2015年03月02日 TOKYO MX 「モーニングCROSS 田中康夫 ウィリアム王子来日と東京裁判」

[田中康夫]今日はですね、またカラフルにさっきの五色カーペットみたいな感じ。ウィリアム王子来日と「東京裁判」そして「Unbroken」という日本でまだ公開されて無い映画の事に関して・・・

[堀]アンジェリーナ・ジョリーさん監督で、雅-Miyavi-さんが出てますね日本人の。

[脊山麻理子]日本を訪れていたイギリス王室のウィリアム王子は、イギリス連邦の兵士が眠る横浜市の墓地を訪れ黙祷を捧げました。

[堀]横浜市イギリス連邦戦没者の墓地には、第二次世界大戦中にアジア各地で旧日本軍の捕虜となり、その後日本に移され亡くなったイギリス連邦の兵士およそ1700人の遺骨が埋葬されているということです。この地をウィリアム王子が訪ねたということで。

[田中]これは2月の27日で、手書きで「私たちの自由の為に究極の犠牲を捧げた人達を決して忘れません」というのを英語で勿論書いたんです。

 

May we never forget all those who paid the ultimate sacrifice for our freedom.

                                     William

「私達の自由のために究極の犠牲を捧げた人達を決して忘れません」

 

                 2月27日横浜市保土ヶ谷区・英連邦戦死者墓地

 

でも英連邦というのはね、これイギリスだけじゃなくて、ここにはカナダやオーストラリアやニュージーランドや、そしてさらにはインドパキスタン南アフリカの捕虜、日本との戦争の時の捕虜だった死者等が1700名程埋葬されている。日本の後、中国に行かれたけど、中国ではアヘン戦争の中国で亡くなった人の墓地には行くのかな、という素朴な疑問もあるかもしれません。ただ、この同じ26日、雨の日の、来日した日にですね、私の知り合いでありますが、自由民主党稲田朋美政務調査会長政調会長が、いわゆる東京裁判に関して、あえて言わせて頂くと大変に「ラブリーなお花畑発言を」をされたんですよね。でどういう発言をされたかというと、東京裁判の判決主文を日本は受け入れたと。だから東京裁判自体は無効でないが、その中身は法律的に問題なので判決理由に拘束される云われは無いって言ったの。だから私たちで検証するんだってんだけど、このトリックはすごいね。日本のよくある商社マンとかが昔、海外に行って「Yes!but...」って言ったね、Yes・Butって、つまり国際社会で、国際社会が何かって議論もあるかもしれないけど、まさにYes・But語法の典型でね、こういう弁舌をやってる限りは残念ながら日本が本来正しいと思っていることも裁判でも外交でも私は伝わんないじゃないの、っていう、そういうお話をしたいと思ってるんですよ。

[堀]色んなキーワードが最初出して頂きましたよね。

[田中]自爆史観っていうのも書きましたけども、これ自虐じゃなくてですね私が作った言葉で。ちょっと、少し遡ると今年の最初に、今上天皇は「満州事変に始まるこの戦争の歴史を十分に学ぶべきだ」ってことを仰ってて、2月23日に55歳になられた皇太子浩宮は「戦争の惨禍を経て戦後日本国憲法を基礎として築き上げれて戦争の記憶が薄れてる今日、謙虚に過去を振り返り、戦争を知らない世代は、戦争を体験した世代から日本が辿った歴史を正しく伝えていくことが大切だ」と。この発言の部分は何故か載せなかった放送局や新聞社もあったりするわけなんですけども、謎なんだけど。

天皇陛下のご感想(新年に当たり)

 

昨年は大雪や大雨,さらに御嶽山の噴火による災害で多くの人命が失われ,家族や住む家をなくした人々の気持ちを察しています。

また,東日本大震災からは4度目の冬になり,放射能汚染により,かつて住んだ土地に戻れずにいる人々や仮設住宅で厳しい冬を過ごす人々もいまだ多いことも案じられます。昨今の状況を思う時,それぞれの地域で人々が防災に関心を寄せ,地域を守っていくことが,いかに重要かということを感じています。

本年は終戦から70年という節目の年に当たります。多くの人々が亡くなった戦争でした。各戦場で亡くなった人々,広島,長崎の原爆,東京を始めとする各都市の爆撃などにより亡くなった人々の数は誠に多いものでした。この機会に,満州事変に始まるこの戦争の歴史を十分に学び,今後の日本のあり方を考えていくことが,今,極めて大切なことだと思っています。

この1年が,我が国の人々,そして世界の人々にとり,幸せな年となることを心より祈ります。

 天皇陛下のご感想(新年に当たり):平成27年 - 宮内庁

皇太子殿下お誕生日に際し(平成27年

皇太子殿下の記者会見

会見年月日:平成27年2月20日

会見場所:東宮御所

 

問2 今年は戦後70年の節目の年です。戦争と平和への殿下のお考えをお聞かせください。先の大戦戦没者慰霊については天皇,皇后両陛下からどのようにお聞きになり,愛子さまにはどう伝えられていますでしょうか。

皇太子殿下

先の大戦において日本を含む世界の各国で多くの尊い人命が失われ,多くの方々が苦しい,また,大変悲しい思いをされたことを大変痛ましく思います。広島や長崎での原爆投下,東京を始め各都市での爆撃,沖縄における地上戦などで多くの方々が亡くなりました。亡くなられた方々のことを決して忘れず,多くの犠牲の上に今日の日本が築かれてきたことを心に刻み,戦争の惨禍を再び繰り返すことのないよう過去の歴史に対する認識を深め,平和を愛する心を育んでいくことが大切ではないかと思います。そしてより良い日本をつくる努力を続け,それを次の世代に引き継いでいくことが重要であると感じています。

両陛下には,これまで様々な機会に,戦争によって亡くなられた人々を慰霊し,平和を祈念されており,今年は,戦後70年に当たり,4月にパラオ国をご訪問になります。戦後60年にはサイパン島をご訪問になりましたが,お心を込めて慰霊されるお姿に心を打たれました。また,両陛下には,今年戦後70年を迎えることから,昨年には広島,長崎,沖縄で戦没者を慰霊なさいました。私は,子供の頃から,沖縄慰霊の日,広島や長崎への原爆投下の日,そして,終戦記念日には両陛下とご一緒に黙とうをしており,その折に,原爆や戦争の痛ましさについてのお話を伺ってきました。また,毎年,沖縄の豆記者や本土から沖縄に派遣される豆記者の人たちと会う際に,沖縄の文化と共に,沖縄での地上戦の激しさについても伺ったことを記憶しています。

私自身もこれまで広島,長崎,沖縄を訪れ,多くの方々の苦難を心に刻んでまいりました。また,平成19年にモンゴルを訪問した際に,モンゴルで抑留中に亡くなられた方々の慰霊碑にお参りをし,シベリア抑留の辛苦に思いをはせました。

私自身,戦後生まれであり,戦争を体験しておりませんが,戦争の記憶が薄れようとしている今日,謙虚に過去を振り返るとともに,戦争を体験した世代から戦争を知らない世代に,悲惨な体験や日本がたどった歴史が正しく伝えられていくことが大切であると考えています。両陛下からは,愛子も先の大戦について直接お話を聞かせていただいておりますし,私も両陛下から伺ったことや自分自身が知っていることについて愛子に話をしております。

我が国は,戦争の惨禍を経て,戦後,日本国憲法を基礎として築き上げられ,平和と繁栄を享受しています。戦後70年を迎える本年が,日本の発展の礎を築いた人々の労苦に深く思いを致し,平和の尊さを心に刻み,平和への思いを新たにする機会になればと思っています。

皇太子殿下お誕生日に際し(平成27年) - 宮内庁

でね、何を申し上げたいかと言うと、実は、客観的数値で言えば、これはアメリカの国防総省が発表してるように、第二次世界大戦、負けた国はイタリアやドイツや日本ですね。勝てば官軍負ければ賊軍と言われているけれども、ドイツ軍の収容所で米軍人のですね捕虜の死亡率は1パーセントだったんです。残念ながら日本軍の収容所では40パーセントだったと。だから、いわゆるビルマとタイの泰緬鉄道という所でも非常に過酷な労役をしたと。

 

ドイツ軍の収容所:米国人捕虜の死亡率は1%

日本軍の収容所:40%近い。

 

ビルマ‐タイ鉄道建設捕虜収容所―医療将校ロバート・ハーディ博士の日誌 1942~45

ビルマ‐タイ鉄道建設捕虜収容所―医療将校ロバート・ハーディ博士の日誌 1942~45

ビルマ‐タイ鉄道建設捕虜収容所―医療将校ロバート・ハーディ博士の日誌 1942~45

 

戦争が私は良いなどと言ってないけど、でも少なくとも捕虜になった場合には、捕虜はどう扱うかという規定は、それは法律とか国際法以前のところで決めてなきゃいけないことだと思うんですよ。一方でね、今言った東京裁判っていうのはどこから出てきたかっていうと、ご存知のようにサンフランシスコ講和条約と。サンフランシスコ講和条約というのは「Treaty of Peace with Japan」と。つまり日本との平和条約って書いてあって、そしてこれに署名をした国ってのは51カ国もあって、この51カ国は実は国際連合を作ってるわけですよ。だから負けた側の我々の言い分はどうだったっていう人も居るかもしれないけど、ここまで遡るということは、つまり日本は国際連合に加盟していながら、国際連合を最初に作ったイニシャルな人達への卓袱台返しになってっちゃうわけだよね。だから非常に難しいところで、実は、これは外務省に「歴史問題Q&A」ってなんか小学校みたいなコーナーがあるんだけども、極東国際軍事裁判に対して日本政府はどのように考えていますかっていうと、サンフランシスコ平和条約第11条で、この裁判を受諾しているから、国と国の関係に関してはこの裁判に異議を申し立てる立場には無い、と。これが「外無能省」かもしれないけども政府の見解。

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でも政府の見解を、閣僚を歴任してきたような人達が全く違うことを言い出しているわけですよ。

[堀]現在ですね。

[田中]うん。でこれはね、僕はね、例えばやはり認めるところを認めるということをしていかないと。もっと言うと、例えば、実は世界で最初に、20世紀の最初に強制収容所を作ったのはイギリスなんですね。これは元々、オランダ系、黒人も居たしオランダ系の人達がいた南アフリカに、ダイアモンドや金があるということでオッペンハイマーみたいな人、その前のセシル・ローズがやって来て、そしてオランダ系のボーア人ボーア戦争というのを行って、同じ白人達が戦争をしてオランダ系の人達を2等国民扱いをして、そして12万人のオランダ系の人達が強制収容所に閉じ込められて、2万人が亡くなってるわけ。歴史には、そういう、それぞれ100パーセント正しい人は居ない。でもそのときに日本の側が、例えば、こういうことを外交交渉で話すときもYes・Butのさっきの話をしていたのではそもそも負けてしまうわけですよね。だからそこがやっぱりね・・・

[堀]前進しないですよね、いや、過去はそれはちょっと違うんですっていうことが、主要な課題として取り上げられるような事になってくると、もうじゃぁ未来はどう作るのかっていう話が、随分リーチが長いところに行ってしまいますよね。

[田中]それで先程のアンジェリーナ・ジョリー監督の「Unbroken」。これはご存知のように・・・

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[堀]見ましたよカルフォルニアで。

[田中]あぁそうですか。ルイス・ザンベリーニさんという人ですよね。

[堀]えぇ、ザッペリーニさん。

[田中]元々ベルリン五輪にも陸上選手で出たんだけども、勿論米軍の側にいて、そして捕虜になると。で、実は日本の新潟県上越市の収容所で非常に・・・

[堀]過酷な労働を強いられて虐待も受けたと。

[田中]・・・PSTDになると。でもその中で恨みからだけじゃなくて赦しなんだ。それは極めてキリスト教的発想だと言う人がいるかもしれないけど、でもそれは仏教だって同じであってね、憎しみを赦しに変えるという中で彼は最後、長野五輪の・・・

[堀]そうなんですよ。聖火ランナーとして帰ってくるんですよ日本に。

[田中]・・・オリンピックの時に収容所があった上越市のところを聖火ランナーになる。そしてその時の日本人伍長だった人もアメリカのCBSテレビに対して確かに私はそれ(虐待)をした、と言ってるわけですよね。ところが、この映画が、全く無いのに人肉シーンがあるなどと言って流れて無い(日本での上映予定無し)というのは、都合が悪いと思い込んでることはしないってことになると、日本は殆ど北朝鮮シンガポールと同じ言論統制下と言われちゃうし、もっと言えば「アンブロークン」などけしからん映画だと息巻いている人達は、もっと言えば金正恩氏のことを映画になったね・・・

[堀]「the Interview」

[田中]「the Interview」という、これがアメリカでもオバマ大統領が流したのに日本では未だに見られない。(ネトウヨも上映要求しない)

[堀]そうですね。この「アンブロークン」についてもね、僕も色々検証して雅-MIYAVIさんに取材もしたんですけど、出回っていたのが、そもそも発端が血塗られた日本列島のポスターとかだったんですけど、これが映画のポスターだってバッと出回るんです、日本でも。でもあれは単なるアメリカ人の、ただの一ファンが勝手に書いたもので、それがあたかも事実であるかのように出回っていると。これもネットコミュニケーションの問題であると。

[田中]だから先程の、Yes・But議論で行ってしまうと自虐史観を批判してる人達が、実は自ら日本を貶めてしまう自爆史観になってませんか?という点を少し冷静に考えて頂きたいです。

[堀]ありがとうございました。

 

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