つい先日まで僕は県知事であったり国会議員であったり...代表質問してみんなが「んー」って言ってくれたり「それはどうよ?」って言ってくれんだけど、多分物語というのはひとりひとりが読んでいく中で、読み終えて何か自分の新しいヒントが得られたな、あるいは共感できるな、ってことだから、自分にとっても、この33年間を振り返りながら描くことが出来たと思いますね。
(『33年後のなんとなく、クリスタル』を今になって書こうと思った理由というのはあるんですか?)
最初の本は1980年にあたしが大学生の時に書いて、まぁある意味では高度消費社会、あるいは流通というものが一つの文化でもあるという時代だったと思うんですね。そしてそれがその後、ITというような形のモノが出てきて人口よりも携帯電話の数の方が多い。
便利になったけれども、でも便利になったのか、束縛されるようになったのか、その中で私たちは日々確かさを求めて生きているので、そうしたその33年間、これまでの日本、今の日本、そしてこれから少子高齢と言われているこれからの日本、っていうのを登場人物たちと一緒に考えられればな、と思って描きました。
世の中って、数字やお金に換算できないところに確かさだったり、ホッとしたりする気持ちがあると思うんですよ。だから若い世代の人たちは、なんか自分たちは乗り遅れちゃったかな、とか疎外されちゃったかなとか・・・。でもそうじゃ無いんだよ、って思ってるけど、なかなか言う場所もネットの中くらいしか無くて、そこでも傷ついちゃうな、と思ってる人に、本当のリアルなものは、自分の大好きな人だったり、あるいはこういうひとりの、お休みしてるけど多分聞いてくれている自分の愛おしい家族だったり...なんだよねっていうことを感じられると良いと思いますね。