2015年05月19日 TOKYO MX 「モーニングCROSS 田中康夫 ONE OSAKA "府市"合わせ構想」

 

  

[堀潤]さあ、まず早速ですが田中さんテーマの発表をお願い致します。

[田中康夫]はい。「ONE OSAKA"府市"合わせ構想」と。

[堀]おぉー、当て字!

[脊山麻理子]17日に、大阪都構想の賛否を問う住民投票の投開票が行われ、朝日新聞社朝日放送(ABC)は出口調査を実施、若い世代の賛成が多かった中、70歳以上の61パーセントが反対に回っていたことが分かりました。

[堀]年代別に見ると、特に賛成した方々の割合で言うと70歳以上の方々が反対61パーセントだと。で、その他の年代を見ると賛成が上回っていたという話です。で、これはもし仮に、住民投票がインターネット等を使って投票出来るような仕組みになっていたら、ひょっとしたら結果も変わっていたんだろうなという話。ただ、この大阪都構想、所謂、大阪都構想住民投票(正式投票名:「大阪市における特別区の設置に関する住民投票」)を巡っては、経済格差の話、地域差・地域間格差の話など、世代間対立等も言われているんですけれども、ただ、実際には橋下さんがやってきたことというのが、実を言うと、世代間で搾取するという話ではなく、ひょっとしたら全体的にそれぞれが疲弊する話なんじゃないかとか、そういった声も上がっていました。さて、田中さんはどういう観点で。

[田中]今回、まさに府と市がバラバラだから「”府市”合わせ」なんだ、と言われていたのに対して、府と市を一緒にしちゃう事こそ「不幸せ」だという話だった。

 

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[堀]んん。不幸だという「フシアワセ」の方。

[田中]で、これは何かというと、皆さん、大阪府の面積というのは香川県と同じです。もっと言うとですね、私が知事を務めていた長野県の木曽谷ってありますよね、(人口)4万5千の。木曽谷と同じ大きさなんです。ですから全国で最も小さい。で、もう一個はですね、大阪市だけじゃなくて、例えば仙台市政令指定都市です。政令指定都市、例えば、宮城県仙台市宮城県庁の前の県道が走ってますよね。県道と国が定めているから県が当然維持管理をしてるんだろうと皆さんお思いでしょうが、政令市の中においては、その県庁の前の県道も、宮城県ではなくて仙台市が管理をするわけ。で、これは大阪においても同じ事で、ですから彼が最初、府知事になった時に御堂筋も含めてなんで大阪府は何も出来ないのってことはあったんだと思う。で、その頃は市長と府知事の考えが違うから、一緒に出来ないんだって言っていた。でも、ご存知のように、その後、彼は府知事から市長になって、そして自分の、ある意味では一心同体の舎弟が市長になった。そうするとこれは何かと言えば、ウラジミール・プーチン氏とドミトリー・メドベージェフ氏が一緒になっているようなものなわけ。だから、なのに、制度が変わらないから出来ない(と言ってるわけ)だ、じゃぁ、制度が無くても鉄道も会社は別でも相互乗り入れってしてる訳でしょ。つまり、供給側の都合でなく納税側、あるいは消費側の観点に立ったら、制度が駄目でもこれだけ僕らやりましたよと。でも、僕らが100年後も市長と府知事やるわけじゃないから、後世の人の為にこういう実績を踏まえた上で制度を変えましょうというならば分かるのに、制度が無いから出来ないんだってのは、つまり、勉強机や勉強部屋作ってくんないと俺、成績よくならねぇってのと同じで、成績良くなったら始めてよってことだと思うのね。

[堀]だいたい2011年からは、府知事と市長がタッグを組める状況になったわけですから、あれからもう4年以上経つわけですからね。

[田中]という事を僕は、彼がそうなった時に、冒頭、僕は支持してたけども、それはまず「隗より始めよ」が必要じゃないのってことは幾度か述べた。

[堀]あっ、えぇ。えぇ。

 

 

[田中]ただ、今回ね、メディアはみんな、例えば朝日新聞も社説で「市民は変革ではなく市の存続を選んだ」とかね。産経新聞も「改革議論は継続すべきだ」って言ってるけど、果たしてそもそも改革ってなんですか?。で、日本はどうしてもですね、この国の「かたち」を考える。で、司馬遼太郎さんは「かたち」と言ったけど、恐らく、司馬さんのはこの国の「あり方」を一人ひとりが考えようってことだったと思うんですよ。ところが皆さんご存知のように、1994年に小選挙区制を入れれば政策本位になると、小選挙区制でないからこんなに政治が停滞してるんだっつった。でも、それから20年経って、ありゃ、逆に劣化しちゃったなと。あるいは平成の大合併をしないと住民サービスが維持できないと言ったのに、大合併で、合併特例債って建物と公園にしか使えないんで、訪問介護とか託児の充実には使えない合併特例債で、今、自治体はその借金返すので四苦八苦してるわけでしょ。あるいは、道州制を入れましょうって言ってるけれども、その前にするべきことがある。だから、先ほど鉄道会社が合併しなくたって一緒の観点で相互乗り入れ、で、今回の場合に、多くの人たちは、じゃぁ、財政効果は年155億円に上りますって、橋下さん達が言ったんだけども、でも、その中で、市と区を統合するので、庁舎の建設には600億円掛かりますって言うと、なんだ、またハコモノ行政?ってのがあったと思うのね。ただ、この中(住民投票期間)中で非常に、橋下さん達は5億円も使って、(テレビ)コマーシャルや全戸配布をしたりしたので、逆に言うと大阪の人はものすごく考えた。考えたけれども、なんとなくみんなの中にちょっと気持ちが残っちゃったなっていうのと、あとこれは読売新聞が書いていたんだけどね、なるほどって。「そもそも都構想は、橋下氏自身が「大学生が4年間かけて勉強しても理解しきれない」というほど複雑で、将来への不確定要素が多かった。で、反対派はそこを突き、都構想で住民サービスは下がり税は上がるっていうんだけど、やっぱり僕は税制も含めて制度ってのはシンプルであることが大事なんです。シンプルでそして公平というか公正である。

 

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平成24年1月27日 衆議院本会議 田中康夫【代表質問】

 

[堀]公平・中立・簡素ってのは税の三原則ですからね。

[田中]だから、その意味で言うとやっぱり、その前に、折角市長と府知事が同じ方向になったならば・・・。

[堀]もっとやれることがあったんじゃないかと。

[田中]もっとやれる。病院も府病院と市病院があるっていうけど、じゃぁ、それはサービスを低下しないで一緒にやれる形で、実は来年度からは法律が変わって、政令市と都道府県が一緒に協議をする場を設けなさいという風になるんです。だからその意味で言えば、法律が出来る前から先にやるよって言えれば良かった。

[堀]じゃぁ、今回も橋下さん、辞める必要無いじゃないですか、別にね。

[田中]でも、橋下さんは通らなければ辞めますって言ったんで。

[堀]まぁ、あれもひとつのパフォーマンス・・・。

[田中]これも、住民投票はワンオブイッシューなんでね、これが通らなきゃ辞めますって言うのは、やっぱり3年半前に選挙に選んだ人に対して恫喝じゃないのっていうことなんで。

[堀]なんか、そういうヒロイズムに酔わないで欲しいなと思うんですね。

[田中]あともう一個だけ、先ほど来、オリンピックそうだよねって、なんで夏にやるの?って。マラソンの人なんか大変じゃない?って

[堀]秋で良いんじゃない・・・。

[田中]先ほど、ちょっと言葉が足らなかったんだけども、8月というのはアメリカの、所謂、野球とかフットボールとか、スポーツのイベントが無い。

[堀]なるほど。オフシーズン。

[田中]だから、アメリカのテレビ局、メディアにとっては8月に・・・

[堀]儲かるから。

[田中]・・・オリンピックは開催してもらうのが有難い、でもね、日本が一番お金出すわけでしょ?

[堀]えぇ。えぇ。

[田中]だったら日本は物言う国になるって言ってるんだったら、日本の一番良い季節を世界の人に知ってもらうって、良い成績を出す為には、同じ原点に戻って10月10日だよって言える日本に私はなって欲しいと思うけどね。

[堀]さわやかな季節にやりましょうよって提案を日本からしっかり出していく。

[田中]うん。そうよ。

[堀]ありがとうございました。

 

 

 

 

 

 

  

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