2016年09月13日 TBSラジオ「生島ヒロシのおはよう一直線 今朝のニュースピックアップ 築地の現在地売却で1兆円単位の巨額の浮利を得ようとマネーロンダリング的発想でスタートした東京都中央卸売市場の「移転問題」」電話ゲスト 田中康夫

[生島ヒロシ]さあ今日のニュースピックアップは作家の田中康夫さんに伺っていきましょうね。康夫ちゃん。

[田中康夫]はい。おはようございます。

[生島]どうぞよろしくお願い致します。

[田中]こちらこそ。

[生島]まずはね、「豊洲の新市場 盛り土なき空洞」なんていう見出しが出てますね。

[田中]元々ね、2011年には移転が完了すると言われてたんで、もう既に5年遅れなわけでしょ。

[生島]なるほど。

[田中]で、盛り土の建物の下が空洞だ、じゃあそこに水も溜まってどうすんだっていう事を言ってるんだけど、僕、これ、そもそもから少し考えなきゃいけないんじゃないかなって思うのは、築地市場ってのは「狭くて、古くて、汚い」って言われてたわけだよね。で、じゃあそれをどうにかしなきゃいかんっていう時に、実は、あの場所で建て替えは技術的に難しいって当時言われてたんですよ。でもね、今考えてみると、渋谷の駅もね、渋谷の百貨店もね、営業しながらあれだけ渋谷大改造をやってるわけじゃないですか。

[生島]ええ。

[田中]そうすると、日本のゼネコンの技術ってそりゃ世界屈指で、あの場所で行うって事が本来出来んじゃないのって、僕は多分、参議院議員だった、長野県の知事くらいからかな、これ言ってたんですよ。でも出来ませんって言ってたわけでしょ。で、あの下に環状二号線の道路を通しますって言うけど、道路下に通ってる所は沢山・・・だって虎ノ門ヒルズだって下に道路通ってる上に超高層ビル建てられる技術がある。そうすると、当時、ずっとメディアでも一部で言われてたのは、築地の土地を売れば1兆円になりますと。じゃああそこをどう再開発するかって、一時はほら、国営放送局があそこに放送センターを移すって話もあったわけですよ。で、じゃあ逆に移転すれば1500億くらいで出来ますと言って豊洲を選んだ。そうすると、どうもこの発想自体がね、やっぱり文化って事考えたら、THUKIJIって、だって今やKOBANとかKARAOKEと並んで世界用語じゃないですか。だってこれだけ世界中の人達が、欧米の人も築地に来る。そしてテリー(伊藤)さんの実家がやってらっしゃる玉子屋さんだって、やっぱり場内市場もあってこそ、場外市場も魅力があるわけでね。だから僕はずっとあの場所を、アメリカでもボストンとかサンフランシスコとかほら、フィッシャーマンズワーフと言って市場と売り場と、そしてそこに船も着けられる、そういう場所が都心の真ん中にあってこそね、ニッポンの・・・。だってアメリカの3倍も日本はお魚食べる国なんだから、と思ってたんですけどね。なかなかそうなんなかった。で、土壌汚染もね、これやっぱり、実は、ずっとあの場所で20年、30年近く石炭から都市ガスを作ってたわけですよ。今は都市ガスってほら、船に載せてLNGガスっていう液化天然ガスを運んできてそのまま都市ガスにするけど、だからこれ、売却をしたガス会社は、実は東京都にこの問題がなった時にも文書を出してるんですよ。っていうのはね、2000年に東京ガスは責任無いんで、文書で築地市場豊洲移転は基本的に受け入れがたいですと。何故ならば豊洲市場は工場跡地で土壌処理や地中埋設物の除去等に大変な改善費用を要しますって文書で出してんですよ。

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出典:東京みなと館 写真でみる『豊洲埠頭―きのう・今日・あした』

https://www.tokyoport.or.jp/43pdf_04.pdf

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2009 築地があふれた!! 壊すな築地 6.27 東京大行進Ⅱ 田中康夫

田中康夫 公式ポータルサイト » 築地市場移転問題

で、それに対して、東京都に対して、ちゃんとこの場所を再利用するにしても、学校とか病院とかそういうものには使わないで下さいって書いてあるわけよ。

[生島]ほお。

[田中]だけどそれがまさに、もっと食生活の市場になってきちゃった。そうすると今、一生懸命小池さんが為さってるんだけども、じゃあ、最後着地点はどこなんだってんで今、補償費用がとか、あるいはベンゼンの具合がって言うけど、元々、だって東京ガスが、売却する時に出した2001年でも、ベンゼンって発ガン性の物質は1500倍もありますよって言ってたの。それがその後、東京都が調べた時に2008年には43000倍だったわけでしょ(笑)。
[生島]うーん・・・。
[田中]だから、そうすると、この、元々の製造者責任はどこにあるんだろうと。ずっと市場を埋立地に移りたくないのは卸売業者のエゴでしょって一時は言われていたわけだ。でも、いや、どうしてこの築地を再開発しないで、わざわざ、よりにもよって他の場所に移すにしてもあの場所を選ばれたのは何故なのかなっていうところまで話がいっちゃうんでね、これは大変な深い問題ですよね。

[生島]だけど、石原さんとかね、それこそ東京の排気ガスは酷いもんだっつってペットボトルに黒いのとか見せてたじゃないですか。

[田中]はいはい。

[生島]そういう意識は高かったにもかかわらずだよね。

[田中]うん。でも結果的に、これ元々、築地をどうするかっていうんで建て替えだって言うんで、青島さんの時に豊洲案ってのが役人の人から出てきたんだけど、豊洲案を決断したのは石原さんなのでね。だから僕も当時2007年2008年2009年と3回くらい築地の市場の人達と、これエゴなんじゃないんですよって、海を愛する東京都知事は、ちょっと海をもっとね、海のものを大事に考えてよっていうのを銀座で会合をやったんですけどね。その後、猪瀬さんになっても、いやこの場所なんだと。で、土壌汚染をするからつって1500億円で建設費用がってのがもう、今や膨大になっちゃって、そしてまた下が空いていましたって。これも東京都が言うのは、あくまでもその後の技術専門会議は土壌汚染の話をする場所で、建築工法の話じゃないからとかって、なんかどんどん専門の袋小路に入ってっちゃった感じはしますよね。

[生島]いや、だけどこれ、長い目で見たらね、やっぱりブランド価値が落ちちゃうじゃないですか。

[田中]そうなの。だからまさに、経営効率だけじゃなくて日本の文化とかね、食の文化とか、僕はホント今からでも築地のあの場所をフィッシャーマンズワーフにするのも、大変な経済効果とか観光効果ですよね。

[生島]だからやっぱり5年先10年先20年先どうなるかっていう事も踏まえた視点って重要だよね。

[田中]はい。いやだから、それがやっぱり政治とか経営のそういう指導者に本当は必要なんだけどね。うん。

[生島]今日はね、中々ね考えさせる、突き刺さるナイス、ありがとうございました。

[田中]はい。どうも。

[生島]作家の田中康夫さんでした。

 

 

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