2015年01月01日 東京MX 「モーニングCROSS 田中康夫 戦後70年の節目 今戦争を考える 」

[堀潤]田中康夫さん、テーマの発表をお願い致します。

[田中康夫]はい、まぁ戦後70年という事でですね、まぁあの、歴史とは過去と現在との対話である、ってのは昔、E.H.カーという危機の20年と第一次世界大戦第二次世界大戦の間の事を書いた歴史政治学者が言ったんですけども。

[脊山麻理子]はい、太平洋戦争終結から70年目となる節目の年を迎え、安倍総理は8月の終戦記念日に談話を発表する事を明らかにしました。

[田中]で、でもなんで70年?日本てほら、会社も10年25年50年とか、まぁ「7」だからキリが良い。中国だったら80年かよっって話なんですけど。実はね、あのー、ドイツでは東西ドイツが合併する前の戦後の40年の時に当時のリヒャルト・フォン・ヴァイツゼッカーという大統領が、

 

『過去に目を閉ざすものは

結局のところ現在にも盲目となります。

非人間的な行為を心に刻もうとしない者は、

またそうした危険に陥りやすいのです。』

 

「荒れ野の40年」リヒャルト・フォン・ヴァイツゼッカー大統領

1985年(昭和60年)5月8日ドイツ連邦議会

 

 その過去に目を閉ざすものは、結局のところ現在にも目を閉ざすことになる、っていうことを言っているわけね。で、なんでこの時彼は40年という、我々からすると中途半端な時に言ったかというと、その、1世代10年だと、そうすると10年30年経つとほぼ変わってっちゃう、40年経ったら過去の事を語れる人も居なくなる、だから私達は行うんだ、って言った。で、これをね、一部の人達は何言ってるんだ、と。ヒトラーの責任だけに押し付けたんじゃないのかドイツは、ってよく言う「カギカッコ保守」の人達が居るんですけど、彼はその時何を言ってるかって言うと、一民族全体に罪がある、とか、あるいはもしくは無実である、というようなことは無い、と言ってんです。だから日本の場合には、一億総懺悔って言ったり、いや何も問題無いですよか、どっちかに非常にゼロサムで振れてしまうところが問題じゃないのか、と。だから彼は同時にその年長者の義務というのはね率直さであってねそれをキチンと伝える事が大事だ、って言ってるわけ。

 

『われわれ年長者の義務は率直さであります。

 (戦争責任を)心に刻みつづけるということが

 きわめて重要なのはなぜか、

 このことを若い人びとが理解できるよう

 手助けせねばならないのです。』

 

「荒れ野の40年」リヒャルト・フォン・ヴァイツゼッカー大統領
1985年(昭和60年)5月8日ドイツ連邦議会

 

で、じゃぁ今年70年だということで、一方でどういうことを言ってるかというと、あのー、なんと驚いたことに去年の6月に閣議決定ですから、政府の決定で、この...

 

 

「従来の少子化対策の枠組にとらわれず」

「2020年を目途にトレンドを変えていくことで、50年後にも一億人程度の安定的な人口構造を保持することができる」

             2014年6月24日 閣議決定「骨太方針」

 

「従来の少子化対策の枠組にとらわれず、2020年、まぁオリンピックのある年ですけどを目途にトレンドを変えていくことで、50年後にも一億人が安定できる...」ってるわけ。でもね、どんなに出生率が増えて、女性が働き易くなったとしても、そりゃ下がっていくのに未だに大本営発表を言っているということは、結果としてじゃぁ、移民の人を毎年20万人入れましょう、って経済財政諮問会議の書類に書いてあるよね。

[堀]その為の、ま、布石と言ってもいい話ですよね。

[田中]だから移民が良い悪いの話では無くって、その、むしろ、私達はだって、大東亜あの、えー、日露戦争ん時は4800万人だったわけですから、あるいはその、フランスやイタリアは6000万人前後なんだから、量の拡大や量の維持では無くて質の充実を行うことが政治や経済じゃないですか?っていう事だと思うんですね。だからちょっと非常に真逆になっているんじゃないのか。で、最後にちょっとこれをですね、見て頂きたいと思います。あのー、「たそがれ時」ってね、黄昏、なんか日本も今黄昏なんじゃないか、と思ってる、さっきの若者達を見ると、そんなこと無いよ、と思えるんだけど、「たそがれ」って言葉は何だったか、って言うと、あの、薄暗くなんので、あの、「誰そ彼」だったわけですよ。

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[堀]よく見えないから。

[田中]「彼は誰なの?」で、それに対して日の出の時というのもまだ薄暗いのでそれは「彼は誰?」=「彼は誰時」と言ったわけ。

[堀]へぇーー。

[田中]今はね、「たそがれどき」と「かはたれどき」は全然違うものだ、と思われてるんですけど、平安時代とか安土桃山時代くらい迄はそれは「かはたれどき」は日の入のときもあるいは日の出のときも。

[堀]なるほどー。

[田中]両方薄暗いから五感を働かせて自分が察知しなきゃいけないって「同じ」言葉だったんです。ま、あの、今度のあたしの『33年後のなんとなく、クリスタル』の中にも最後に出てくるんですけどね。

[堀]そうですね。

[田中]その意味で言うと先程の若者達のような、空威張りでは無くてまさに目を閉じててパッと開けたら黄昏の光なのか、あの、日の出の光なのか分からない(だから)良い意味で地に足を付けてあの、日の出に向かう発想が必要で、その意味で言っても今までと同じような量の拡大や量の維持ということを言っている大本営発表じゃ、あの、違うんじゃないの?っていう。

[堀]そうですよね、一億人維持って聞いて、そりゃ無理でしょーって誰もが思っていますけども、それに対して、無理でしょ、って言うと、いやいやそんなこと言ったら元も子も無いじゃないか、そんなこと言うのは貴様は!っていうような空気にもなりかねない状況ですよね。

[田中]だからその、役人とかの世界っていうのは一回組んだ予算を減らさないことでしょ?だけどその、予算の量じゃなくて質の問題だから。

[堀]企業もそうですよね。

[田中]そこがやっぱり一番遅れてる世界がついこないだ迄私が居たところってね。

[堀]どうでしょ、その質をね上げて行く為には具体的にどこからやって行くべきなのか...

[田中]だから、それは先程言ったように、ニートの人達って言うけれども、例えば今も看護士とかね、介護士の人達もそりゃインドネシアとかからちゃんと日本語勉強して来るけどやっぱ宗教が違ったりしてなかなか夢破れる人も居るわけでね、やっぱその人達を、じゃなくて先程でもあのーほら機械があれするところもその、すごい職人のおじさんが厳しく温かい人がいる、それが若者を指導して、福祉はきめ細かいのが最も必要でね、福祉医療教育環境ってのが私が知事の時も、これは人が人のお世話をして初めて成り立つんだから、これこそ最大の雇用でしょ?って言ってたのに。

[堀]そうですよね。

[田中]うん。

[堀]ホントにそういう話を先程のね。

[田中]ハコモノを造ることばかりになった。

[堀]イノベーションを起こしてる若者達もそうですけども、そしてまぁ、イデオロギー的なものであったりとか、まぁそのー過去の歴史的な観念とは全く別のところで実行者として一つ一つ積み上げているそういう世代をそういう人々をどんどん応援していきたいですよね。

[田中](だから)彼らはやっぱほら的確な認識・迅速な決断と行動で、そして自分でキチンとリスクを負ってんだから明確な責任でしょ、だからこれが今、日本の経済にも政治にも最もその三つが欠けちゃっている。

[フィフィ」分かりました、人を増やしても税金払えない若者が増えてもしょうがないわけで、国が、質も良くならないですし、あの日本って基盤を作ってないのに、女性を社会に送り込もうって輝けるって言うけど、そこに送り込まれたからってストレスだけになるだけなのに。

[田中]そうなの。

[フィフィ]それも出来てなかったり、意識改革も出来てなかったり、全部その、順番がね、おかしいですよね。

[堀]フランスもね、出生率を上げたといっても結局なかなか識字率が上がらないとかね。

[田中]フランス(の出生率)、2.01でEU最大、でも、先進国と呼ばれてるところは2.07の出生率でほぼ横ばいなんですよ。で、日本は1.4幾つですからね、だから。

[堀]さぁ量的・・・。

[田中]6000万人規模のニッポン、目指すべき。

[堀]なるほど。ありがとうございました。

 

TOKYO MX * バラエティ「モーニングCROSS」

 

 

 

 

 

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