[堀潤]さあ、それでは田中さん、まずは今日のテーマを発表して下さい、お願いします。
[田中康夫]はい、こちらです。
[堀]まさに、「Coolなニッポン Hotなワイン」。
[脊山麻理子]国内で採れたブドウだけを使ってつくられた純国産のワインいわゆる「日本ワイン」の評価が高まっています。
[堀]んー、「日本ワイン」なんですが、ここ数年で品質が急上昇しているということで、近年、国内メーカーが品質向上に乗り出したところ、フランスの品評会で入賞するなど世界的に再評価され出しています。えー、ちなみに「日本のワイン」と「国産ワイン」の違い、「日本ワイン」と「国産ワイン」の違いというのがあるんですが、えー輸入ブドウ果汁を使用しても国内で加工していれば「国産ワイン」と表記することができる、と。だからブドウがどこで取れたか、では無いんですね。一方、「日本ワイン」なんですが、国内で取れたブドウ果汁のみを使って国内で加工された純国産のワインを指す、ということ。山梨で新潟で長野で、そういうワインですよね。えー「日本ワイン」はたった2%しかないそうで、国内のワイン市場に占める「国産ワイン」の割合は30%ということですから「日本ワイン」はだから、こう、逆に非常に希少価値が高いと。
[田中]あのーだから、日本で最もワインの生産高が多い都道府県は何所かご存知ですか?
[堀]んー、イメージだと。
[金]長野県!
[元榮]山梨。
[堀]山梨長野。
[田中]神奈川県なんです。
[堀]神奈川なんですか?!
[田中]何故かと言うと、まさに外国からジュースやブドウを、持ってきたモノを...
[堀]あーー。
[田中]横浜港に着くので、神奈川の工場で作られたのが、これは「国産ワイン」と呼ぶんですね。
[金]ほー。
[田中]で、これは僕は昔からナゾで、だって例えば「神戸牛」って言うけど、震災の時も会ったけど神戸で肉牛肥育している農家ってのは北区に多分2軒か3軒しか無いわけですよ。
[堀]んー。んー。
[田中]これがその「兵庫牛」とか、まぁ今出てきた「但馬牛」とか「淡路島牛」ならわかるけど、「神戸牛」つってみんな百貨店のところで売ってるって、これ原産地偽呼称じゃないの??
[堀]あはーはー、海外でも「KOBE BEEF」と。
[田中]それで私はあのー、知事だった時に田崎真也さんと相談をして、イタリアやフランスにはちゃんとワインの基準があんだから「長野県原産地呼称管理制度」というものを作ろう、と。で、これはワインとか日本酒とかお米とかやったんです。つまり何所で、お米もなんとか米ってあるけれども、何所の水でそのどこのブドウでそれもその、糖度は甘さはどのくらいの基準なのか、って基準を示した上でまさに栽培してるところから醸造して瓶詰めまでを全部その場所でやっているものを認定しましょう、と。でもそれだけじゃなくて官能試験と言ってどんな味かということ、フランスやイタリアも基準あんだけど、一回取ると50年経っても、もう胡坐をかいてるワインでも一級とかなわけですよ。だからそれを毎年審査しよう、っての、まぁ、始めてこれが「長野県原産地呼称管理制度」っていう、私がやったことのなかで唯一、その、あのー、その後も続いているというね。
[堀]んー、これブランド化の取り組みとしてはそういう。
[田中]そう。
[堀]大事ですよね。
[田中]だから、「ブランド」ってのも、その、実体、だってメーカー品って言うけど「メーカー」って「作ってる人は全部メーカー」なんですよ。
[堀]えぇ、えぇ。
[田中]でも、じゃあ、そのなかでみんながどういう客観的基準と自分の嗜好で選ぶか、っていうことが大事でその意味で言うとね、例えば、「伊勢海老」って言うでしょ??
[脊山]んあぁ!
[堀]言いますね(笑)。
[田中]で、去年だかほら。
[堀]ありましたね。
[田中]オーストラリアで獲れたえびを「伊勢海老」と売ってたら、謝りなさい!って会見をさせられたでしょ??
[堀]有名ホテルや、えぇ、料理店。
[田中]ところがね、「イセエビ」って今年の6月に、あのー、法律で「地理的表示法」ってのができたんだけど、「イセエビ」という言葉は「普通名称」です、って決めたの。
[堀]んー、なるほど!
[田中]じゃぁ、どうなったか、って言うと。
[堀]んーんーんー。伊勢とは限らない、と。
[田中]三重県で、の漁民の方が獲ってる「伊勢海老」が213トンなのね。ところが千葉とか長崎とか徳島。
[堀]えぇっ?!
[田中]...とか和歌山で獲れている上位次の四県が587トンで。
[堀]圧倒的に(笑)。
[田中]3倍。でもこれも「イセエビ」と言って売って良い、と。
[堀]なるほど。なるほど。
[田中]で、そうなるとね、その、オーストラリアで獲れてるのも実はカタカナで「エビ目イセエビ科」の「オーストラリアエビ」なんですよ。
[堀]へーー。
[田中]じゃぁ、カタカナで全部「イセエビ」って書いてたら百貨店の人、謝らなくて良かったんじゃないのか、と。
[堀]んー。
[田中]だから、事程左様に日本と言うのは客観的な基準ということに関しての法律が曖昧なんですよね。
[堀]あれですね、実体というよりかはそういう制度によって作られている、そういった、こう、概念だ、ということですよね。つまりね。えぇ。えぇ。
[田中]んー、だからあのー。
[堀]行政用語に近いというか。
[田中]...やっぱ評価をするっていうことが、なんか、だから、長野県原産地呼称管理制度を作るときも県議会でそれまで、戦後民主教育がこんな退廃を招いた!って言ってたような「守旧派の」議員の人が、ブドウを作ってる農家は皆等しく平等なのにお前はそれを格差を作るのか!!って怒っちゃた、ってのがあるから。
[堀]なるほど。んー。
[田中]っやっぱここら辺の意識を変えないと、日本は。
[元榮]これは「ワイン法」みたいなのがあった方が良いってことなんですかね?
[堀]ワイン法。
[田中]ん、だからワイン法も、今仰ったようなその、実定法のなかで事細、瑣末、いくと、この数値ならばオッケーです、になっちゃうわけ。でも人間の味覚ってリトマス試験紙でしょ?だからそれを田崎さんとやった事は、官能試験というのはそりゃ、田崎さんとかそういうマイスターが選ぶ、でも田崎さんが150歳になったらもしかしたら味覚はずれてるかもしれない、でもその時には次の、やっぱりマイスターがそれを毎年切磋琢磨で決める。
[金]でもー、なんか私がこの前買ったアメリカ産のワインなんだけれども。
[田中]ほう。ほう。
[金]よく見たら、これ、ブランド(ブレンド)ワインで、そのフランス産のなんとかとか、いろんなものを。
[堀]んーえっそうですか。
[堀]ほぉ。
[金のがアメリカ産ワインということで売られている。
[田中]だからそれが今の日本の事例でいうヨーロッパ、ルーマニアから届いたものも「国産ワイン」なんです。
[堀]まぁでもあの、きちんと、その、ビジネスとしてですよ、付加価値の高さを「売り」に出来ているのは、まぁ例えば「シャンパン」だったりしても、まぁシャンパーニュ地方で適正にきちんと管理された、そういう制度の下に運用されているとか、なんかそういう枠組みがきちんと無い限りは実を言うとしっかりとした産地を守る、とか、そこに居る関わっている人達がきちんと潤うとか。
[田中]そうですね。
[堀]そういうことが提供出来ないですよね。
[田中]だから、その意味では、その、仰った品質表示法という形での基準は必要なんですよ。
[堀]なるほど。
[田中]でもそれが役人発想だと先程の、団体を作りましょう、食品の、ってのと同じになってっちゃうから。
[堀]うん。うん。認定しましょう、とか。
[田中]うん。逆にこれは消費者の為にならないわけです。
[堀]面白いですね、結構色々来てますよ、ツイッターでも。えー、ゲソさん「さつまいもはアウト?サツマイモはセーフ?」
[田中]これは多分、そのー、「普通名称」になってるからどこでもオッケーなんでしょうね。
[堀]んー、えー、鶴見の海坊主さん「日本人はワインを有り難がり過ぎる傾向がありますよね。たまにワインバーとかでにわか仕込みのウンチクをひけらがしながら飲んでるカップルがいるけど、黙って」ホントに知ってるのか??っていう話の(笑)。
[田中]蕎麦通と一緒だね(笑)。
[堀]あーはーはー。
[金]でもー、世界的には日本酒とか日本の焼酎とかそれはもう完全にブランド化しているので、ワインも近々私は十分通用するブランドになると思う。
[田中]だからその意味で言うとまさに「Coolなジャパン」を売り出すんだったらその前に、この、ワインを冷静にHotに議論をしてきちんと基準を決めないと。
[堀]そうですね。
[田中]虻蜂取らずですよって話です。
- 作者: マイケル・ジャクソン,田中康夫
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