2015年02月06日 TOKYO MX 「モーニングCROSS 田中康夫 安倍首相対テロ「罪を償わせる」発言で波紋」
[堀潤]さぁ、こうしたニュースの中から今回は田中さんテーマの発表をお願い致します。
[田中康夫]はい。一番上にありました「罪を償わせる」発言なんですけど、実は一番大きな問題はこれだけ大事な転換点の時に、首相会見を開いて無いんですよね。記者の、所謂ぶら下がりという立ち話の言葉が、しかも外務省が同時に英訳を、即座にしなかったことによって非常にこの発言を巡ってですね海外のメディアでですね色んな一人歩きをしちゃった。
[堀]脊山さん、ちょっと概要を改めて。
[脊山麻理子]はい。安倍総理は一日、過激派組織「ISIL」による後藤健二さんの殺害に対し「絶対に許さない。その罪を償わせる」と表明、国際社会で大きな波紋を呼んでいます。
[堀]菅さんが、ひとり定時の会見を開いているというような状況ですよね。で、世界のメディアの報道なんですが、特にニューヨーク・タイムスですね。「日本の平和主義から離れ、安倍総理は殺害への報復を誓う」という見出しで
Departing From Japan’s Pacifism, Shinzo Abe Vows Revenge for Killings
安倍総理の談話を「テロリストに代償を支払わせるんだ」と紹介。そしてBBCですが「安倍総理は尋常でないほど強い言葉で”日本はテロに屈しない” ”テロリストに罪を償わせるため国際社会と行動を共にする”と明言した」と紹介しているということで
Japan hostage killing: Critical test for PM Shinzo Abe
Sunday's announcement of the killing of Kenji Goto, the second of two Japanese hostages captured by Islamic State (IS) militants, represents a major political challenge for the Japanese administration of Prime Minister Shinzo Abe.
海外、英国そして米国の主要メディアが日本は転換したんだ、っていうようなことを見出しに付けていたと。
[田中]いくつかツイッターで、私が「イスラム国」と使った言葉はどうなのかってのがありました。ただこれは、アメリカのメディアが絶対ではありませんが「United States Of America」って言いますよね。そうするとアメリカのメディアは今でも「States of Islamic=Islamic State」って伝えてるわけですよ。ですから、最も我々が気を付けるべき事はね、日本に住んでるイスラム教の方々を含めてその人達に罪は無いわけであって、それを連想させるのではいけないけれども、じゃぁ略称を使えば良いのか?っていうことなのでね。
[堀]行き過ぎるとね、それはまた言葉狩りに近いところもある。
[田中]ここは是非皆さんは考えて頂きたい。
[堀]受け手側のリテラシーが育っていれば、あぁ「イスラム国」ね全然国じゃ無いけどねイスラムでも無いし、でも彼らはそうやって名乗ってるよねっていうのが浸透すればね一番良いと。
[田中]先ほどねスタッフが用意してくれた日本語がありましたけれども、ニューヨーク・タイムズを始めとする海外のBBCとかは「Departing from Japan's Pacifism・・・」、Pacifismというのは所謂戦争放棄をする国の憲法から日本は決別をしたと言ってて、で、「Abe seeks more active military role!」と。つまりもっと所謂積極的戦争主義へと至るんだっていう形になってるわけです。で、なんでこういう具合になってしまうかというと、確かに日本語で聞いても「罪を償わせる」っていうのはある意味では復讐という感じなんだけども、冒頭で申し上げたように何故会見を開いてきちんとあれだけのものは紙を読んで齟齬が無いようにするってのが、海外の首脳と会見をした場合だってきとんと共同声明ってのは文章を練るわけでしょ。で、それを行わないで官房長官が会見をしたといっても日本においては上位は首相ですから、じゃぁ首相の発言が一人歩きした事はこれはやっぱり非常に事務方も含めて私は問題があったんじゃないかなと。
[堀]安倍首相としては国会の論戦の中で私は説明していますっていうようなスタンスなんでしょうね。
[田中]この番組でも元旦の日に、逆に今の今上天皇は満州事変にはじまる戦争の歴史を十分に学び、という発言をしているっていうことは我々は心に留めるべきであって、僭越ながら申し上げましたし、あるいは阪神・淡路大震災の「1・17」に今上天皇と美智子皇后が20年という事で出掛けたけど、その同時間帯にエジプトでイスラム国と戦う国に対してお金を支援しますと。
【関連リンク】15/02月号 田中康夫の新ニッポン論 ㉑「パーフォーマンス」◆月刊VERDAD ‐ベルダ‐
[田中]そこには非軍事と付いてたかもしれないけれど、イスラム国と戦う国に対してということを「1・17」「3・11」という、日本が心に刻むべき日にあえて何故日本を離れたのかなってこともこないだ放送で言いました。で、そうやって考えると、もう1点はね皆発言が誤解されたんだと言われてるけども、実は去年の9月23日の段階でこれは未だに日本のメディアがホームページに載せていますけれど、ニューヨークで安倍さんは残念ながら「空爆でイスラム国壊滅を」っていう発言になって、これが世界中でも飛び回っているわけですよね。そうすると先ほどの問題で言うと、どこから始まってんのかなと。じゃぁ有志連合には参加しませんって言ってるけどアメリカのホームページには日本が有志連合に入っていると。
via ★阿修羅♪ > 戦争b14 > http://www.asyura2.com/14/warb14/msg/865.html
[堀]そうなんです、リストにしっかりと入ってます。だからパブリックな状態で、あぁ有志連合だよねそりゃそうだよねってことになってますよね。
[田中]だから言葉の軽さということで言うとね、これから先、「日本人には一本たりとも指は触れさせません」とかあるいは逆に「二人が亡くなった責任は全て私にあります」って仰るんだけど、僕はやっぱり菅さんは非常に今悩んでらっしゃんじゃないのかなと思ってて、やはり言葉の軽さというものを我々はどう捉えるのかということは非常にこれから大事な問題になると思います。あともう1点はね、よくイスラエルと日本の国旗の間で話したからっていわれてる、これも映像的には非常にインパクトがあるものかもしれない。でも実は日本は去年のね5月の段階でネタニヤフ首相が来日した時に、日本はアメリカとは同盟国関係ですけども、イスラエルとはその時に準同盟国関係を結んでいるんですよね。
で、これは何かというとイスラエルの所謂無人飛行機とかサイバー兵器とかいうものに日本の企業が協力するだけじゃなくて日本がそうしたものを一緒に情報を共有するんだという準同盟国関係を結んでいるから、その意味で言うと、イスラム国がやったことは私は何も認めてません、とんでもないことをしたことです。でも一方で我々はパレスチナにおいて、まさに国連に加盟してる3分の2が承認をしてるパレスチナ自治政府のところにですね、わずか最初の一週間で500トンもの爆弾を落としたということに関しては、ついつい黙っていたわけですよね。だからこの辺りのことが非常に問われるのかなと。
[堀]いやほんとに言葉の響きにね酔っているようなところがあるかなというのは、ほんとに戦争にヒロイズムはいらないということずっと映画を撮っていらっしゃる監督が言っていたのを聞いたことがあるんですけど、お互いに殺し合ってるという状況ですからね。どっちに正義の旗があるわけでもないっていう状況で日本がどういう立ち回りをするのか今問われていて、絶対に許さないなんていうことは何か大義を掲げているようなね。
[田中]だから先ほど言ったように正式な会見をせずに立ち話で、そしてすぐに英訳を日本がださなかったことによって海外のメディアは「REVENGE」という言葉を使ったんでね、でそして「Make them pay for their Sins!」てのはまさに「彼らの罪を償わせる」なんですけど非常に強い言い方だったから、他方で自衛隊がどうするのかってのがあるけど、アメリカですらなかなか救出が出来ないのに日本の自衛隊ならば出来ますって話は・・・
【今日のオピニオンCROSS】 田中康夫さん@loveyassyのテーマは「安倍首相の‘罪を償わせる’発言」 #クロス pic.twitter.com/S0ACZZyWbB
— モーニングCROSS (@morning_cross) 2015, 2月 6
[堀]ほんとそうです。
[田中]もし、これ、自衛隊がきちんともっと平和活動で貢献すべきだと思いますけどもね。じゃ中国や北朝鮮がアメリカ軍には出来ないけど俺達なら救出できるぞっつったら多分日本の多くの人はえぇー?って思っちゃうんで、やっぱり外交ってのはそういう事が起きる前に言葉の力によって、やはり相手が理解出来ないからこそ理解し合うという常日頃の努力・・・それはやはり改めて外務省の人に私は願いたいですね。
【関連リンク】 15/3月号 憂国呆談 season2 volume56◆ソトコト15/3月号パリのテロ襲撃事件から、「イスラム国」の存在、話題作『21世紀の資本』、戦後70年の節目まで。
【関連リンク②】新党日本の地上(じべた)十策「10」 「サンダーバード隊」創設!
【関連リンク③】[田中康夫メッセージ] 2007.05.24 憲法9条に「サンダーバード」の役目を via 田中康夫Official Web Site
[堀]まったくそうです。はっきり言うとテロリスト達のですよ思惑、この手のひらに載せられてるような状況ですからね、結局それが加担していることに繋がりかねないですからね。
[田中]同時に政権批判を繰り返すことはイスラム国の思う壺だっていう発言もあったけども、逆に言うと政権批判なんじゃ無くてやっぱり至らなさは改めるに如くは無しなんで、それを繰り広げられると憲法九条の思う壺って思っちゃってんのかな?ってね。
[堀]逆に冒頭でね仰ってた自民党内でも、この対応について色んな異論があるということも。
[田中]アドレナリンを出し過ぎないように・・・っていうのは・・・安倍さんに期待したいですね。
「安倍晋三首相はアドレナリンが出すぎていて、前のめりになる傾向がある」(2月2日「谷垣禎一の興味津々」出版を祝う会@ホテル椿山荘東京での挨拶 - 2月5日付夕刊フジ「鈴木棟一の風雲永田町」第5074回から採録)
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