2018年7月12日 TOKYO MX モーニングCROSS 田中康夫 羊頭狗肉な水管理・国土保全 造るから治す・護る、そして創るへ。

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[堀潤]田中さん、ヴォランティアの活動も含め、あと行政の対応、政府の対応さまざまですがどうご覧になってますか。

[田中康夫]冒頭で映像が流れた愛媛県の西予(せいよ)市と大洲(おおず)市というのは、肱川(ひじかわ)と言うんですね。つまり蛇行する川なんです。なのに上流にダムがあるという形なんですけど。私は以前にもそこに視察に行ったことがあって。(註:全長103kmだが、源流から河口まで僅か18kmの一級河川 wikipedia:肱川国土交通省は水管理・国土保全局というふうに河川局は名前を変えたわけですよ。でも、本当の管理とか国土保全って誰の為なのか?っていうところがね非常に問われるんで、オピニオンCROSSでもお話をしたいと思います。ただまあ、「先手先手で(時間との闘いを)全力でやってる」って国は豪語してるから、良い日が訪れることを望むしかないですね。

[堀]ホントに先手かな?どうかな?っていうのがね・・・。

*

[堀]さて各紙一面見ていきましょう。まずは読売新聞です。「西日本豪雨 死者179人に(12日11時57分現在 死者195人 共同通信発表)不明61人 捜索続く」。そして気になるのは「8ダム満杯 緊急放流」ということで、今もですね、水が流れ出ているのを堰き止めている溜め池や、そしてダム、水かさが増しています。そして何故そういうことが起きるのかということの1つに、今日の田中さんにこの後オピニオンCROSSで特集していただきますけれども。やはり山から流れてしまった木々がいろんな状況を堰き止めて、自然の溜め池をつくってしまったりとか、これ問題ですよね。

[田中]林野庁の予算ってのは3000億円台なんですけれども、その中で森林を間伐したり、広葉樹という保水力のある木、これの(整備)予算はわずか7パーセントなんです。

[堀]ちょっと足りないですね。

*

[宮瀬]では続いて「被災地で窃盗未遂 少年ら逮捕」というニュースです。

[堀]こちらのニュースは女性が54パーセントで比較的若い世代の方が関心が高かったですね。ヴォランティアで(被災地の現場に)入る時も、皆さん必ず自分の身分がどういうものであるのかって分かるようにネーム・プレートを付けたりとか、そういう形で入ってくださいねっていうふうに言われていますからね。

[田中]いやだけど逆に、善意で個人で組織に属さず何か物資をと思って女性の生理ナプキンであるとか、私のように口紅とか下着を持っていったら疑われちゃうってのもね・・・。

[堀]田中さんの場合はね、田中康夫さんが来たなで分かると思いますけれども。

[田中]「全国指名手配」ですから(笑)。

[堀]ちゃんと分かるような状況を作るべきだということですね。

*

[堀]さあそれでは参りましょう、田中さんテーマの発表をお願いします。

[田中]「羊頭狗肉な日本の水管理・国土保全」。

[堀]はい。いきましょう。ホントに心配。お年寄りも多いし。

[田中]で、ここに書いたようにね、造作の「造る」から「治す・護る」。そして創造の「創る」にしなくちゃいけない、ということを、私は治山と治水に関してはずっと言ってきたんだ。その話をしたいと思います。時間が多分、無くなっちゃうと思うんでYouTubeで夕方からまたちゃんとしゃべります。

[堀]はい。田中さんのYouTubeチャンネル(田中康夫YouTube公式チャンネル「だから、言わんこっちゃない!」)で。

[田中]で、私は今までダムをずっとやってきたのにダムでは防げないんだということを、京都大学名誉教授の今本博健(いまもとひろたけ)さんという方が私の師匠なんですけどね。

[堀]『「脱ダム」宣言』。

[田中]今回も「ダムがあったから洪水が防げた」とか「ダムが無ければもっと被害が拡大した」と言ってるんだけれども。日本の国土の66.5パーセントは森林です。これは高知自動車道大豊町というところ。これ、つまり森が整備されていないからこういうことが起きているんで、この上にはダムも造れないんですよ。つまり日本の森というのは何かと言うと、針葉樹というのは保水力がありません。戦後、造林したのは針葉樹です。これが半分なんですね。そしてここに書きました。国土交通省の予算は6兆円近い。農林水産省の予算も2兆円以上。でもその農林水産省の中の林野庁の予算ってのは3000億円もないんです。国土(面積)の0.1パーセント足せば、「憲法改正」ができるような数値(3分の2=66・6%)で、フィンランドに次いで世界第2位の森林(面積)なんです。これこそ財産なんです。林野庁の予算の、森林の整備、間伐とか造林に使っている予算は8パーセントです。残りは大規模林道であったり、あるいは谷止工と呼ばれる小さな沢にコンクリや鉄を打ち込むということを行っているんです。この予算構造を変えなくちゃいけないってことを僕はずっと言ってきた。森林の整備ってのは人件費がその中の3分の2なんですよ。そうすると青息吐息の山間地の土木建設業の人や林業関係者の雇用になるので、僕は知事時代に土木建設業の人に100時間無料で(信州木こり講座という)講習を受けてもらって森林整備の資格を取ってもらって、そして県の森林整備の予算を2.5倍にしたんです。そうすると林業組合の人たちじゃなくて、そういう土木建設業人の仕事にもなっていく。やはり構造を変える必要があるということなんですね。でも先ほど来申し上げているように「ダムが無ければ無理なんだ」っていう人たちがよくいる。じゃあ、ダムができるまでに何年かかるのか?八ッ場ダム(やんばダム)というのはまだ造っています。でも「八ッ場ダムが無いと洪水で大変ですよ」言ってから63年経ってはじめて造り出したんです。そうすると先ほどの造作の「造る」だけじゃなくて「護る・治す」ということを考えれば、護岸の補修であったり浚渫(しゅんせつ)であったり、あるいは森林整備であったり、つまり大規模なICUで緊急手術をするのに63年掛かる間、何をしてきてるかって言うと、何もしてきてない。実は今回、京都の桂川という嵐山の辺りが、前回は大洪水で家が浸水したのに今回はそうならなかったのは何故かというと、あそこの河床掘削(かしょうくっさく)ということを、実は国土交通省は初めて行ったんです、1968年から初めて。地球は生きているから(上流から下流に砂や石が)流れてくるわけです。そして一平米あたり機械を使えば1万円で出来るんです。

[一同]んーん!

[田中]それは地元の青息吐息の人たちの産業になるわけです。なのに巨大な、こうした(ダム)を造る。そして今、人口も減っていくのに、実は各都道府県も4000億円くらい(ダム建設費用の)負担をしてるんですよ。そして「これは利水にもなります」と言って、「ここからお水を取ります」と言ってる。でも、日本の水田面積は昭和30年代の半分です。

[堀]そうか・・・。

[田中]でも慣行水利権というのがあって、その水は上水道に使えないんです。

[堀]ええー?!

[田中]工業用用水にも。

[堀]そうか・・・。

[田中]明治29年から変わっていない。こここそデューデリジェンス(Due Diligenceとは、行為者の行為結果責任をその行為者が法的に負うべきか負うべきでないかを決定する際に、その行為者がその行為に先んじて払ってしかるべき正当な注意義務及び努力のこと - Wikipedia)をしなければいけないのに、大元を何もしていないわけです。

[堀]今はじゃあ、その水はどうなってるんですか?

[田中]川の中に(ダムという)構造物を造れば新しい水利権が生まれるという法律なんです。

[堀]へー?!

[田中]水は全員のものでしょ?

[堀]うんうん。

[田中]そして今回もね、「水道を民営化しなきゃ」と。災害が起きた時に民間の会社がああやって給水車を出しますか?

[堀]水道法が改正されましてね、民間事業者の参入を促した。

[田中]ヨーロッパも他の国々も再公営化をしてるわけです。公営化ということは税金の無駄遣いじゃないんですね。今回も先ほどお話をした肱川、水があふれて10名近い方が亡くなった。「大洪水になる」って気象庁が言ってたわけでしょ。「宴会」をしてた人もいたかも知れないけれど・・・。(気象庁は7月5日14時に大雨としては異例の緊急会見を東京と大阪で実施し)その時点から逆に、ダムから放水をする量を減らしてるんですよ。減らしてって最後に「ダムが満杯になったので、安全基準の6倍の水を出しました」と。「お伝えをしたけれども、皆が行動してくれなかったからだ」って四国地方整備局は昨日だか一昨日だか会見をしてるわけですよ

[堀]んーん??

[田中]「周知は適切だった」と「受け手に行動を起こして貰えなかった」と。

[堀]なるほど、言ったけど・・・。

[田中]でもね、(ダムの緊急放水で発生した死亡案件)で刑事責任が問われたことは一度も無いんです、日本では。同様にダムの水の流し方を間違えた為に新潟でもですね2004年に(新潟・福島豪雨の際に刈谷田ダムと大谷ダムの放水のタイミングを間違えて)洪水が起きて人が亡くなったんです。唯一あるのは、皆さんご存じの狛江市の(1974ン年の多摩川水害で山田太一氏の作品)「岸辺のアルバム」というところで水害があった。でもこれは家が流されて自分達の子供の写真のアルバムが流れちゃったということで、(最高裁からの差し戻し控訴審で1992年に住民側が東京高裁で勝訴した)民事訴訟でしかないんですね。つまり刑事責任が問われない日本の河川管理ってのは一体なんなのか?そこで私はずっと言ってきたのはアメリカやヨーロッパや韓国においても、必ず川の流れって河川改修しても自然だから同じようにぶつかるんですよ。そこには鋼矢板を、鉄板を2枚入れてるんです。そうすると堤防は決壊しないんです。日本の堤防は土堤原則といって土と砂だけなんです。僕はずっと国土交通省に、「なんで同じようなこと(諸外国同様の鋼矢板の設置)をやらないんですか?」と聞いたら「土と砂以外が入っているのは、不純物である」と言ってるわけ(笑)。

[堀]んー、「自然とは言えないんだ」と。

[田中]トンネルを東京湾に通す時は鉄を使ってるでしょ?

[堀]おかしいね。ダブル・スタンダードですね。

[田中]「(川の流れに対して)縦には使えるけど(堤防の中で)横には使えない」って言ってるわけ。

[堀]はっはあ、なるほど。

[田中]だから、このあたりは・・・、スーパー堤防のことも話そうと思ったけれども時間が無くなったんでそれはYouTubeで。

[堀]今日、何時からでしたっけ?

[田中]夕刻以降、毎日やってますけど夕刻以降に流します。

[堀]是非チェックをしてみて下さい。

*

田中康夫YouTube公式チャンネル「だから、言わんこっちゃない!」間違いだらけの日本の治山特集

Vol.350『観れば納得! 危機を煽りながら基本を怠るダム至上主義者! いまだに天動説な国交省水資源・国土保全局が牛耳る 間違いだらけの日本の治水Part1』

Vol.351『もいちど納得! 羊頭狗肉な日本の堤防行政こそ諸悪の根源! いまだに天動説な国交省水資源・国土保全局が牛耳る 間違いだらけの日本の治水Part2』

Vol.352『治水とは何か!2人の泰斗に教わったヤッシー!ダムを知り尽くしたればこそ脱ダムに目覚めた今本博健・京大名誉教授と宮本博司・元近畿地方整備局河川部長!間違いだらけの日本の治水Part3』

Vol.353 『国土の66%を占める日本の森林 なのに林野庁予算は僅か3千億円! 間違いだらけの日本の治山Part1』

「オピニオンCROSS neo」は首都圏以外の全国・全世界の方々も、エムキャス「見逃しヴィデオ・オン・デマンド」ページにて放送後3日間ご視聴頂けます。(お使いのブラウザの環境によっては、正しく動画が再生されない可能性があります。快適に視聴するために最新版のブラウザ及び、Adobe Flash Player をインストールしご利用ください)またスマホの方は以下のリンクからエムキャス視聴アプリのインストール・視聴が可能です。

https://mcas.jp/

Vol.616「「思想・信条」がYa‘ssyと異なると「日経」で「告解」学習院大学長もシャッポを脱いだ「サンデー毎日」実践的「治水・治山」原論!ダム脳なリバーフロント研究所が登場の痛い「文藝春秋」w」

19/12月号 憂国呆談 season2 volume113◆ソトコト

消費税の軽減税率から、
台風15号の対応、
グレタ・トゥンベリさん、
日本の環境政策と農畜産品の行方まで。

水害は脱ダムのせいなのか!?
田中康夫の『実践的治水・治山』原論 まとめサイト始動しました!

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サンデー毎日」2019年11月17日号

「水害は『脱ダム』のせいなのか❣田中康夫の実践的『治水・治山』原論」(※画像をクリック!

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✽治水・治山のあるべき姿を更に具体的に加筆した原稿はこちらです。

水害は『脱ダム』のせいなのか!? 田中康夫の実践的『治水・治山』原論「サンデー毎日」2019年11月17日号(11月6日発売)

リード文「しなやかな是々非々」

甚大な被害をもたらし、河川氾濫の恐ろしさを知らしめた台風19号安倍晋三首相は防災の観点から八ッ場ダムを称賛し、また、「脱ダム」が水害を招いたという声もある。だが果たしてそうか? 長野県知事時代から、河川のネットワークを見極めた「治水」を思索、実践してきた田中康夫による真の国土強靱化論。

本文

「『土堤(どてい)原則』は、断じて譲れません」。

河川局を改組して2011年7月、国土交通省に誕生した水管理・国土保全局の官僚は拒み続けました。土と砂利以外の「不純物」が堤防内に混じるのは馴染(なじ)まない、と真顔で。

鋼鉄(スチール)も混凝土(コンクリート)も他の公共事業では「不純物」どころか必須の素材。コンクリート壁の隙間(すきま)から水が浸潤(しんじゅん)して平時から内部が“液状化現象”に陥りがちな堤防を補強すべく、両肩から基礎まで鋼矢板(こうやいた)を縦に2枚打ち込む護岸工法の事業化に向け、僕が求め続けた調査費が2011年度=平成23年度予算に初計上された後の遣り取りが冒頭の発言。

「決壊した箇所に仮堤防を設置する緊急復旧工事と、本格復旧工事の工法の違いを、河川行政に疎(うと)い我々に説明頂けますか?」。

民主党政権の一翼(いちよく)を担っていた国民新党代表の亀井静香氏と共に新党日本代表の僕が尋ねるや、“論理的で科学的な講釈”を垂れました。「緊急時には鋼鉄の使用も止むを得ないが、恒常的に駆体(くたい)として採用するのは好ましくない」。

翌2012年12月の総選挙で僕は敗退。複数の製鉄会社が導入に向け勉強会を立ち上げていた「鋼矢板工法」の調査費を、国交省は打ち切ります。

本誌の連載「ささやかだけど、たしかなこと。」(2015年10月11日号)で僕は、「鬼怒川(きぬがわ)決壊の「真犯人」は誰か!? 予防医学としての治水こそ新しい公共事業」と題し、新聞の「大本営(こくどこうつうしょう)発表」“コピペ”記事を再録しています。

「関東・東北豪雨」の2週間後、「締切堤防」と称し決壊箇所200mに「高さ4mの鉄製の矢板」「2枚の間に土砂を敷き詰め」、「鋼矢板工法」で仮堤防を設置した関東地方整備局はその1ヶ月半後、「土堤原則」に基づく「本格復旧の堤防建設工事に着手」と。

堤防を越えて川の水が溢(あふ)れ出る「越水(えっすい)」。堤防そのものが壊れる「破堤(はてい)」。一度(ひとたび)決壊するや溢れる量と流れの速さは激変し、物的被害も人的被害も桁違いとなります。破堤に至る原因の8割は越水です。河川の猛威の悲劇は、同じ場所で繰り返される蓋然性(がいぜんせい)が極めて高いと理解する米国や欧州、そして韓国では過去の決壊箇所の護岸強化に鋼矢板工法、或(ある)いは土砂とセメントを混合して固めたソイルセメント工法を導入済み。

翻(ひるがえ)って日本。今回の台風19号ハギビス襲来で堤防決壊が71河川140箇所に及んでも猶(なお)、後述する千曲川の決壊箇所を筆頭に鋼矢板工法は飽く迄(あくまで)も「応急復旧」の位置付けです。謂(い)わば「天動説」に胡座(あぐら)を搔(か)いて、「地動説」を小馬鹿にする浮かれポンチ状態。

「意識高い系」な面々が「首都圏の救世主」と称揚する、総事業費5320億円の八ツ場(やんば)ダムが利根川水系で役割分担するのは、全体の僅(わず)か1%に過ぎません。利根川支流の吾妻川(あがつまがわ)に巨大ダムを建造せねば2千名近いカスリーン台風の御霊(みたま)は報(むく)われず、と計画が発表されたのは今から67年前の1952年=昭和27年。

一万歩譲って八ツ場ダム建設が「必要悪」だったとして、河道掘削(かどうくっさく)と呼ばれる川底の浚渫(しゅんせつ)に投じた67年間の費用は如何程(いかほど)かと河川管理者に質(ただ)しても、該当する記録は見当たらずと言葉を濁すでしょう。

我々が手足の爪を切るのと同様、「減災」の肝心要(かんじんかなめ)は維持修繕。なのに財務省が「部・款・項・目・節(ぶ・かん・こう・もく・せつ)」と細分類する予算体系の治水の項目に「浚渫」は存在せず。

重機を用いて1㎡1万円強で実施可能な浚渫こそ、地元の土木建設業者が胸を張って従事可能な地域密着型公共事業。なのに国も大半の自治体も予算を別立てせず、現場の建設事務所の人件費等を「維持修繕費」に一括(ひとくく)り。護岸の補強、上流域の森林整備と並んで治水の基本たる浚渫は全国津々浦々で滞っています。

世界的趨勢を踏まえての「脱ダム」宣言

県土面積が全国4位の信州・長野県の知事時代、台風一過の秋季(しゅうき)に土木部・農政部・林務部の技術系職員を総動員して県管理の河川を総点検。浚渫の補正予算を県独自に組みました。3千万円にも満たぬ金額なれど、確実に治水に寄与。

「長野冬季五輪」から2年8ヶ月後の2000年10月に就任した僕は翌年2月、「長期的な視点に立てば、日本の背骨に位置し、数多(あまた)の水源を擁する長野県に於いては出来得る限り、コンクリートのダムを造るべきではない」と「脱ダム」宣言で9つの県営ダム計画の中止を打ち出します。

「治水・治山に王道なし」。「河川こそ、ネットワーク社会の象徴的存在」。「造るから治す・護る、そして創るへ。」と主張したのは、世界的趨勢(すうせい)を踏まえての決断でした。

1993年にミシシッピ川流域に甚大な被害を齎(もたら)した洪水を分析した米国陸軍工兵隊(アーミー・コープス・オブ・エンジニアズ)は、「洪水調節用構造物」としてのダムが却(かえ)って被害を増大させた側面を指摘し、避難プログラムの作成、氾濫原(はんらんげん)での土地利用の制限を含む総合的な洪水対策への大転換を促します。その翌年、ダニエル・ビアード内務省開墾局長が、「合衆国に於けるダム開発の時代は終わった」と日本も加盟する「国際かんがい排水委員会」で講演。

佐久間ダムを始めとして世界中のダム建設に資金提供してきた世界銀行も、「大規模ダム建設の巨額予算は往々にして当初計画を超過。調査対象81ダムでは堆砂(たいさ)が原因で当初の半分以下に保水機能が低下。ダムの耐久性の見直しは必至。洪水対策のあり方も抜本的な変更を迫られている」と知事就任直後に発表。

日本国内でも同年8月、宍道湖(しんじこ)・中海(なかうみ)の淡水化に851億円を投じた干拓事業を始め、計223の公共事業の中止を自由民主党政務調査会長が発表。採択後5年以上経過しても未(いま)だ着工せぬ事業。完成予定を20年以上経過しても竣工(しゅんこう)に至らぬ事業。実施計画調査に着手後10年以上経過するも未採択の事業。現在、休止=凍結中の事業。その4条件に基づく合理的判断です。

決断した亀井静香氏は、後(のち)に僕に述懐します。「方針を発表後、大抵抗する組織の中にも、これを入れて下さいと駆け込んで来る、心ある役人が居て、中止箇所数が増えたんだよ」。仮に後輩が、先輩の起案した事業に疑問を抱いても、中断・中止・廃止を進言する風土は霞が関に存在しません。官僚を闇雲(やみくも)に萎縮(いしゅく)させるのでなく、公僕(パブリック・サーヴァント)としての良心を覚醒させる触媒役の哲学が、政事屋(ポリティシャン)ならぬ政治家(ステーツマン)に求められています。

「脱ダム」宣言を発する3ヶ月前に僕は、美ヶ原に源を発する薄川(すすきがわ)の大仏(おおぼとけ)ダム建設計画を中止します。ダムなしでは松本駅前が水浸しになると旧建設省から出向の土木部長は力説。が、市街地を流れる薄川の夥(おびただ)しい分量の堆砂は“放置”された儘(まま)でした。

四半世紀も計画に翻弄(ほんろう)された建設予定地・入山辺(いりやまべ)地区での地元住民との車座集会後に即断するも、「素人知事」は些(いささ)か拍子抜けします。

「県政の停滞と混乱」を理由に知事不信任を1年8ヶ月後に決議する長野県議会、「民主主義の手続き」を重んじる記者クラブ加盟各社の誰1人として、強権的・独裁的だと抗(あらが)う素振(そぶ)りすら見せなかったのです。理由は簡単。前述の223箇所に含まれていたから。

河川はネットワーク社会の象徴的存在

他方、死者8千名の善光寺地震(江戸後期・弘化4年=1847年)の震央(しんおう)、1985年=昭和60年に26名の命を奪った地附山(ぢづきやま)地すべり災害の現場に近接する、活断層(かつだんそう)の真上に位置する浅川ダム計画を中止するお前は、無責任な「口舌(こうぜつ)の徒(と)」だと猛反発を食らいます。

冬季五輪のボブスレーリュージュ会場へのループ橋と隧道(トンネル)の建設費を捻出(ねんしゅつ)すべく、眠っていたダム計画が“ゾンビ”の如(ごと)く復活。本体工事は未着工なのに総事業費380億円の半分以上を「転用」していた摩訶不思議(まかふしぎ)な公共事業。しかも驚く勿(なか)れ、「ダムを造っても千曲川と浅川の合流部一帯の洪水は防げない」と件(くだん)の土木部長は県議会で答弁するではありませんか。

その直截(ちょくさい)な答弁に補足すると、千曲川との合流地点には3基の排水機場が存在。増水時にはポンプで浅川から千曲川へと汲み出しますが、好事魔(こうじま)多し。国管理の千曲川の河川改修は遅々として進まず、千曲川の増水時には浅川への逆流を防ぐ為に樋門(ひもん)を閉鎖せねばなりません。行き場を失った浅川の水は「内水氾濫(ないすいはんらん)」と呼ばれる浸水を住宅地や耕作地に及ぼします。「洪水調節用構造物」は必要十分条件たり得ず。優(すぐ)れて河川は、ネットワーク社会の象徴的存在なのです。

閑話休題首相官邸下の溜池(ためいけ)一帯はハザードマップで2m超の浸水深(しんすいしん)。今回浸水した長野新幹線車両センター一帯は長沼地区大字(おおあざ)赤沼(あかぬま)。千曲川の決壊地点は大字穂保(ほやす)。何(いず)れも水害の歴史を反映する地名です。

故(ゆえ)に、鉄建公団(日本鉄道建設公団鉄道建設・運輸施設整備支援機構)とJR東日本東日本旅客鉄道)の計画に住民は反対します。この田畑は、洪水になると1週間は水が引かない赤沼の遊水機能なのだと。長野市防災マップは車両センターの浸水を5m以上と表示。想定よりも低い4・3mに今回は留まったにも拘らず、羽田・成田から千歳へ機材を移動させた航空各社と異なり、上田、高崎等の高架駅どころか車両センター構内を走る本線の高架部分へと車両を移送させる鉄オタとしての愛情すら、JRという“疾走する駅前不動産屋”には希薄でした。

五輪前年の1997年10月開業が至上命令だった旧運輸省、旧建設省と長野県は、上流域に治水ダムを造れば解決すると甘言(かんげん)。それは地域住民を愚弄(ぐろう)する巧言(こうげん)に他ならず。有為(ゆうい)な県職員と共に僕は、浅川改修計画の優先順位を立案します。

先(ま)ずは浅川全域での河道掘削。天井川状態で信越本線の上を流れていた3km区間の河床を最大11m掘り下げ。完了後に現実的提案を行います。川幅が1000mを超える穂保地点で今回決壊したのは、下流5km地点の川幅210mと狭窄(きょうさく)な立ヶ花(たてがはな)での“糞(ふん)詰まり”が原因。その立ヶ花よりも下流に浅川から放水路、地下導水路を建設。車両センター地下に調節池を設置。一旦緩急(いったんかんきゅう)あればリンゴ畑を遊水地として活用する事前契約を農家と結ぶ。伝統的治水工法として濃尾(のうび)平野の木曽三川(きそさんせん)=木曽川・長良(ながら)川・揖斐(いび)川下流域に見られる輪中堤(わじゅうてい)、越水・破堤した場合にも被害の拡大を防ぐべく住宅地側に第2堤防=二線堤(にせんてい)を設けるetc. 国交省は尽(ことごと)く拒否しました。

僕の在任中に副知事を務め、浅川ダムの欺瞞(ぎまん)を熟知していた筈(はず)な総務省出身で現在の阿部守一知事は、「ダムなし」よりも「ダムあり」は浸水時間が1時間半も長引き、赤沼地区の浸水深は「ダムあり」で5cm上昇すると記された「報告書」を土木部から受け取ったにも拘らず浅川ダム建設に着手。3年前に竣工するも哀しい哉(かな)、浅川の内水氾濫は回避出来ませんでした。

河川管理者に、緊急放流の判断ミスや堤防決壊の監理(かんり)責任を刑事罰で問うた事例は皆無な「放置国家」日本。

防災の日」に奇(く)しくも堤防が決壊し、翌日未明に民家19戸が濁流に呑(の)み込まれた1974年=昭和49年9月の多摩川水害。『岸辺のアルバム』(原作・山田太一、主演・八千草薫)が描いた不条理の「決着」も、地域住民が費用と時間を「自己責任」で負担する民事訴訟に委ねられたのです。

デジタル・データなど存在しなかった往時、マイホームと共に失った家族の絆(きずな)の写真は2度と戻って来ない。遣る瀬無い(やるせない)思いで狛江(こまえ)市猪方(いのがた)の市民が河川管理者の国を相手取った損害賠償請求訴訟。一審は原告の勝訴。控訴審で逆転するも最高裁が破棄。差戻控訴審で住民が勝訴し、判決が確定したのは1992年=平成4年12月。18年3ヶ月の歳月を要しています。

星霜(せいそう)を経て、国交省の外局に当たる気象庁が「平成30年7月豪雨」と命名した昨年の「西日本豪雨」。同省四国地方整備局は「大雨特別警報」発令後、愛媛県内の肱川(ひじかわ)に位置する野村ダムと鹿野川(かのがわ)ダムからの放流量を敢(あ)えて減らしてダム湖の貯水量を増やした後、満水状態となった両ダムから安全基準の6倍もの「緊急放流」を実施。下流域の西予(せいよ)市、大洲(おおす)市で9名が犠牲となりました。

名は体を表す。全長103kmの源流から伊予灘(いよなだ)の河口まで直線で僅か18km。蛇行する肱川の護岸補強も儘ならぬ中、前述の自民党公明党・保守党連立政権時代の公共事業見直し勧告に含まれていた同水系の山鳥坂(やまとざか)ダム計画を、加計学園岡山理科大学獣医学部新設問題で耳目(じもく)を集めた、旧文部省官房長の加戸守行前知事を筆頭に今猶(いまなお)、切望する向きが存在します。

今回の台風19号水害でも、ダム湖流入の全水量をそのまま下流へ流す緊急放流に至った東日本の6ダムは何れも、降雨前にダム湖の水位を下げる「事前調節」を実施せず。「その理由は現時点では答えられない」と同省河川環境課は取材に対して居直りました。「天動説」総本山の面目躍如(めんもくやくじょ)です。

戦後の森林政策の不作為を問う

一方、台風15号ファクサイが齎(もたら)した「千葉県豪雨災害」は、戦後の森林政策の不作為を体現しています。

江戸時代までは杉と赤松、黒松、そして檜(ひのき)を程良き塩梅(あんばい)で植栽し、手入れも怠らなかった山武(さんむ)市一帯。戦後造林の「山武杉(さんぶすぎ)」は荒廃し、根腐れならぬ溝腐れ病に見舞われていました。その倒木が大規模停電の原因です。

日本の国土の68・2%は森林。フィンランドに次いで世界第2位の森林率。その45%は戦後造林された針葉樹。間伐(かんばつ)が急務なのです。樹齢45年から60年の間に針葉樹は、2列残して1列伐採(ばっさい)する「2残1伐」列状(れつじょう)間伐を行なわねば、根元に太陽光が差し込まず、幹が太くならず、ひ弱な“萌(も)やしっ子”の儘。

森林が県土の8割を占める信州・長野県。森林整備の技術者を養成すべく僕は、「信州きこり講座」と銘打った100時限の無料講習会を開設します。間伐資格を取得した土木建設業者には入札参加資格を与え、森林整備予算も県独自に2・5倍へと増やし、旧態依然たる森林組合が牛耳っていた分野に切磋琢磨の精神を吹き込みます。

就任時、利息の返済だけでも1日に1億5千万円と破綻寸前だった県財政を、県民の理解と職員の協力を得て47都道府県で唯一、在任6年間連続で起債残高を減少させ、基礎的財政収支=プライマリー・バランスを連続黒字化させる一方、「地球温暖化を防ぐ森林づくりは百年の計」と「森林ニューディール」を掲げます。と同時に、人が人のお世話をして初めて成り立つ21世紀の労働集約型産業としての福祉・医療・教育の充実も図りました。

鋼鉄製ガードレールと同じ強度認証を受けた信州型木製ガードレールも、「森林ニューディール」の象徴的政策でした。

都道府県道も市町村道も、「造る」際には事業費の65%を国が負担。けれども舗装等の「治す・護る」費用は全額、地元自治体の負担です。大手製鉄会社の関連企業3社が製造する、行政用語で車両用防護柵と呼ばれるガードレールも全額地元が費用負担。地元への経済的還元は設置時の人足(にんそく)費用のみです。ならば、伐採・搬出・製造・設置の全工程を地域で賄う県産材のガードレールを実現出来ないだろうか?

八重洲、日比谷同様、嘗ては海の入江(いりえ)の湿地帯だった丸の内で1920年大正9年に着工された旧丸ビル=丸ノ内ビルヂング。スギ科の落葉針葉高木メタセコイアが、9階建てビルを支える基礎でした。その一つが塩尻市の県林業総合センターに展示されており、僕は驚愕。つい先程まで生きていた樹木かと見紛う、光沢のある切株だったのです。

何れも県内業者が開発を担当した3タイプの信州型木製ガードレールは、HPに貼り付けた動画でご確認頂ける、つくば市国土技術政策総合研究所での大型貨物車と乗用車の実車衝突試験を経て、2004年に実用化。知事を退任する2006年まで毎年、設置経費2億円で6箇所ずつ、木の温もりを感じさせる信州の新たな道路景観を生み出します。

「これぞ我々も胸を張れる公共事業」と現在は自民党参議院議員を務める、道路畑出身の佐藤信秋氏も国交省事務次官として予算化に尽力下さいました。

「田中県政の全否定」が基本方針な現在の長野県でも、軽井沢町の中軽井沢から千ヶ滝を経て鬼押出へと向かう県管理の国道146号線、上信越自動車道群馬県に位置する碓氷軽井沢(うすいかるいざわ)インターチェンジから県境を跨いで県道92号線に入った場所を始めとする幾つかの地点で、地元紙「信濃毎日新聞」が黙殺し続けた県政改革の残滓(ざんし)に触れる事は可能です。

再び閑話休題。「減災」の肝心要(かんじんかなめ)は維持修繕。その「地動説」を、国交省の河川畑と同様に理解出来ないらしい農林水産省の外局に当たる林野庁。予算の92%は小さな沢に、「不純物」と国交省水管理・国土保全局が唾棄(だき)するコンクリートや鋼鉄を打ち込む谷止工(たにどめこう)、間伐完了後には再び下草が生い茂る作業道と異なり、山肌を抉(えぐ)り取る大規模林道に投じられています。

人件費が経費の7割を占める間伐や植樹の森林整備こそは疲弊した中山間地域に雇用と活力を生むのに、その予算額は全体の僅(わず)か8%。しかも今年度4661億円の林野庁予算は、「3・11」関連も含めて7兆3241億円もの国交省予算の16分の1。詰まり国交省の公共事業予算は森林整備費の195倍、と改めて知ると暗澹(あんたん)たる思いに駆られます。

とは言え、成功事例が無い訳ではありません。2013年の台風18号京都市を流れる桂川(かつらがわ)の嵐山(あらしやま)周辺が氾濫し、両岸の10ha近くが浸水したのを教訓に近畿地方整備局は、こまめな浚渫や護岸の補強に加えて、渡月橋(とげつきょう)付近の河道掘削を観光客が減少する冬場の3ヶ月間に集中的に実施。上流の日吉ダムが1997年の運用以来初めて緊急放水ゲートを全開した昨年7月の豪雨でも事なきを得ています。

「真の文明は 山を荒らさず 川を荒らさず 村を荒らさず 人を殺さざるべし」の気概を抱いて田中正造翁が、渡良瀬(わたらせ)川流域住民の為に足尾銅山鉱毒問題を明治天皇に直訴したのは今から118年前の1901年=明治34年12月10日。彼が還暦を迎えた年です。

千万人と雖(いえど)も吾(われ)往(い)かん。その「愛民心(あいみんしん)」に基づく彼の苦闘を忘れる勿(なか)れ。

人間の智能がAI=artificial intelligenceに優る唯一無比の心智(メンタリティ)は、「悟る」という営為。

それは、「科学を信じて・技術を疑わぬ」自称「意識高い系」な面々のアルゴリズム的思考では凡そ到達し得ぬ、「科学を用いて・技術を超える」心智でもあります。

「治水・治山に王道なし」。「造るから治す・護る、そして創るへ。」「『天動説』から『地動説』へ。」

富国強兵ならぬ富国裕民(ふこくゆうみん)の心智に基づく社会的共通資本のあり方が今、改めて問われているのです。

「水害は『脱ダム』のせいなのか」サイト 

~ただ単にやめれば良いのでなく、新しい治水のあり方を示す~「脱ダム政策の哲学と実践」サイト

「間違いだらけの日本の治水・治山」サイト 

田中康夫アドレス yassy@tanakayasuo.me

Vol.613「これぞ実践的「治水・治山」原論の決定版!「水害は脱ダムが原因!」と「天動説」を妄信するダム脳w反論できない「堀江貴文とNewsPicks」「上念司と虎ノ門ニュース」浮かれポンチな仲間達!」

VERDAD」2019年11月号「田中康夫の新ニッポン論」Vol.76 「おもてなし」の「眠度」

[堀潤]田中さん、ヴォランティアの活動も含め、あと行政の対応、政府の対応さまざまですがどうご覧になってますか。

[田中康夫]冒頭で映像が流れた愛媛県の西予(せいよ)市と大洲(おおず)市というのは、肱川(ひじかわ)と言うんですね。つまり蛇行する川なんです。なのに上流にダムがあるという形なんですけど。私は以前にもそこに視察に行ったことがあって。(註:全長103kmだが、源流から河口まで僅か18kmの一級河川 wikipedia:肱川 ) 

田中康夫YouTube公式チャンネル「だから、言わんこっちゃない!」

Vol.610 治水・治山総集編Part2 森林率68・2%世界第2位 経費7割が人件費の間伐こそ地域雇用 なのに林野庁予算は国交省の16分の1 しかも間伐は林野庁予算の僅か8%

Vol.609「河川こそネットワーク社会の象徴的存在!「ローマは一日にして成らず」を勘違いする国土交通省水管理・国土保全局の唯我独尊な天動説w 間違いだらけの日本の治水・治山総集編Part1」

大洲市肱川山鳥坂(やまとさか)ダム建設予定地を視察 2008/6/24(火)25(水)

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http://nippon-dream.com/archives/tanaka_dam_yamatori.htm

✽現地での発言をお読み頂けます

愛媛新聞」インタヴュー記事
http://nippon-dream.com/archives/pop_dam080626.htm

[田中]国土交通省は水管理・国土保全局というふうに河川局は名前を変えたわけですよ。でも、本当の管理とか国土保全って誰の為なのか?っていうところがね非常に問われるんで、オピニオンCROSSでもお話をしたいと思います。ただまあ、「先手先手で(時間との闘いを)全力でやってる」って国は豪語してるから、良い日が訪れることを望むしかないですね。

[堀]ホントに先手かな?どうかな?っていうのがね・・・。

*

[堀]さて各紙一面見ていきましょう。まずは読売新聞です。「西日本豪雨 死者179人に(12日11時57分現在 死者195人 共同通信発表)不明61人 捜索続く」。そして気になるのは「8ダム満杯 緊急放流」ということで、今もですね、水が流れ出ているのを堰き止めている溜め池や、そしてダム、水かさが増しています。そして何故そういうことが起きるのかということの1つに、今日の田中さんにこの後オピニオンCROSSで特集していただきますけれども。やはり山から流れてしまった木々がいろんな状況を堰き止めて、自然の溜め池をつくってしまったりとか、これ問題ですよね。

[田中]林野庁の予算ってのは3000億円台なんですけれども、その中で森林を間伐したり、広葉樹という保水力のある木、これの(整備)予算はわずか7パーセントなんです。

[堀]ちょっと足りないですね。

[宮瀬]では続いて「被災地で窃盗未遂 少年ら逮捕」というニュースです。

[堀]こちらのニュースは女性が54パーセントで比較的若い世代の方が関心が高かったですね。ヴォランティアで(被災地の現場に)入る時も、皆さん必ず自分の身分がどういうものであるのかって分かるようにネーム・プレートを付けたりとか、そういう形で入ってくださいねっていうふうに言われていますからね。

[田中]いやだけど逆に、善意で個人で組織に属さず何か物資をと思って女性の生理ナプキンであるとか、私のように口紅とか下着を持っていったら疑われちゃうってのもね・・・。

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[堀]田中さんの場合はね、田中康夫さんが来たなで分かると思いますけれども。

[田中]「全国指名手配」ですから(笑)。

[堀]ちゃんと分かるような状況を作るべきだということですね。

*

[堀]さあそれでは参りましょう、田中さんテーマの発表をお願いします。

[田中]「羊頭狗肉な日本の水管理・国土保全」。

[堀]はい。いきましょう。ホントに心配。お年寄りも多いし。

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日経新聞記事「国土強靭化、予算の焦点に」

[田中]で、ここに書いたようにね、造作の「造る」から「治す・護る」。そして創造の「創る」にしなくちゃいけない、ということを、私は治山と治水に関してはずっと言ってきたんだ。その話をしたいと思います。時間が多分、無くなっちゃうと思うんでYouTubeで夕方からまたちゃんとしゃべります。

[堀]はい。田中さんのYouTubeチャンネル(田中康夫YouTube公式チャンネル「だから、言わんこっちゃない!」)で。

田中康夫YouTube公式チャンネル「だから、言わんこっちゃない!」

[田中]で、私は今までダムをずっとやってきたのにダムでは防げないんだということを、京都大学名誉教授の今本博健(いまもとひろたけ)さんという方が私の師匠なんですけどね。

なぜ私がダムに反対するのか-淀川の常識・利根川の非常識- 今本博健(河川工学・京都大学名誉教授)
https://yamba-net.org/doc/20120529.pdf

「ダムが日本を滅ぼす」今本博健 - 草島進一書評

ダムが国を滅ぼす 単行本 – 2010/8/18 今本 博健 (著), 「週刊SPA!」ダム取材班 (著) 対談「今こそ“官治”から“民治”への転換を!」田中康夫×今本博健

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https://www.amazon.co.jp/%E3%83%80%E3%83%A0%E3%81%8C%E5%9B%BD%E3%82%92%E6%BB%85%E3%81%BC%E3%81%99-%E4%BB%8A%E6%9C%AC-%E5%8D%9A%E5%81%A5/dp/4594061427

[堀]『「脱ダム」宣言』。

『「脱ダム」宣言』全文 (画像クリックで外部サイトに接続します)

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[田中]今回も「ダムがあったから洪水が防げた」とか「ダムが無ければもっと被害が拡大した」と言ってるんだけれども。日本の国土の66.5パーセントは森林です。

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[田中]これは高知自動車道大豊町というところ。これ、つまり森が整備されていないからこういうことが起きているんで、この上にはダムも造れないんですよ。つまり日本の森というのは何かと言うと、針葉樹というのは保水力がありません。戦後、造林したのは針葉樹です。これが半分なんですね。

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[田中]そしてここに書きました。国土交通省の予算は6兆円近い。農林水産省の予算も2兆円以上。でもその農林水産省の中の林野庁の予算ってのは3000億円もないんです。国土(面積)の0.1パーセント足せば、「憲法改正」ができるような数値(3分の2=66・6%)で、フィンランドに次いで世界第2位の森林(面積)なんです。これこそ財産なんです。林野庁の予算の、森林の整備、間伐とか造林に使っている予算は8パーセントです。残りは大規模林道であったり、あるいは谷止工と呼ばれる小さな沢にコンクリや鉄を打ち込むということを行っているんです。この予算構造を変えなくちゃいけないってことを僕はずっと言ってきた。森林の整備ってのは人件費がその中の3分の2なんですよ。

ダムによらない治水対策の成果と取り組み!
http://yassy.system-a.org/keiei/chisui/seika/seika.htm

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[田中]そうすると青息吐息の山間地の土木建設業の人や林業関係者の雇用になるので、僕は知事時代に土木建設業の人に100時間無料で(信州木こり講座という)講習を受けてもらって森林整備の資格を取ってもらって、そして県の森林整備の予算を2.5倍にしたんです。そうすると林業組合の人たちじゃなくて、そういう土木建設業人の仕事にもなっていく。やはり構造を変える必要があるということなんですね。でも先ほど来申し上げているように「ダムが無ければ無理なんだ」っていう人たちがよくいる。じゃあ、ダムができるまでに何年かかるのか?

 

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[田中]八ッ場ダム(やんばダム)というのはまだ造っています。でも「八ッ場ダムが無いと洪水で大変ですよ」言ってから63年経ってはじめて造り出したんです。そうすると先ほどの造作の「造る」だけじゃなくて「護る・治す」ということを考えれば、護岸の補修であったり浚渫(しゅんせつ)であったり、あるいは森林整備であったり、つまり大規模なICUで緊急手術をするのに63年掛かる間、何をしてきてるかって言うと、何もしてきてない。実は今回、京都の桂川という嵐山の辺りが、前回は大洪水で家が浸水したのに今回はそうならなかったのは何故かというと、あそこの河床掘削(かしょうくっさく)ということを、実は国土交通省は初めて行ったんです、1968年から初めて。地球は生きているから(上流から下流に砂や石が)流れてくるわけです。そして一平米あたり機械を使えば1万円で出来るんです。

世界的景勝地で初の水害対策 京都・桂川の災害復旧工事

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[一同]んーん!

[田中]それは地元の青息吐息の人たちの産業になるわけです。なのに巨大な、こうした(ダム)を造る。そして今、人口も減っていくのに、実は各都道府県も4000億円くらい(ダム建設費用の)負担をしてるんですよ。

「脱ダム」アーカイブ・参考資料
http://www.nippon-dream.com/?p=6773

10/07/15 ああ、ダムありきの“恥水”対策よ
http://www.nippon-dream.com/?p=403

サンデー毎日」連載「ささやかだけど、たしかなこと。」第5回 鬼怒川決壊の「真犯人」はだれか!?予防医学としての治水こそ新しい公共事業
http://www.nippon-dream.com/?p=15069

脱ダム政策の哲学と実践
http://www.nippon-dream.com/wp-content/uploads/nodams.pdf

しなやかな国土強靱化
http://www.nippon-dream.com/wp-content/uploads/56b252dcd6798974c9eb9ce7789e6ae72.pdf

巨大公共事業で地元は潤わない 
http://www.nippon-dream.com/wp-content/uploads/b90708120d9bd21e7b86863a8b31a25a.pdf

「間違いだらけの日本の治水・治山」まとめサイト

「脱ダム政策の哲学と実践」まとめサイト

[田中]そして「これは利水にもなります」と言って、「ここからお水を取ります」と言ってる。でも、日本の水田面積は昭和30年代の半分です。

[堀]そうか・・・。

[田中]でも慣行水利権というのがあって、その水は上水道に使えないんです。

国土交通省 資源としての河川利用の高度化に関する検討会(平成27年12月3日開催)資料2 慣行水利権について (PDF:692KB)

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http://www.mlit.go.jp/river/shinngikai_blog/shigenkentou/dai04/pdf/s02.pdf

水利権 - Wikipedia
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%B0%B4%E5%88%A9%E6%A8%A9

[堀]ええー?!

[田中]工業用用水にも。

[堀]そうか・・・。

[田中]明治29年から変わっていない。こここそデューデリジェンス(Due Diligenceとは、行為者の行為結果責任をその行為者が法的に負うべきか負うべきでないかを決定する際に、その行為者がその行為に先んじて払ってしかるべき正当な注意義務及び努力のこと - Wikipedia)をしなければいけないのに、大元を何もしていないわけです。

[堀]今はじゃあ、その水はどうなってるんですか?

[田中]川の中に(ダムという)構造物を造れば新しい水利権が生まれるという法律なんです。

[堀]へー?!

[田中]水は全員のものでしょ?

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あまり報道されない「水道民営化」可決。外国では水道料金が突然5倍に
http://blogos.com/article/310613/

社会的共通資本
http://tanakayasuo.me/archives/22210

何故、19世紀の1860年からジェネラル・デゾー(現ヴェオリア)と、1985年の更改時からセーヌ川左岸はリヨネ-ズ・デゾー(現スエズ)と契約したパリ市が2010年、両社との委託契約を終了させ、浄水から給水、料金徴収の全てを再公営化したのでしょう? 老朽化した設備更新を理由に水道料金が高止まりする中、1977年から18年間に亘って市長を務めたジャック・シラク氏と両社の「関係」も問題視され、ステイクホルダーstakeholderで構成される円卓会議が財務の透明化と説明責任を担う再公営化が、皮肉にもウォーター・マフィアの符牒(ふちょう)で知られる両社が本社を構える地元自治体で敢行されたのです。

所有者・従事者・利用者の何れもが1人の「人間」として分け隔てなくサーヴィスを共有し得るのが社会的共通資本。運営会社へ対等に発言可能な航空会社が利用する空港と、か弱き市民が利用する水道が、同じ土俵でコンセッションの議論をなし得ぬ理由です。

田中康夫YouTube公式チャンネル「だから、言わんこっちゃない!」Vol.187『ちょっぴし真面目なお話(涙)Part3 今や行政の「民営化」は錦の御旗に非ず!』
 動画&資料

[堀]うんうん。

[田中]そして今回もね、「水道を民営化しなきゃ」と。災害が起きた時に民間の会社がああやって給水車を出しますか?

[堀]水道法が改正されましてね、民間事業者の参入を促した。

[田中]ヨーロッパも他の国々も再公営化をしてるわけです。公営化ということは税金の無駄遣いじゃないんですね。今回も先ほどお話をした肱川、水があふれて10名近い方が亡くなった。

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[田中]「大洪水になる」って気象庁が言ってたわけでしょ。「宴会」をしてた人もいたかも知れないけれど・・・。(気象庁は7月5日14時に大雨としては異例の緊急会見を東京と大阪で実施し)その時点から逆に、ダムから放水をする量を減らしてるんですよ。減らしてって最後に「ダムが満杯になったので、安全基準の6倍の水を出しました」と。「お伝えをしたけれども、皆が行動してくれなかったからだ」って四国地方整備局は昨日だか一昨日だか会見をしてるわけですよ。

ダム放流「徹底的に検証する」と首相

安倍晋三首相は13日、西日本豪雨の際にダムの放流により愛媛県肱川が氾濫し、犠牲者が出たことに関し「国土交通省で徹底的に検証し、改善点があれば改善していく」と述べた。視察先の同県宇和島市で記者団に語った。

*

愛媛 ダム放流「下流域の被害は予想もやむをえず」

大雨の際、洪水調節機能を失った肘川水系の野村ダムと鹿野川ダム

野村ダムと鹿野川ダムの放流による肘川の水害

4人犠牲の愛媛・大洲、ダム放流量は安全基準の6倍だった…

 

「もう放流はしないでくれ」水没の街にみたダム行政の”限界”【西日本豪雨】画像全11点

 愛媛 肱川の氾濫被害に疑問の声 ダム放流の検証委設置へ 国交相

[堀]んーん??

[田中]「周知は適切だった」と「受け手に行動を起こして貰えなかった」と。

[堀]なるほど、言ったけど・・・。

[田中]でもね、(ダムの緊急放水で発生した死亡案件)で刑事責任が問われたことは一度も無いんです、日本では。同様にダムの水の流し方を間違えた為に新潟でもですね2004年に(新潟・福島豪雨の際に刈谷田ダムと大谷ダムの放水のタイミングを間違えて)洪水が起きて人が亡くなったんです。唯一あるのは、皆さんご存じの狛江市の(1974ン年の多摩川水害で山田太一氏の作品)「岸辺のアルバム」というところで水害があった。でもこれは家が流されて自分達の子供の写真のアルバムが流れちゃったということで、(最高裁からの差し戻し控訴審で1992年に住民側が東京高裁で勝訴した)民事訴訟でしかないんですね。つまり刑事責任が問われない日本の河川管理ってのは一体なんなのか?

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[田中]そこで私はずっと言ってきたのはアメリカやヨーロッパや韓国においても、必ず川の流れって河川改修しても自然だから同じようにぶつかるんですよ。そこには鋼矢板を、鉄板を2枚入れてるんです。

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[田中]そうすると堤防は決壊しないんです。日本の堤防は土堤原則といって土と砂だけなんです。僕はずっと国土交通省に、「なんで同じようなこと(諸外国同様の鋼矢板の設置)をやらないんですか?」と聞いたら「土と砂以外が入っているのは、不純物である」と言ってるわけ(笑)。

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「福岡・大分両県を(2017年7月に)襲った記録的豪雨で氾濫した河川や浸水した地域は2012年の『九州北部豪雨』と重なる部分が多」く、筑後川水系花月川も「同じ場所で越水や護岸・堤防の損壊が4ヶ所あった」と「西日本新聞」は報じました。

改修を重ねても河川の流れは簡単には変わりません。故に欧米諸国のみならず隣の韓国でも、過去に決壊した場所、決壊が予想される場所には堤防の両肩から基礎まで、鋼矢板(こうやいた)を縦に2枚打ち込む強化策を導入しています。

日本は異なります。建設省河川局が国土交通省水管理・国土保全局へと名称変更した現在も、「土堤(どてい)原則」に固執しています。堤防内に土と砂以外の“不純物”が混じるのは認められぬ、と真顔で彼らは語るのです。

http://tanakayasuo.me/top/wp-content/uploads/2017/07/27cb7c766956f952aa0f1cc4b5b8a1ad.pdf

「鬼怒川決壊の『真犯人』は誰か!? 予防医学としての治水こそ新しい公共事業」 「サンデー毎日
http://www.nippon-dream.com/wp-content/uploads/20150928170844.pdf

[堀]んー、「自然とは言えないんだ」と。

[田中]トンネルを東京湾に通す時は鉄を使ってるでしょ?

[堀]おかしいね。ダブル・スタンダードですね。

[田中]「(川の流れに対して)縦には使えるけど(堤防の中で)横には使えない」って言ってるわけ。

[堀]はっはあ、なるほど。

[田中]だから、このあたりは・・・、スーパー堤防のことも話そうと思ったけれども時間が無くなったんでそれはYouTubeで。

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[堀]今日、何時からでしたっけ?

[田中]夕刻以降、毎日やってますけど夕刻以降に流します。

[堀]是非チェックをしてみて下さい。

Vol.352『治水とは何か!2人の泰斗に教わったヤッシー!ダムを知り尽くしたればこそ脱ダムに目覚めた今本博健・京大名誉教授と宮本博司・元近畿地方整備局河川部長!間違いだらけの日本の治水Part3』

なぜ私がダムに反対するのか−淀川の常識・利根川の非常識− 今本博健(河川工学・京都大学名誉教授)

https://yamba-net.org/doc/20120529.pdf

ダムが日本を滅ぼす 今本博健インタヴュー

変わらぬダムに物申す ダム懐疑派になった元長良川河口堰建設所長・宮本博

まともに見ようよ〜川と地域と私たちの生活 宮本博

ダムができると水害がなくなるとの錯覚があるが、ダムで水害を「真に」防いだ例は皆無といっていいほど少ない。ダムで水害を防げないのは、ダムの洪水調節機能に限界があるからである。(今本博健京大名誉教授・河川工学)

http://www.pref.aichi.jp/uploaded/attachment/46402.pdf

ダム治水からの脱却を「東京新聞」「こちら特報部」7月13日付けを踏まえての論考

 

田中康夫YouTube公式チャンネル「だから、言わんこっちゃない!」間違いだらけの日本の治山特集

Vol.350『観れば納得! 危機を煽りながら基本を怠るダム至上主義者! いまだに天動説な国交省水資源・国土保全局が牛耳る 間違いだらけの日本の治水Part1』

Vol.351『もいちど納得! 羊頭狗肉な日本の堤防行政こそ諸悪の根源! いまだに天動説な国交省水資源・国土保全局が牛耳る 間違いだらけの日本の治水Part2』

Vol.352『治水とは何か!2人の泰斗に教わったヤッシー!ダムを知り尽くしたればこそ脱ダムに目覚めた今本博健・京大名誉教授と宮本博司・元近畿地方整備局河川部長!間違いだらけの日本の治水Part3』

Vol.353 『国土の66%を占める日本の森林 なのに林野庁予算は僅か3千億円! 間違いだらけの日本の治山Part1』

 

TOKYO MX「モーニングCROSS」(07:00~08:30)は首都圏以外の全国・全世界の方々も以下、エムキャス配信ページ・スマートフォン専用アプリにてご視聴頂けます。

 

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「註の新たな註」

「いまクリ」と「もとクリ」、その記憶の円盤が舞い続ける時空。ようこそ現在から1980年の東京、そして日本へ❣

「✽文庫本化に際しての、ひとつの新たな長い註。」でお約束した「註の新たな註」は、両書に登場する「字句の解釈」に留まらず、高度消費社会の幕開けから現在に至る時代背景を、
関連する僕の拙稿等も紹介しながら絵解きしていくサイトです。

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