、Ya’ssy 田中康夫の選曲でお届けしてきた「たまらなく、AOR
お聴きになりたい楽曲を始めとするご提案は

aor@fmyokohama.co.jp

お掛けしたAORの楽曲をジャケット写真と共に紹介するサイトも、
FM yokohama HPの番組紹介ページからどうぞ。

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そしてRadikoのタイム・フリーでは来週まで一週間、番組を再び味わって頂けます。

詳しくは更なる楽曲の余韻もお楽しみ頂ける、私、田中康夫の公式サイト http://tanakayasuo.me/ をご覧下さい。

「たまらなく、AOR」。今回のエピローグは、ロバータ・フラック、2枚目のアルバムから1970年、Business goes on as usual。これは『いつもの仕事』というタイトルが日本では付いています。フォーク・ソングのチャド・ミッチェル・トリオによる、いわゆる反戦的な歌でもあります。けれどもこれは、同時に南北戦争時代からずっと続く、今もそうかもしれない分断、そしてその中での共感というものを歌っています。

来週も、火曜から水曜へと、またひとつ、曜日が前へと進む時間帯に、みなとみらい横浜ランドマークタワーから、あなたの元へ、クワイエット・ストームな音色を、お届けしましょう。2週に渡ってのロバータ・フラック特集、エピローグは、1970年、Business goes on as usual。

それでは、また。

M6.Roberta Flack – Business Goes On As Usual 1970

Business goes on as usual
The corn and the profits are high
And tv's boom in every living room
They tell us what deoderants to buy

Business goes on as usual
Except that my brother's dead
He was 25 and very much alive
But the dreams have all been blasted from his head

In in a far off land with a gun in his hand
He died in a war he did not understand

While business goes on as usual
There's plenty to choose from the rack
But rumor goes that the latest thing in clothes
The latest things in clothes will be black

But business goes on as usual, as usual, as usual

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たまらなく、アーベイン

たまらなく、アーベイン