2015年05月28日 TOKYO MX 「モーニングCROSS 田中康夫 EU&フランスに於ける食の安心・安全とは」

 

 

[堀潤]さぁ、それでは早速ですが田中さんテーマの発表をお願いします。

[田中康夫]脱・効率至上主義 脱・農薬至上主義 ということですね。フランスそしてEUに於ける食の安心や安全というのはどうなってるかというお話です。

[堀]とは、ですね。

[脊山麻理子]フランス議会は21日、大手スーパーに対し、売れ残った食品の廃棄処分を事実上禁止する法案を全会一致で可決しました。

[堀]さて、食品の廃棄量についてですが、日本も多いと言われていますけれども、フランスどうなのか。フランス人一人あたりの一年間の食品廃棄量は20キロ~30キロ。そのコストは最大で年額200億ユーロ(2兆7000億円)に上ります。フランス政府は2025年までに、この食品廃棄量の半減を目指しています。で、法案の中身は、店舗の面積が400平方メートルを超えるスーパーは賞味期限切れなどで販売できなくなった食品を処分することができなくなります。更に、食品廃棄防止対策が義務付けられ、売れ残った食品のうち、まだ食べられるものについては慈善団体に寄付するか、家畜の飼料や農業用の堆肥に転用しなければならないということです。これは、非常に・・・。

 

 [田中]今後、2025年までにね、廃棄量を半分にするというのはフランスだけじゃなくてEU全体が議会で決めてることなの。で、どういうことが起きるかというと、だから、一個売りを大型店舗でもしなさいと。たまねぎも一個だけとか。あるいは、賞味期限が近くなったものを早めに値下げしなさい、だから、日本のコンビニは値下げを店主がするとね、逆に罰則だなんていう、まったく逆。そしてもう一個、今、話があったのは、所謂、生活困窮者への食料支援、これ、フードバンクという形がシステムとして出来てて、そういう人達にそうした商品を届ける、その為の配送をする人達の雇用に対して、国が国庫でその給与を負担するということも、フランスは行っているんですよね。

[堀]いや、ホントに今、不均衡で、食品ロスは。これはもう、世界の経済不均衡そのものを表していて、一番ロスの大きいのが北アメリカで、次がヨーロッパなんですよね。

[田中]で、そのフランスはね、実は食料自給率は100パーセントを超えているわけですよ。で、日本はご存知のように、39とか4割も無い。

[堀]ええ。

[田中]だから、またバターが足りない、TPPやる前にって話になってきてるんだけれども、日本は食品の輸入量の約3分の1を廃棄をしているんですよ。

[堀]そうですね。

[田中]だから、フランスがやろうとしていること、ましてや、この政策というのは、ニコラ・サルコジという新自由主義の人の下で既に始まっていたことを、さらに義務化するという話なのでね、これは、僕は、正に「脱・効立(率)至上主義」じゃないかなと思うんです。で、もう一点はね、今、皆さんご存知のように、ネオニコチノイド系の農薬というのがありますよね。で、これが世界中で農薬を使用していることによって、北半球のミツバチは4分の1居なくなったわけです。で、ミツバチが居なくなるから蜂蜜が取れないというだけじゃなくて、ミツバチが花粉を受精するので、大変だということで、EUでは2013年から使用禁止にしたんです。

2015052812 TOKYOMX 堀潤 脊山麻理子 田中康夫

[堀]あら!

[田中]ところが、日本は・・・。

[堀]あら?

[田中]先ほど、生レバーはいけないと言った厚生労働省は・・・。

[堀]え!?

[田中]2015年の5月から・・・。

[堀]緩和?!?

[田中]5月からですね、使用を緩和したんです。

[堀]えっ?

[田中]で、どのくらい緩和したかというと、従来の13倍、もっとミツバチが死んでってしまうのを使いましょうと言ってるんです。

[堀]どの企業に配慮してるんですかね?

[田中]これはね、大変な話で、で、どういうことかというとね、ネオニコチノイド系というのは、中にクロルピリホス(Chlorpyrifos)というのがあるんだけど、これは建築基準法で、所謂、シックハウスになるから、2002年に使用禁止を国交省が決めたの。

  

国土交通省 シックハウス対策に係る法令等

◎平成14年国土交通省告示第1112号「クロルピリホスを発散するおそれがない建築材料を定める件」

http://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/build/kensetu.files/031127kokuji.pdf

 

建築基準法施行令第20条の6(居室を有する建築物の建築材料についてのクロルピリホスに関する技術的基準)

http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S25/S25SE338.html

 

 

[堀]えー?!

[田中]でも、これに関しても・・・。

[堀]その成分が農薬に含まれる。

[田中]未だに日本では、厚生労働省が、農薬として使うことを許可してるの。で、僕もずっと国会議員の時に違うでしょっつってた。で、この、(今回)13倍に緩和したことによって何が起きるかというと、ほうれん草は従来の13倍に緩和しましたというの。で、ほうれん草ってね、これ、群馬県の、県の食品安全検査センターが(今回の緩和よりも遙かに前の平成17年=2005年に)調べたところによると、ほうれん草を普通に2分間茹でて、で、10秒水にさらしますよね。そうしても、このクロルピリホス(Chlorpyrifos)は83.6パーセント残留してると。

[堀]えーー!?

[田中]そしてこれは、先ほど言ったように、シックハウスでいけないと国交省が言ってるものを、厚労省は今度13倍に緩和をすると。で、これはね、正に農薬至上主義、農薬が良い悪いの前に、これはどうなのってことなんです。

 

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 田中:先月号で特定栽培農作物の話をしたけれど、その後に判明したもっと凄い話があってね。たとえばほうれん草は、それほど農薬を使わなくても育つ、比較的強い野菜なはずでしょ。この資料は富山県のものでね(といって資料を出す)、各都道府県のホームページにアップされているから読者の皆さんもチェックしてほしいんだけど、富山の場合ほうれん草への投与回数は従来からの慣行使用だと5回なの。で、特定栽培農作物はその半分の2回。だけど、ナスは31回と15回、トマトも24回と12回。キュウリが20回と10回。おいおいでしょ。農林水産省が音頭を取って特定栽培農作物の生産者に支援を始めたんだから、今すぐにすべての農家で使用量を半分にすればいいのに、農水省はモデルケースと称していて、こうした農家は現段階では10%もいないわけ。じゃあ、将来どのくらいの割合にするんだって聞いたら、5年間で20%にするって悠長なこと言っているんだ(苦笑)。アトピーが社会問題化して久しいのに、誰を向いて行政指導してるんだ、消費者か農業団体かって、笑って済ませられない話なんだけどね……。で、もっと衝撃的なのは、ほうれん草に残留する農薬のデータがあってね。2分間茹でて、それを10秒間水にさらした場合に、クロルピリホスってのは、83.6%も残留したままだっていうんです。その他にもシベルメトリンってのが61.6%、フェンパレレートってのが71.4%、プロチオホスってのが76.4%。群馬県食品安全検査センターが平成17年に調べたデータです。それで、このクロルピリホスってのが何かっていうと有機リン酸系殺虫剤で、農業としての用途のほかシロアリによる建物への被害を防止する効果もあると。だけど、シックハウス症候群の原因のひとつだと判明して、平成14年7月の建築基準法の改正で建材への使用が禁止されたんだよ。なのにいまだに農薬としては使われていて、ほうれん草を茹でた後でも83.6%残留しているっていうんだから賞味期限偽装食品どころの話じゃない。

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 [田中]で、実は、このおじ様が居ましてね。この人、フランスで一番有名なシャンソン歌手なんです。イヴ・デュテイユさんといって、パリの傍のですね、ホントに700人の(プレシー・シュル・マルヌ)村の村長を、もう、ずっと10年以上やってる人で、で、この人は、私の「ガラス張りの知事室」にやってきて。

 

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田中:給食といえばね、イヴ・デュテイユというシャンソン歌手がいて、僕との対談でガラス張り知事室にも来たんだけど、この人は、パリ郊外のプレシー・シュル・マルヌっていう、人口500人の村の村長でもあるんです。フランスは自治体の8割が人口1000人以下の町村。こうしたコミューンというかコモンズが連携している。で、彼の村でも隣接する3つの町村で子供たちの給食を共同で作っている。でも哲学と発想が全然違うのは、日本は給食センターを設けて、そこから各学校にサプライする。向こうでは3つの町のちょうど真ん中にある村の学校に隣接して食堂を設けて、地域の女性がそこで給食を作っている、残りの2つの小学校からはスクールバスに15分くらい乗って、昼食を食べるためにやってくるんです。昼食時間は1時間半ぐらいで、3つの学校の子どもがお喋りしながら一緒にご飯を食べる。作っているおばさんが料理を出しながら、いかに体に良くて美味しい献立かを説明するから、嫌いなセロリでも食べちゃうんだな。日本は給食センターから届くから残飯の量は多くなる。つまりサプライサイドの都合なのか、コンシューマーの希望なのか。統廃合の発想が、個人に立脚しているのか、組織に立脚しているのかで、全く逆転しているわけね。これは凄いなと思ったよね。

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[堀]えぇ。えぇ。長野県知事時代の。

[田中]で、この人はシャンソンで子供の為の歌を歌ってるんで、私、この村に遊びに行ったんです。

Yves Duteil Prendre un enfant - YouTube

 

[堀]へー、そういう交流があったんですね。

[田中]で、名誉村長になったんだけど、この時にね。

[堀]あっ、名誉村長なんですね?!田中さん。

[田中](名誉村長に)なったんです。で、パリのすぐ傍だけど、フランスはほら、3万6000もコミューンが、自治体があるから。で、この時に何を感じたかっていうと、やっぱりね、経営統廃合も、消費者の視点なのか、供給側の視点なのかということなの。で、この村は、700人でしょ。近くの3町村と一緒に、真ん中に給食堂を作ったの。で、フランスだから、給食の時間が1時間半で、お家に帰っても良いという形なの。で、そうするとね、この給食堂にみんなミニバスに乗ってやってくるんですよ。で、どういうことが起きるかっていうと、そこで給食のおばさんが、今日はこんな地元の食材を使って、こうやって作ったよって言うから、で、こんなに体に良いよって言うから、残る量が多分、減るわけですよ。でも、日本は何をするかっていうと、少子化だと言って給食センターを作って、そこから運んでくるから、僕らがちっちゃい頃は、給食室の匂いが廊下に立たされていると、良い匂いだなとか、あのおばちゃんが作ってるってのが、見えないわけですよ。だから、そうすると、経営を良くする、赤字にしないようにするというのが、消費者の視点なのか、供給側の視点なのかで、ものすごく違う。

[堀]そうですね。

[田中]で、私も、これに触発されて、知事の時に、月に一回は全部、地域食材の日と。まぁ、バナナ以外は全部地域食材の日ってのをやったわけ。

 

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◎全小中校で「地域食材の日」 長野県、旬の農産物使い - 2003/05/21 07:55【共同通信

http://www.47news.jp/CN/200305/CN2003052101000336.html

 

 

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食育の日の取組実績 長野県
http://www8.cao.go.jp/syokuiku//event/promotion/pdf/map3-h26/20-nagano.pdf

 

[堀]今こそ、地産地消がね、言われてますけれど。

[田中]そうするとね、作ってるじいちゃんばあちゃんが来て、こうやって、このじゃがいもを作ったよ、トマトを作ったよって、で、翌週には低学年の子が、美味しかったよって絵を描いて、農地の所に貼ってもらう。で、これ、農政部の人もみんな大喜びしたんだけど、一番反対したのは誰だか知ってる?

[堀]えっ?どこですか?

[田中]教育委員会の人なの!

[堀]何故ですか?!食育じゃないですか?

 

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憂国呆談 season2 talk5◆ソトコト ミシュランから食育まで!

 

 

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2013/03/05・12合併号 農薬使用量世界一、遺伝子組み換え種子黙認etc.「日本最大の農業組織」が陥った自家撞着<フィッシュハウス・オイスターバー恵比寿東口店>◆週刊SPA!

 

[田中]何故かと言うとね、給食組合の人達が、朝から作るのに、じゃがいもやトマトがいびつなサイズだと効率が悪くて、12時までに出来ませんって反対したの。で、違うだろって。

 

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 田中:給食といえばね、イヴ・デュテイユというシャンソン歌手がいて、僕との対談でガラス張り知事室にも来たんだけど、この人は、パリ郊外のプレシー・シュル・マルヌっていう、人口500人の村の村長でもあるんです。フランスは自治体の8割が人口1000人以下の町村。こうしたコミューンというかコモンズが連携している。で、彼の村でも隣接する3つの町村で子供たちの給食を共同で作っている。でも哲学と発想が全然違うのは、日本は給食センターを設けて、そこから各学校にサプライする。向こうでは3つの町のちょうど真ん中にある村の学校に隣接して食堂を設けて、地域の女性がそこで給食を作っている、残りの2つの小学校からはスクールバスに15分くらい乗って、昼食を食べるためにやってくるんです。昼食時間は1時間半ぐらいで、3つの学校の子どもがお喋りしながら一緒にご飯を食べる。作っているおばさんが料理を出しながら、いかに体に良くて美味しい献立かを説明するから、嫌いなセロリでも食べちゃうんだな。日本は給食センターから届くから残飯の量は多くなる。つまりサプライサイドの都合なのか、コンシューマーの希望なのか。統廃合の発想が、個人に立脚しているのか、組織に立脚しているのかで、全く逆転しているわけね。これは凄いなと思ったよね。

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[堀]うーん。なんか本末転倒ですね。

[田中]だったら母親も、ちゃんと手を洗った上で手伝ったら?って僕は言ったんですけどもね。

[堀]さぁ、「みんなの意識調査!」の結果を見ていきたいと思います。スーパーなどで食品を購入する時、賞味期限を確認しますか?ということで、で、買うか買わないか。気にしないか、せいのドン。えー、確認して新しい物を購入する、1191票。気持ちはすごくよく分かります。あまり確認せずに購入、294票。確認しない、69票と。その他、174票。圧倒的に、確認して良い物を、新しい物をっていう風になっていきますね。

[田中]あの、でも、賞味期限と消費期限と2種類あるんだよね。

[堀]えぇ。まだ意外にもつんです。実際に日本の食品ロスは500から800万トンと言われていて、日本の米の収穫量は2012年で850万トンですから、取ってその分っていう、どういうロスなんだと。これはこういうフランスの取り組みの行く末、しっかりと見ていきたいですね。

[田中]ちょっとね、もう一個、ちゃんとフリップ作って貰ったんだけど時間が無いんで「廻す」ってことで、これは次回に是非。

[堀]次回に。

[田中]こんなね、パンの絵まで描いて貰って。これが画期的な法律なんで、ちょっと説明に2分くらいかかっちゃうんで。

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[堀]これ、じゃぁ是非。

[田中]次回やらさせて頂きたいと思います。

 

2015年05月28日 東京MX 「モーニングCROSS 全篇」

 

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