2019年10月12日 TOKYOMX 田村淳の訊きたい放題!part 2 博打の玄人🤑木曽崇カジノ問題研究所長🎰 🆚激突😝 賭博の素人😱田中康夫ロッタの執事🐩
[田村] さあそして僕が気になった今週の訊きたいテーマはこちらです。「賛成?反対?どうなるカジノ誘致 8地域で激戦に?」。こちらのテーマについてこの後皆さんにじっくりお話を聞いていきたいと思います。
*
[田村]マカオとシンガポールでは全然違って、マカオはカジノだなって感じしますけど、シンガポールはねIRですから、なんか、カジノがある一部分にはあるけど、複合化施設としてショッピング・モールの方が大きいですし。
[田中]インテグレーテッド・リゾートって、なんでカタカナ使うのかね?統合型お遊び施設ってすればね分かり易いのに。
[田村]なんか誤魔化したかったんですかね?(笑)。
[鈴木奈々]想像ではなんかラスベガスのようなのができるのかな?って思うんですよ。
[古谷]近い近い。ただ、日本の場合は今仰ったようにカジノとIRというのは元々違いますからね。カジノってのは賭場場で鉄火場ですから。IRってのは総敷地面積の、日本においては3パーセントまでがカジノ施設で、残りの97パーセントについては例えばホテルとかショッピング・センターとか遊園地とかいろいろ、水族館とか入ってるわけですよ。
[田中]そうすると木曽さん、面積のわずか3パーセントでも外国から企業がどんどん来ようってことは3パーセントなのにめちゃんこ儲かるっていう??
[木曽崇]カジノが儲かるっていうのは事実です。むしろカジノの儲けによってその他の様々な施設を支えるってのが統合型リゾート、IRのビジネス・モデルなので日本もそれを義務付けてるという。
[田中]でもこの一番下の、国は今「キャッシュレス決済!」って言ってるのに、現金しか駄目って逆行してない?これ。
[古瀬絵理]現金のみでクレジットカードは使用不可と。
[田中]クレジットカードも使えないんでしょ?じゃあ腹巻に一杯巻いてけってこと?ヤバイじゃん(笑)。
[田村]昔の賭場に行くスタイルではないと思いますけど(笑)。
[古瀬]それともう一つのポイントは、日本人は入場料は一回6000円ということで、週3回、月10回以内の利用に制限されますという風になっております。
[田村]改めてどうですか田中さん、カジノ・IRが日本にやって来るっていうことを。
[田中]私はね、先ほど出てきた藤木幸夫さんがFM横浜の社長やってて、私も音楽番組、5年目なんで、それでよく存じ上げてるんだけど、横浜の人たちが世論調査して6割7割、「ちがうよね」って言ってるのは多分、「港の見える丘公園」が好きですか?「カジノの見える丘公園」をお望みですか?っていうことなんだと思うんですよ。だけどね、カジノって世界中に140カ国(ある)って東京都も言ってて、実は141カ国正式にはあるんですよ。でも大昔に1638年にヴェネチアの運河のところにカジノができたの。でもこのカジノは由緒ある感じなんで、こういうカジノなわけよ。
[田村]すごいね。写真も持ってきてもらってるんですね(笑)。
[田中]だって私もニワカ評論家だから(笑)。こういう、スロットマシーンもこんな雰囲気なの。だからドストエフスキーって立派な文豪、あの人、カジノでスリすぎてそれで小説書いたっていう人だから。
[田村]お金が無くなって小説書き始めた…。
[田中]そうそう。それで『罪と罰』とか書いたの。だからある意味では世界最古の、博徒とね泥棒と娼婦ってのは世界最古の職業かもしんないんだけど、カジノって意味はイタリア語ではCasa(カーサ)ってほら、「小っちゃなお家」でも、Sino(シノ)ってのは「内側」ってことなの。で、イタリア語だとCasino(カジノ)ってのは、ギャンブルだけじゃなくて「滅茶苦茶」とか「騒音」とか「娼館」っていう意味もあったりするの。でね、こういうことを言うとねよく「田中康夫はカジノ行ったことねーんじゃねーか?」って言われたんで、そんなことなくてですね、私はなんと…。
[田村]マイ・フリップがすごいですね(笑)。
[田中]もうね、自腹で12カ国16箇所行ってるの。って言ってもスロットマシーンくらいなんですけど。なのでね、4類型に分けてみました。
[田村]カジノを4類型に。
[田中]はい。で皆さんが先ほど仰ったマカオ、マカオは横にほら「夜總󠄂會」っていうナイトクラブがあって女が待機してて、ロンダリング型。中国の役人に新興財閥がお金渡すみたいな。で、アゼルバイジャンっていう国があってカスピ海の、(首都)バクーで映画『007』の中にも出てきたの。これ何かって言うとね、ロシアの官僚(シロヴィキ)を新興財閥(オリガリヒ)が接待すると。で、あえて示し合わせてプロが入って負けてあげて合法的ロンダリング。
[田村]なるほど。
[田中]3番目のカンピオーネってのはねスイスの中にイタリアの飛び地であるんですよ。スイスは今までEUに入ってなかったから、スイス銀行ロンダリングだ!と。でもこれ厳しくなったんで、僕が行った後の去年(2018年)に廃業しちゃったんですよ。逆に言うと囲い込み型ってのは全部カジノのところで、なんでも宿泊もご飯も全部外に出なくて良いですよってのがシンガポールや南アフリカのサンシティや、あるいはアメリカのアトランティックシティ。で、これ、トランプさんがやったんだけど逆にラスベガスと違って囲い込みだから衰退しちゃったわけ。で、こういう素敵なカジノっていうのは結局サローネ型。ヴェネチアとかドイツのバーデン=バーデンなんてちょっと素敵でしょ?
[田村]すごい資料を。良い場所ですね。
[田中]そうそう。で、後でお話しますけど、日本にもねゲームセンター型のカジノってのが沖縄にあって、アメリカへの思いやり予算(で沖縄うるま市の米軍基地)の中に。。で、スロットマシーンだけ。で、ミラノにあるのなんかはゲームセンター型だからスロットマシーンだけ。だからこの囲い込み型を多分、日本はしようとしてる。
[田村]やろうとしているっていうことなんですね。
[田中]だから藤木さんなんかが言ってるのも、そんなことやったら中華街にも飯食いに行かねーだろ、と。
[田村]囲い込んじゃうと。
[田中]もっと良い(見本市)展示場を作ればそこで人が一杯働くし、外にもホテルにも泊まるしと。だからこの囲い込み型はアトランティックシティと同じように失敗しちゃうよってことを言ってるんです。
[田村]なるほどね。鈴木奈々さんみたいに治安が悪化するんじゃないかってなんとなく思っちゃってる人はたくさん居るんだろうが、今のお話を聞いてどうですか?
[鈴木]ラスベガスとかの話を聞いたら、そんなに治安が悪く…
[古谷]ラスベガスはむしろ全米の中でも治安がものすごく良い街として評価されてるんですよ。
[鈴木]知らなかった。
[田中]ラスベガスはファミリー・デスティネーションって言ってバリー・マニロウとかのショーとかもあるって段々変えてった。でもこないだの銃乱射事件で何百人もの人が死傷するようなことも。それはカジノが原因。でもう一個ね、囲い込みって何かと言うと、全部中に入れちゃうってことでしょ?そうするとね地域にも(お金が)行かない。よく巨大温泉旅館が、中でカラオケも夜鳴きそばも食べさせる。で、外にみんな行かない。だから藤木さんはそのことを言ってるわけ。地元の中華街にもホテルにも、あるいは国際展示場みたいなものをきちんと造れば保税(地域地域だから通関業務なし)で港に(船を)着けて外国から税金を払わないで展示できて、それは運搬の人とか見に来る(人々)とか膨大な裾野なんだと。だからやっぱり囲い込みってのは多分、横浜の場合にはねあそこにね血と汗(と涙)があるんだと(藤木さんが)仰るのは、横浜って実は関東大震災の時に2万5000人も、東京の人口の5分の1なのに亡くなって、その瓦礫とかを埋めて造ったのがあの山下ふ頭とか山下公園なんですよ。だからむしろそこに国際展示場みたいなだだっ広いのを造れば、なにか災害があった時はそれこそ避難所になるじゃないかと。カジノだと中は迷路みたいで、多分、避難所に使わせてくんないよね。だからやっぱり街ってほら、「三方良し」ってのが大事じゃないですか。売る人も買う人も世間も。まあでも去年、一昨年か、アメリカのプロパブリカっていう調査報道機関があって、シェルドン・アデルソン(ラスベガス・サンズCEO)さんというカジノ王とトランプさんがとても仲が良くて、そしてその人が是非日本で早く法律を通してくれと、やれよと、(フロリダで言われたと)いうことが載ってて、日本のメディアもちょっとこれ書いたんだけど、ちょっとヘタレなんでその後やらないわけよ。
[田村]でも今の観点でいくとですよ、きちんとIRとしてゲートウェイ政策ですか?で、ちゃんと近隣も潤いが循環できるようなシステムって考えた時にどこが良いんですか?そうなった場合。
[田中]だけど「カジノの見える丘公園」にしたいですか?ってのが結構みんな思ってることなんだよね。
[田村]「カジノの見える丘公園」にしたくないんだよね。
*
[田中](カジノ)依存症云々じゃないし、逆に言うと(カジノは全国で)3箇所しか造らないわけでしょ?この日本に。パチンコ屋さん、1万軒あんだよ?でよくね、パチンコを止めさせろ!カジノだ!っていう人、3箇所になったら逆に暴動起きるよ、普通の会社帰りの人が。だから非現実的なんですよ。っていうかIRってカジノありきじゃないんでしょ?なんかカジノありきな話がヘンで、日本ってモノづくり産業元気無いって言うけど、ところが展示場・見本市会場、(雇用も経済効果も)裾野広いんですよ。日本の一番大きなビッグサイトで(敷地面積の順位が)世界77番目ですよ。
[一同]んーん。
[田中]他はみんな大きいわけ、中国もヨーロッパもアメリカも。これは朝の番組(モーニングCROSS)で使った(フリップ)なの。有効活用して(笑)。だから藤木さんは船が着けられる場所に25万平米で、25万平米っていうと世界10位以内に入るんですよ。これの方がよっぽど雇用を生むよねと。なのになんでカジノばっかりの話になってんの?っていうところはもう一回頭を整理した方が僕は良いよね?と思うんだよね。
[田村]なるほどね。もっとだからトータルでIRというのを考え直した方が良いってことですが。木曽さんどうですか?カジノが無いとIRって言えないのかどうかっていうことですが。
[木曽]カジノが無い複合施設ってのはたくさん世の中にはあって、それは六本木ヒルズとかそういったものだってカジノが無いだけなんですね。例えば東京ドームなんて東京ドームシティ全体でホテルがあってショッピングセンターがあって野球場があって統合型施設なんですが、その全体をカジノの収益で支えてるっていうビジネスモデルの部分が統合型リゾートで、(田中さんに)仰って頂いた国際会議場だとか展示会場の話はすごく重要で、国の今の施策の中でも統合型リゾートの中に占める展示会場の位置づけってものすごくデカいんです。ただ我々がというよりは国がカジノを合法化しなきゃいけないよね、っていう風に至った原因は、じゃあ予算どうやって誰のお金で建てるんだっけっていうところからスタートしてるんですね。カジノは儲かります。その儲かったお金でその他の行政的に必要なもの、たとえばMICE施設、国際会議場、そういったものを建てましょうと。
[田中]ねえねえじゃあカジノは誰が建てるの?
[木曽]カジノ事業者がお金を投じますって話です。
[田中]だけどね、私、そのことも分かんなくて、今回法律でなんかいろいろやったけど、この一番下に誘致自治体はIR事業者に対する手厚い補償義務が課せられるっていう文面があるんですよ。てことは途中で例えば首長が変わって止めましょうとか、採算取れてないカジノがもし生まれたらそれは誘致した自治体が補填しなさいと。
[田村]ほぉ。守ってあげなきゃいけないっていうことですか?
[田中]…いう話を聞くと黒船が来てっていう感じだし、あとこれ木曽さんも記憶あると思うけど、外資系企業が5000億円の投資するんだったら、同等の金額くらいを日本が提示しないとカジノ産業根付かないって。で、富裕層の子育て向けにたくさんの文教施設がある地域は賭博の開発に向かないから豊洲は駄目、とかそうすると横浜だって大学とか高校一杯ある。これ、木曽さんが言った発言なんだよ。
[木曽]はい。文教地区は私の発言なんです。
[田中]苦笑(笑)。
[田村]ははは(笑)。すごいそのフリップを用意してるっつーのがすごい(笑)。
[田中](このフリップの発言の)上もねそう(木曽さんの発言)なの。いやいやだから良い議論をして欲しいと思うから、だからこれだけのお金出せる日本の企業、ありまっか?と。
[田村]どうなんですか?日本の企業も確かに田中さんが言うとおり、外資と同じぐらいのお金を投じてくれないと、全部外資の方にね旨味が行っちゃうみたいなことも起こり得るんじゃないですか?
[木曽]いま実は、例えば大阪で手をあげているMGMミラージュ…、MGMリゾートという会社があるんですがそこはパートナーとしてオリックスさんが入ってます。オリックスさんは、オリックスプラスα大阪系の企業さん含めて過半を取りたいということは仰っていて、日本の企業さんでも半分取りにいくっていう人たちは実は存在します。
[田村]なるほど。この千葉の人たちも。
[木曽]そうですね。千葉の方々も、彼らは資本力そんなに無いですから。
[田中]5000億出せないでしょオリックスの。
[木曽]5000億の中のナンボを借金、別途で調達をして株式で調達する分の半分っていうことになります。企業のコントロール力という意味では。
[田中]それだけ出すってことになればね、株主総会の株主とかファンドの人だって社会的企業としてどう思うか?ってことあるから、だから僕はホントにもう一回、カジノありきの議論からじゃなくて日本の永続的繁栄のために、せっかくできたIRの法律をどう有効活用するかってことは多分、木曽さんも思うことだし。
[田村]でも止まんないじゃないですか、カジノは。
[古谷]大体、石原(慎太郎東京都知事)さんが最初に提唱して、ゴタゴタゴタゴタ主にパチンコ業界が客が取られるって言って反対してる間にシンガポールに持ってかれたってのは事実なんです。
[田村]えー、じゃあ日本が先に、シンガポールよりも立ち上げようとしてたんですかIRは。
[古谷]そう。先行してたのにそれがパチンコ業界から、要するにシェアが奪われるという有形無形の圧力があって。
[田中]でもそれでトランプさんに言われたから、はいって話になると。
[古谷]トランプは駄目です。
[田中]IR、外圧に頭が上がんないって、こりゃウヨが怒らなきゃならんよ。
*
[田村]では「訊きたい世論調査」の結果発表です。
[古瀬]本日は東京に「カジノを含むIR」が設置されることをあなたはどう思いますか?というテーマで世論調査を行ってきましたが、最終結果はこのようになりました。「なしだ」と思う方が多いですね。「あり」も5863ptですね。メールをご紹介しましょう。ペンネームカジノさんです。「どう考えても日本にメリットが無いと思う。まず世界の金持ち連中をどうやって日本に来させるのか、その方法が見えない」という風にご意見頂きました。それではここで鈴木奈々ちゃんがお送りする今日の総括です。
[鈴木]はい。今日私が気になった言葉ってか事は、田中さんの「マイフリップ」。ちょっと持ってき過ぎだな(笑)。
Vol.616「「思想・信条」がYa‘ssyと異なると「日経」で「告解」学習院大学長もシャッポを脱いだ「サンデー毎日」実践的「治水・治山」原論!ダム脳なリバーフロント研究所が登場の痛い「文藝春秋」w」
19/12月号 憂国呆談 season2 volume113◆ソトコト
消費税の軽減税率から、
台風15号の対応、
グレタ・トゥンベリさん、
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水害は脱ダムのせいなのか!?
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「サンデー毎日」2019年11月17日号
「水害は『脱ダム』のせいなのか❣田中康夫の実践的『治水・治山』原論」(※画像をクリック!)
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水害は『脱ダム』のせいなのか!? 田中康夫の実践的『治水・治山』原論「サンデー毎日」2019年11月17日号(11月6日発売)
リード文「しなやかな是々非々」
甚大な被害をもたらし、河川氾濫の恐ろしさを知らしめた台風19号。安倍晋三首相は防災の観点から八ッ場ダムを称賛し、また、「脱ダム」が水害を招いたという声もある。だが果たしてそうか? 長野県知事時代から、河川のネットワークを見極めた「治水」を思索、実践してきた田中康夫による真の国土強靱化論。
本文
「『土堤(どてい)原則』は、断じて譲れません」。
河川局を改組して2011年7月、国土交通省に誕生した水管理・国土保全局の官僚は拒み続けました。土と砂利以外の「不純物」が堤防内に混じるのは馴染(なじ)まない、と真顔で。
鋼鉄(スチール)も混凝土(コンクリート)も他の公共事業では「不純物」どころか必須の素材。コンクリート壁の隙間(すきま)から水が浸潤(しんじゅん)して平時から内部が“液状化現象”に陥りがちな堤防を補強すべく、両肩から基礎まで鋼矢板(こうやいた)を縦に2枚打ち込む護岸工法の事業化に向け、僕が求め続けた調査費が2011年度=平成23年度予算に初計上された後の遣り取りが冒頭の発言。
「決壊した箇所に仮堤防を設置する緊急復旧工事と、本格復旧工事の工法の違いを、河川行政に疎(うと)い我々に説明頂けますか?」。
民主党政権の一翼(いちよく)を担っていた国民新党代表の亀井静香氏と共に新党日本代表の僕が尋ねるや、“論理的で科学的な講釈”を垂れました。「緊急時には鋼鉄の使用も止むを得ないが、恒常的に駆体(くたい)として採用するのは好ましくない」。
翌2012年12月の総選挙で僕は敗退。複数の製鉄会社が導入に向け勉強会を立ち上げていた「鋼矢板工法」の調査費を、国交省は打ち切ります。
本誌の連載「ささやかだけど、たしかなこと。」(2015年10月11日号)で僕は、「鬼怒川(きぬがわ)決壊の「真犯人」は誰か!? 予防医学としての治水こそ新しい公共事業」と題し、新聞の「大本営(こくどこうつうしょう)発表」“コピペ”記事を再録しています。
「関東・東北豪雨」の2週間後、「締切堤防」と称し決壊箇所200mに「高さ4mの鉄製の矢板」「2枚の間に土砂を敷き詰め」、「鋼矢板工法」で仮堤防を設置した関東地方整備局はその1ヶ月半後、「土堤原則」に基づく「本格復旧の堤防建設工事に着手」と。
堤防を越えて川の水が溢(あふ)れ出る「越水(えっすい)」。堤防そのものが壊れる「破堤(はてい)」。一度(ひとたび)決壊するや溢れる量と流れの速さは激変し、物的被害も人的被害も桁違いとなります。破堤に至る原因の8割は越水です。河川の猛威の悲劇は、同じ場所で繰り返される蓋然性(がいぜんせい)が極めて高いと理解する米国や欧州、そして韓国では過去の決壊箇所の護岸強化に鋼矢板工法、或(ある)いは土砂とセメントを混合して固めたソイルセメント工法を導入済み。
翻(ひるがえ)って日本。今回の台風19号ハギビス襲来で堤防決壊が71河川140箇所に及んでも猶(なお)、後述する千曲川の決壊箇所を筆頭に鋼矢板工法は飽く迄(あくまで)も「応急復旧」の位置付けです。謂(い)わば「天動説」に胡座(あぐら)を搔(か)いて、「地動説」を小馬鹿にする浮かれポンチ状態。
「意識高い系」な面々が「首都圏の救世主」と称揚する、総事業費5320億円の八ツ場(やんば)ダムが利根川水系で役割分担するのは、全体の僅(わず)か1%に過ぎません。利根川支流の吾妻川(あがつまがわ)に巨大ダムを建造せねば2千名近いカスリーン台風の御霊(みたま)は報(むく)われず、と計画が発表されたのは今から67年前の1952年=昭和27年。
一万歩譲って八ツ場ダム建設が「必要悪」だったとして、河道掘削(かどうくっさく)と呼ばれる川底の浚渫(しゅんせつ)に投じた67年間の費用は如何程(いかほど)かと河川管理者に質(ただ)しても、該当する記録は見当たらずと言葉を濁すでしょう。
我々が手足の爪を切るのと同様、「減災」の肝心要(かんじんかなめ)は維持修繕。なのに財務省が「部・款・項・目・節(ぶ・かん・こう・もく・せつ)」と細分類する予算体系の治水の項目に「浚渫」は存在せず。
重機を用いて1㎡1万円強で実施可能な浚渫こそ、地元の土木建設業者が胸を張って従事可能な地域密着型公共事業。なのに国も大半の自治体も予算を別立てせず、現場の建設事務所の人件費等を「維持修繕費」に一括(ひとくく)り。護岸の補強、上流域の森林整備と並んで治水の基本たる浚渫は全国津々浦々で滞っています。
世界的趨勢を踏まえての「脱ダム」宣言
県土面積が全国4位の信州・長野県の知事時代、台風一過の秋季(しゅうき)に土木部・農政部・林務部の技術系職員を総動員して県管理の河川を総点検。浚渫の補正予算を県独自に組みました。3千万円にも満たぬ金額なれど、確実に治水に寄与。
「長野冬季五輪」から2年8ヶ月後の2000年10月に就任した僕は翌年2月、「長期的な視点に立てば、日本の背骨に位置し、数多(あまた)の水源を擁する長野県に於いては出来得る限り、コンクリートのダムを造るべきではない」と「脱ダム」宣言で9つの県営ダム計画の中止を打ち出します。
「治水・治山に王道なし」。「河川こそ、ネットワーク社会の象徴的存在」。「造るから治す・護る、そして創るへ。」と主張したのは、世界的趨勢(すうせい)を踏まえての決断でした。
1993年にミシシッピ川流域に甚大な被害を齎(もたら)した洪水を分析した米国陸軍工兵隊(アーミー・コープス・オブ・エンジニアズ)は、「洪水調節用構造物」としてのダムが却(かえ)って被害を増大させた側面を指摘し、避難プログラムの作成、氾濫原(はんらんげん)での土地利用の制限を含む総合的な洪水対策への大転換を促します。その翌年、ダニエル・ビアード内務省開墾局長が、「合衆国に於けるダム開発の時代は終わった」と日本も加盟する「国際かんがい排水委員会」で講演。
佐久間ダムを始めとして世界中のダム建設に資金提供してきた世界銀行も、「大規模ダム建設の巨額予算は往々にして当初計画を超過。調査対象81ダムでは堆砂(たいさ)が原因で当初の半分以下に保水機能が低下。ダムの耐久性の見直しは必至。洪水対策のあり方も抜本的な変更を迫られている」と知事就任直後に発表。
日本国内でも同年8月、宍道湖(しんじこ)・中海(なかうみ)の淡水化に851億円を投じた干拓事業を始め、計223の公共事業の中止を自由民主党政務調査会長が発表。採択後5年以上経過しても未(いま)だ着工せぬ事業。完成予定を20年以上経過しても竣工(しゅんこう)に至らぬ事業。実施計画調査に着手後10年以上経過するも未採択の事業。現在、休止=凍結中の事業。その4条件に基づく合理的判断です。
決断した亀井静香氏は、後(のち)に僕に述懐します。「方針を発表後、大抵抗する組織の中にも、これを入れて下さいと駆け込んで来る、心ある役人が居て、中止箇所数が増えたんだよ」。仮に後輩が、先輩の起案した事業に疑問を抱いても、中断・中止・廃止を進言する風土は霞が関に存在しません。官僚を闇雲(やみくも)に萎縮(いしゅく)させるのでなく、公僕(パブリック・サーヴァント)としての良心を覚醒させる触媒役の哲学が、政事屋(ポリティシャン)ならぬ政治家(ステーツマン)に求められています。
「脱ダム」宣言を発する3ヶ月前に僕は、美ヶ原に源を発する薄川(すすきがわ)の大仏(おおぼとけ)ダム建設計画を中止します。ダムなしでは松本駅前が水浸しになると旧建設省から出向の土木部長は力説。が、市街地を流れる薄川の夥(おびただ)しい分量の堆砂は“放置”された儘(まま)でした。
四半世紀も計画に翻弄(ほんろう)された建設予定地・入山辺(いりやまべ)地区での地元住民との車座集会後に即断するも、「素人知事」は些(いささ)か拍子抜けします。
「県政の停滞と混乱」を理由に知事不信任を1年8ヶ月後に決議する長野県議会、「民主主義の手続き」を重んじる記者クラブ加盟各社の誰1人として、強権的・独裁的だと抗(あらが)う素振(そぶ)りすら見せなかったのです。理由は簡単。前述の223箇所に含まれていたから。
河川はネットワーク社会の象徴的存在
他方、死者8千名の善光寺地震(江戸後期・弘化4年=1847年)の震央(しんおう)、1985年=昭和60年に26名の命を奪った地附山(ぢづきやま)地すべり災害の現場に近接する、活断層(かつだんそう)の真上に位置する浅川ダム計画を中止するお前は、無責任な「口舌(こうぜつ)の徒(と)」だと猛反発を食らいます。
冬季五輪のボブスレー・リュージュ会場へのループ橋と隧道(トンネル)の建設費を捻出(ねんしゅつ)すべく、眠っていたダム計画が“ゾンビ”の如(ごと)く復活。本体工事は未着工なのに総事業費380億円の半分以上を「転用」していた摩訶不思議(まかふしぎ)な公共事業。しかも驚く勿(なか)れ、「ダムを造っても千曲川と浅川の合流部一帯の洪水は防げない」と件(くだん)の土木部長は県議会で答弁するではありませんか。
その直截(ちょくさい)な答弁に補足すると、千曲川との合流地点には3基の排水機場が存在。増水時にはポンプで浅川から千曲川へと汲み出しますが、好事魔(こうじま)多し。国管理の千曲川の河川改修は遅々として進まず、千曲川の増水時には浅川への逆流を防ぐ為に樋門(ひもん)を閉鎖せねばなりません。行き場を失った浅川の水は「内水氾濫(ないすいはんらん)」と呼ばれる浸水を住宅地や耕作地に及ぼします。「洪水調節用構造物」は必要十分条件たり得ず。優(すぐ)れて河川は、ネットワーク社会の象徴的存在なのです。
閑話休題。首相官邸下の溜池(ためいけ)一帯はハザードマップで2m超の浸水深(しんすいしん)。今回浸水した長野新幹線車両センター一帯は長沼地区大字(おおあざ)赤沼(あかぬま)。千曲川の決壊地点は大字穂保(ほやす)。何(いず)れも水害の歴史を反映する地名です。
故(ゆえ)に、鉄建公団(日本鉄道建設公団=鉄道建設・運輸施設整備支援機構)とJR東日本(東日本旅客鉄道)の計画に住民は反対します。この田畑は、洪水になると1週間は水が引かない赤沼の遊水機能なのだと。長野市防災マップは車両センターの浸水を5m以上と表示。想定よりも低い4・3mに今回は留まったにも拘らず、羽田・成田から千歳へ機材を移動させた航空各社と異なり、上田、高崎等の高架駅どころか車両センター構内を走る本線の高架部分へと車両を移送させる鉄オタとしての愛情すら、JRという“疾走する駅前不動産屋”には希薄でした。
五輪前年の1997年10月開業が至上命令だった旧運輸省、旧建設省と長野県は、上流域に治水ダムを造れば解決すると甘言(かんげん)。それは地域住民を愚弄(ぐろう)する巧言(こうげん)に他ならず。有為(ゆうい)な県職員と共に僕は、浅川改修計画の優先順位を立案します。
先(ま)ずは浅川全域での河道掘削。天井川状態で信越本線の上を流れていた3km区間の河床を最大11m掘り下げ。完了後に現実的提案を行います。川幅が1000mを超える穂保地点で今回決壊したのは、下流5km地点の川幅210mと狭窄(きょうさく)な立ヶ花(たてがはな)での“糞(ふん)詰まり”が原因。その立ヶ花よりも下流に浅川から放水路、地下導水路を建設。車両センター地下に調節池を設置。一旦緩急(いったんかんきゅう)あればリンゴ畑を遊水地として活用する事前契約を農家と結ぶ。伝統的治水工法として濃尾(のうび)平野の木曽三川(きそさんせん)=木曽川・長良(ながら)川・揖斐(いび)川下流域に見られる輪中堤(わじゅうてい)、越水・破堤した場合にも被害の拡大を防ぐべく住宅地側に第2堤防=二線堤(にせんてい)を設けるetc. 国交省は尽(ことごと)く拒否しました。
僕の在任中に副知事を務め、浅川ダムの欺瞞(ぎまん)を熟知していた筈(はず)な総務省出身で現在の阿部守一知事は、「ダムなし」よりも「ダムあり」は浸水時間が1時間半も長引き、赤沼地区の浸水深は「ダムあり」で5cm上昇すると記された「報告書」を土木部から受け取ったにも拘らず浅川ダム建設に着手。3年前に竣工するも哀しい哉(かな)、浅川の内水氾濫は回避出来ませんでした。
河川管理者に、緊急放流の判断ミスや堤防決壊の監理(かんり)責任を刑事罰で問うた事例は皆無な「放置国家」日本。
「防災の日」に奇(く)しくも堤防が決壊し、翌日未明に民家19戸が濁流に呑(の)み込まれた1974年=昭和49年9月の多摩川水害。『岸辺のアルバム』(原作・山田太一、主演・八千草薫)が描いた不条理の「決着」も、地域住民が費用と時間を「自己責任」で負担する民事訴訟に委ねられたのです。
デジタル・データなど存在しなかった往時、マイホームと共に失った家族の絆(きずな)の写真は2度と戻って来ない。遣る瀬無い(やるせない)思いで狛江(こまえ)市猪方(いのがた)の市民が河川管理者の国を相手取った損害賠償請求訴訟。一審は原告の勝訴。控訴審で逆転するも最高裁が破棄。差戻控訴審で住民が勝訴し、判決が確定したのは1992年=平成4年12月。18年3ヶ月の歳月を要しています。
星霜(せいそう)を経て、国交省の外局に当たる気象庁が「平成30年7月豪雨」と命名した昨年の「西日本豪雨」。同省四国地方整備局は「大雨特別警報」発令後、愛媛県内の肱川(ひじかわ)に位置する野村ダムと鹿野川(かのがわ)ダムからの放流量を敢(あ)えて減らしてダム湖の貯水量を増やした後、満水状態となった両ダムから安全基準の6倍もの「緊急放流」を実施。下流域の西予(せいよ)市、大洲(おおす)市で9名が犠牲となりました。
名は体を表す。全長103kmの源流から伊予灘(いよなだ)の河口まで直線で僅か18km。蛇行する肱川の護岸補強も儘ならぬ中、前述の自民党・公明党・保守党連立政権時代の公共事業見直し勧告に含まれていた同水系の山鳥坂(やまとざか)ダム計画を、加計学園岡山理科大学獣医学部新設問題で耳目(じもく)を集めた、旧文部省官房長の加戸守行前知事を筆頭に今猶(いまなお)、切望する向きが存在します。
今回の台風19号水害でも、ダム湖に流入の全水量をそのまま下流へ流す緊急放流に至った東日本の6ダムは何れも、降雨前にダム湖の水位を下げる「事前調節」を実施せず。「その理由は現時点では答えられない」と同省河川環境課は取材に対して居直りました。「天動説」総本山の面目躍如(めんもくやくじょ)です。
戦後の森林政策の不作為を問う
一方、台風15号ファクサイが齎(もたら)した「千葉県豪雨災害」は、戦後の森林政策の不作為を体現しています。
江戸時代までは杉と赤松、黒松、そして檜(ひのき)を程良き塩梅(あんばい)で植栽し、手入れも怠らなかった山武(さんむ)市一帯。戦後造林の「山武杉(さんぶすぎ)」は荒廃し、根腐れならぬ溝腐れ病に見舞われていました。その倒木が大規模停電の原因です。
日本の国土の68・2%は森林。フィンランドに次いで世界第2位の森林率。その45%は戦後造林された針葉樹。間伐(かんばつ)が急務なのです。樹齢45年から60年の間に針葉樹は、2列残して1列伐採(ばっさい)する「2残1伐」列状(れつじょう)間伐を行なわねば、根元に太陽光が差し込まず、幹が太くならず、ひ弱な“萌(も)やしっ子”の儘。
森林が県土の8割を占める信州・長野県。森林整備の技術者を養成すべく僕は、「信州きこり講座」と銘打った100時限の無料講習会を開設します。間伐資格を取得した土木建設業者には入札参加資格を与え、森林整備予算も県独自に2・5倍へと増やし、旧態依然たる森林組合が牛耳っていた分野に切磋琢磨の精神を吹き込みます。
就任時、利息の返済だけでも1日に1億5千万円と破綻寸前だった県財政を、県民の理解と職員の協力を得て47都道府県で唯一、在任6年間連続で起債残高を減少させ、基礎的財政収支=プライマリー・バランスを連続黒字化させる一方、「地球温暖化を防ぐ森林づくりは百年の計」と「森林ニューディール」を掲げます。と同時に、人が人のお世話をして初めて成り立つ21世紀の労働集約型産業としての福祉・医療・教育の充実も図りました。
鋼鉄製ガードレールと同じ強度認証を受けた信州型木製ガードレールも、「森林ニューディール」の象徴的政策でした。
都道府県道も市町村道も、「造る」際には事業費の65%を国が負担。けれども舗装等の「治す・護る」費用は全額、地元自治体の負担です。大手製鉄会社の関連企業3社が製造する、行政用語で車両用防護柵と呼ばれるガードレールも全額地元が費用負担。地元への経済的還元は設置時の人足(にんそく)費用のみです。ならば、伐採・搬出・製造・設置の全工程を地域で賄う県産材のガードレールを実現出来ないだろうか?
八重洲、日比谷同様、嘗ては海の入江(いりえ)の湿地帯だった丸の内で1920年=大正9年に着工された旧丸ビル=丸ノ内ビルヂング。スギ科の落葉針葉高木メタセコイアが、9階建てビルを支える基礎でした。その一つが塩尻市の県林業総合センターに展示されており、僕は驚愕。つい先程まで生きていた樹木かと見紛う、光沢のある切株だったのです。
何れも県内業者が開発を担当した3タイプの信州型木製ガードレールは、HPに貼り付けた動画でご確認頂ける、つくば市の国土技術政策総合研究所での大型貨物車と乗用車の実車衝突試験を経て、2004年に実用化。知事を退任する2006年まで毎年、設置経費2億円で6箇所ずつ、木の温もりを感じさせる信州の新たな道路景観を生み出します。
「これぞ我々も胸を張れる公共事業」と現在は自民党参議院議員を務める、道路畑出身の佐藤信秋氏も国交省事務次官として予算化に尽力下さいました。
「田中県政の全否定」が基本方針な現在の長野県でも、軽井沢町の中軽井沢から千ヶ滝を経て鬼押出へと向かう県管理の国道146号線、上信越自動車道の群馬県に位置する碓氷軽井沢(うすいかるいざわ)インターチェンジから県境を跨いで県道92号線に入った場所を始めとする幾つかの地点で、地元紙「信濃毎日新聞」が黙殺し続けた県政改革の残滓(ざんし)に触れる事は可能です。
再び閑話休題。「減災」の肝心要(かんじんかなめ)は維持修繕。その「地動説」を、国交省の河川畑と同様に理解出来ないらしい農林水産省の外局に当たる林野庁。予算の92%は小さな沢に、「不純物」と国交省水管理・国土保全局が唾棄(だき)するコンクリートや鋼鉄を打ち込む谷止工(たにどめこう)、間伐完了後には再び下草が生い茂る作業道と異なり、山肌を抉(えぐ)り取る大規模林道に投じられています。
人件費が経費の7割を占める間伐や植樹の森林整備こそは疲弊した中山間地域に雇用と活力を生むのに、その予算額は全体の僅(わず)か8%。しかも今年度4661億円の林野庁予算は、「3・11」関連も含めて7兆3241億円もの国交省予算の16分の1。詰まり国交省の公共事業予算は森林整備費の195倍、と改めて知ると暗澹(あんたん)たる思いに駆られます。
とは言え、成功事例が無い訳ではありません。2013年の台風18号で京都市を流れる桂川(かつらがわ)の嵐山(あらしやま)周辺が氾濫し、両岸の10ha近くが浸水したのを教訓に近畿地方整備局は、こまめな浚渫や護岸の補強に加えて、渡月橋(とげつきょう)付近の河道掘削を観光客が減少する冬場の3ヶ月間に集中的に実施。上流の日吉ダムが1997年の運用以来初めて緊急放水ゲートを全開した昨年7月の豪雨でも事なきを得ています。
「真の文明は 山を荒らさず 川を荒らさず 村を荒らさず 人を殺さざるべし」の気概を抱いて田中正造翁が、渡良瀬(わたらせ)川流域住民の為に足尾銅山の鉱毒問題を明治天皇に直訴したのは今から118年前の1901年=明治34年12月10日。彼が還暦を迎えた年です。
千万人と雖(いえど)も吾(われ)往(い)かん。その「愛民心(あいみんしん)」に基づく彼の苦闘を忘れる勿(なか)れ。
人間の智能がAI=artificial intelligenceに優る唯一無比の心智(メンタリティ)は、「悟る」という営為。
それは、「科学を信じて・技術を疑わぬ」自称「意識高い系」な面々のアルゴリズム的思考では凡そ到達し得ぬ、「科学を用いて・技術を超える」心智でもあります。
「治水・治山に王道なし」。「造るから治す・護る、そして創るへ。」「『天動説』から『地動説』へ。」
富国強兵ならぬ富国裕民(ふこくゆうみん)の心智に基づく社会的共通資本のあり方が今、改めて問われているのです。
「水害は『脱ダム』のせいなのか」サイト
~ただ単にやめれば良いのでなく、新しい治水のあり方を示す~「脱ダム政策の哲学と実践」サイト
「間違いだらけの日本の治水・治山」サイト
田中康夫アドレス yassy@tanakayasuo.me
Vol.613「これぞ実践的「治水・治山」原論の決定版!「水害は脱ダムが原因!」と「天動説」を妄信するダム脳w反論できない「堀江貴文とNewsPicks」「上念司と虎ノ門ニュース」浮かれポンチな仲間達!」
「VERDAD」2019年11月号「田中康夫の新ニッポン論」Vol.76 「おもてなし」の「眠度」
Vol.607「守護神w八ツ場ダム妄信者 痛い「ダム脳」堀江貴文ちゃん&情弱NewsPicksの皆さんへ 治水・治山に王道なし!週末(土)「ナイツのちゃきちゃき大放送」週明け(火)㊗「モーニングCROSS」で徹底解説!」https://t.co/yr5OgfRIE7https://t.co/VorfQDBbu8#田中康夫 @loveyassy pic.twitter.com/8WNLd2jeYE
— 田中康夫Office (@yassy_office) October 17, 2019
[田村] さあそして僕が気になった今週の訊きたいテーマはこちらです。「賛成?反対?どうなるカジノ誘致 8地域で激戦に?」。こちらのテーマについてこの後皆さんにじっくりお話を聞いていきたいと思います。
[田村]マカオとシンガポールでは全然違って、マカオはカジノだなって感じしますけど、シンガポールはねIRですから、なんか、カジノがある一部分にはあるけど、複合化施設としてショッピング・モールの方が大きいですし。
[田中]インテグレーテッド・リゾートって、なんでカタカナ使うのかね?統合型お遊び施設ってすればね分かり易いのに。
[田村]なんか誤魔化したかったんですかね?(笑)。
[鈴木奈々]想像ではなんかラスベガスのようなのができるのかな?って思うんですよ。
[古谷]近い近い。ただ、日本の場合は今仰ったようにカジノとIRというのは元々違いますからね。カジノってのは賭場場で鉄火場ですから。IRってのは総敷地面積の、日本においては3パーセントまでがカジノ施設で、残りの97パーセントについては例えばホテルとかショッピング・センターとか遊園地とかいろいろ、水族館とか入ってるわけですよ。
[田中]そうすると木曽さん、面積のわずか3パーセントでも外国から企業がどんどん来ようってことは3パーセントなのにめちゃんこ儲かるっていう??
[木曽崇]カジノが儲かるっていうのは事実です。むしろカジノの儲けによってその他の様々な施設を支えるってのが統合型リゾート、IRのビジネス・モデルなので日本もそれを義務付けてるという。
[田中]でもこの一番下の、国は今「キャッシュレス決済!」って言ってるのに、現金しか駄目って逆行してない?これ。
[古瀬絵理]現金のみでクレジットカードは使用不可と。
[田中]クレジットカードも使えないんでしょ?じゃあ腹巻に一杯巻いてけってこと?ヤバイじゃん(笑)。
[田村]昔の賭場に行くスタイルではないと思いますけど(笑)。
[古瀬]それともう一つのポイントは、日本人は入場料は一回6000円ということで、週3回、月10回以内の利用に制限されますという風になっております。
[田村]改めてどうですか田中さん、カジノ・IRが日本にやって来るっていうことを。
[田中]私はね、先ほど出てきた藤木幸夫さんがFM横浜の社長やってて、私も音楽番組、5年目なんで、それでよく存じ上げてるんだけど、横浜の人たちが世論調査して6割7割、「ちがうよね」って言ってるのは多分、「港の見える丘公園」が好きですか?「カジノの見える丘公園」をお望みですか?っていうことなんだと思うんですよ。
19/9月号 田中康夫の新ニッポン論74「体温が感じられる社会」 | 田中康夫 公式サイト https://t.co/fFMmosudR7
— 田中康夫 (@loveyassy) August 30, 2019
田中康夫 公式サイト「不毛なカジノ是非論争を超えて」まとめ
2019年8月28日 TOKYO MX モーニングCROSS 田中康夫 不毛なカジノ是非論争🎰 Part 3 カジノの実像 MICEの概念 持続可能な経済効果とは何か
2018年7月27日 TOKYO MX モーニングCROSS 田中康夫 今回のIR構想の痛さを判りやすく解説👯周回遅れな島国ニッポン🇯🇵不毛なカジノ是非論争🎰 オウム真理教残る6人の刑執行 文科省に集中?官僚逮捕
2018年7月28日 TBSラジオ ナイツのちゃきちゃき大放送 🇺🇸周回遅れな島国ニッポン🇯🇵不毛なカジノ是非論争🎰Part 2 ゲスト 田中康夫
Vol.580 人類最古の職業は泥棒・娼婦と博徒!だからカジノYES or NOの短絡思考でなく地元にカネが落ちないダム建設と同じバキューム産業がカジノ!十年先のニッポンを見抜く横浜港運協会 - YouTube
Vol.581 カジノありきのハコモノ三段論法では欧米どころかアジアにも太刀打ち出来ない!
イデオロギーを超越した国士・藤木幸夫さんのヨコハマ愛!
「モニクロ」以上に判り易く代替案をお届け!- YouTube
Vol.586宿泊無しでも千客万来な小江戸川越
そぞろ歩き温泉街で復権の城崎温泉
「他力本願では港町KOBEの後塵すら拝する」危機感を抱いて奮闘する
ハマっ子の地頭こそが超〜カジノ宣言の原動力だ!
「カジノ」は街を滅ぼす!「異次元の劇薬」ではなく、持続可能な経済効果を!
横浜(ハマ)の首領藤木幸夫氏(88)怒りの激白
「サンデー毎日」9月9日号
7月に「カジノ実施法」が成立した。観光立国と地域経済の盛り上げが喧伝されるなか、「横浜の首領」と言われる藤木幸夫・横浜港運協会会長が、「カジノは街を滅ぼす」と立ちはだかった。
都市の自律的な発展を思考してきた田中康夫氏が、藤木氏に訊きながら、カジノ問題の本質に迫る―。
「カジノ」は街を滅ぼす!「異次元の劇薬」ではなく、持続可能な経済効果を!
横浜(ハマ)の首領藤木幸夫氏(88)怒りの激白 「サンデー毎日」9月9日号
7月に「カジノ実施法」が成立した。観光立国と地域経済の盛り上げが喧伝されるなか、「横浜の首領」と言われる藤木幸夫・横浜港運協会会長が、「カジノは街を滅ぼす」と立ちはだかった。 都市の自律的な発展を思考してきた田中康夫氏が、藤木氏に訊きながら、カジノ問題の本質に迫る―。
「臨海部を活性化する上で有効だ」。 「特定複合観光施設区域の整備の推進に関する法律」=「カジノ解禁法」が成立したのは今から1年9ヶ月前。「横浜市、臨海部再開発に弾み カジノ経済効果6000億円 雇用創出6万人超」の見出しで、「産経新聞」は冒頭の横浜市長のコメントを紹介し、「財界からも“ラブコール”」、「横浜の観光客は日帰り客中心だがカジノ導入で滞在型観光になる」と報じました。 「統合型リゾート(IR)整備推進法」とも呼ばれる同法に続いて今年7月には「カジノ実施法」=「特定複合観光施設区域整備法」も国会で成立。因みにIRとはIntegrated Resortの略号。企業が経営状況や財務状況を発信する「投資家向け広報」Investor Relationsとは異なります。 既に昨年3月に設置の「特定複合観光施設区域整備推進本部」は、「観光立国ニッポン」の“意気込み”を体現するかの如く、全ての国務大臣が構成員。本部長は内閣総理大臣。猛暑を超える酷暑が不可避の時期に敢行される2020年東京オリンピックに続く「同調圧力」です。 こうした中、横浜港運協会の藤木幸夫会長は昨年来、「カジノは街を滅ぼす」と警鐘を鳴らし続けています。7月18日には協会主催の公開講演会を開催し、「山下ふ頭開発基本計画」で横浜市が謳う「ハーバーリゾートの形成」にカジノは不要と高らかに宣言。 米寿を8月18日に迎えた藤木さんは、「悪い波を止め、自分たちの街は自分たちで護るのが『波止場』の心意気だ」と語ります。父親の幸太郎氏が1923年=大正12年に興した藤木組が前身の、船内や沿岸、倉庫の荷役等の港湾運輸事業を手掛ける横浜市中区北浜通の藤木企業にお邪魔して、「コペルニクス的転回」として注目を集める一連の発言の深意を改めてお聞きしました。
◆
藤木 今の政治も経済も、リーダーと称する方々があまりにもお粗末で、その日本に住んでいる横浜市民の私は、果たして日本という国がこれからも存在し続けるだろうか、と懸念しているんです。 昭和20年に戦争が終わって、憲法と同時に地方自治法が昭和22年に施行された。セルフ・ガバメント。当時17歳の私にとって、それは仰ぎ見るシャンデリアでしたよ。今度は県知事を住民が選べるのか。国から派遣されるんじゃないんだ。市長もそうだよ。いやぁ、えらいことになったなという感じです。昭和27年には平和条約も結ばれた。 でも、それは“占領下の泡”だったんですね。逆に今、地方自治法によって、どれだけ地方が害されているか。どれだけ中央政府が地方自治体を舐めているか。矛盾があちこちに出てきているんです。
田中 東京で生まれた僕が思春期を過ごした信州で県知事に就任した今から18年前、それまでの53年間で公選知事は僅か3人。5期務めた前任者は旧自治省出身でした。現在47都道府県知事の6割は霞ヶ関の官僚出身です。県庁職員出身者も含めれば7割近い。
藤木 トランプさんに「頼むぜ」と肩叩かれて「はい」と応えたのがカジノです。ファーストネームで呼ばれて、舞い上がっている。周囲も忖度どころか、おべっか使いな人たちが中央政府に集っている。カジノの問題を捉えて話を出す場合に、その前後の姿、それを扱っている日本の政治の自律性のなさ、それは何なんだ、というところから始めなきゃならない。 小泉チルドレンから始まって小沢チルドレンとか色々ありましたが、今やチルドレン以下じゃないですか。そういう人たちがワッショイ、ワッショイと決めたもの、それがカジノなんです。そんなものを持ってこられたら、我々の現場にゴミを捨てられるようなものだから、住民の1人として反対する。そんなゴミは捨てないでくれと。
田中 成る程、言い得て妙ですね。
藤木 コンテナ船が着岸する本牧ふ頭、大黒ふ頭、南本牧ふ頭を中心に国際戦略港湾として充実を図る中で、在来型貨物船向けに高度成長期の前半に整備された山下ふ頭の利活用が議論となっていてね、そこに降って湧いたのがカジノだ。でも、カジノが市民の暮らしに貢献できるかい?
田中 大王製紙創業家三代目の井川意高(もとたか)さんはご自身の体験を踏まえて、「日本のIR法=カジノ法は童貞と処女がAVの脚本を書いてるレベル。(百戦錬磨な海外のカジノ運営業者にとって)赤児の手を捻(ひね)るようなものだ」と語っています。
藤木 IR法は本来、統合型リゾートを整備する法律でしょ。どうしてカジノ一辺倒になるんですか。 山下公園に隣接する47万平方メートルの山下ふ頭は、海に面した絶好のロケーションだ。マッターホルンの山裾のツェルマットでは、住民が主体的に観光施設の運営を担っている。横浜でも港湾人の我々が、世界で初めて海からアクセス可能な25万平方メートル規模の国際展示場を民設・民営で設けようと。中長期滞在型のチャーミングな宿泊施設も用意すれば、ビジネスチャンスを求めて国内外から多くの人々が家族連れで訪れるハーバーリゾートとなる。
◆
「海外からのお客を増やす策として、東京の更なる魅力を付ける為にもあってもいいと思う」とカジノ誘致への色気を都知事が語る東京都港湾局のHPには、「合法カジノ」設置国は全世界に140ヶ国と記されています。思えば作家のフョードル・ドストエフスキーは、賭博に嵌(は)まる自身の性状が、不朽の名作『罪と罰』『賭博者』を生み出しました。泥棒と娼婦という人類最古の職業の一群に、博徒(ばくと)も連なるのです。 実際問題、日本には公営ギャンブルが幾つも存在します。中央競馬は農水省、地方競馬は総務省、競艇は国交省、競輪とオートレースは経産省。監督官庁から天下りが送り込まれ、全国で1万店舗を超えるパチンコパーラーも同様に警察庁が所管しています。カジノにだけ目くじらを立てるのこそ、時代錯誤な「矯風会(きょうふうかい)」的発想だよ、と推進派が主張する所以(ゆえん)です。 英語で賭博はギャンブリング。博徒はギャンブラー。実は和製英語のギャンブル。その「カジノ」には2種類存在するのです。ヴェネチアやバーデン=バーデンに象徴される「サロン」としてのカジノ。マカオやバクーに代表される「マネーロンダリング」としてのカジノ。 ヴェネチアの運河沿いで1963年から営まれる、ジャコモ・カサノヴァも繁く通った世界最古のカジノは、歴史の年輪を感じさせる落ち着いた佇まい。ドイツの黒い森の一廓の、街の名前のバーデン=バーデン自体が“入浴=沐浴(もくよく)”を意味する温泉保養地のカジノも250年以上の歴史を誇り、「世界で最も美しい」とマレーネ・ディートリッヒが称揚した時空です。 返還後もスタンレー・ホー氏の一族が君臨するマカオは一時期、「賄賂社会」として知られる中国の高官を経営者が「接待」する場として活況を呈しました。ディーラーと呼ばれるスタッフと示し合わせて、自分が、或いは雇った「プロ」が敢えて負けて、「合法的」な資金洗浄を完遂です。が、好事魔多し。習近平国家主席が手綱を引き締めるや閑古鳥が鳴いています。 以前に僕が訪れたアゼルバイジャンのバクーに雨後の筍の如く誕生したカジノも、シロヴィキと呼ばれるロシアの高官をオリガルヒと呼ばれる富豪が「接待」する場として『007 ワールド・イズ・ノット・イナフ』に登場しています。 「明るい北朝鮮」とも評される「開発独裁国家」シンガポールで朝鮮労働党の金正恩委員長が足を伸ばした、ドナルド・トランプ大統領の盟友シェルドン・アデルソン氏が経営するマリーナ・ベイ・サンズとて、スロットマシンに興ずる観光客のみで「採算」が取れる訳もないのです。 にも拘(かかわ)らず、「シンガポールのIR、半端ないって。敷地面積で5%に満たぬカジノが全体の80%もの売上を稼ぎまくる」と口角泡を飛ばす面々のみならず、日本政府の官邸HPにも「シンガポールではIR開業後4年で国全体の観光客数が6割、観光収入が9割増加」と記されています。 シンガポール、マカオに加えて推進派が喧伝(けんでん)する“カジノ三大都市”の「本家本元」はラスヴェガス。19世紀半ばに一攫千金(いっかくせんきん)を西海岸に求めたゴールドラッシュの中継点としてネバダ砂漠に忽然(こつぜん)と誕生した街は、1973年の為替レートで約5億円を浜田幸一(ハマコー)氏が擦(す)った往時とは一変。 世界最大の全米家電見本市=CES、IBMの人工知能ワトソン、アップルの新製品発表会等々。同僚や家族と共にミーティング(会議・研修)、インセンティヴ・ツアー(報奨旅行)、コンファランス(大会・学会)、エキシビション(展示会)、即ちMICEに参加する人々が、バリー・マニロウを始めとするアーチストのショーを楽しんだ後にカジノへも足を運ぶ「ファミリー・デスティネーション」の街へと変貌しました。 そのラスヴェガスの昨今の収益構造はカジノ40%、ショー&イヴェント30%、飲食&ショッピング15%、宿泊15%。カジノ65%の一本足打法で失速気味のマカオとは異なります。
◆
藤木 お台場の先の東京ビッグサイトは、10万平方メートルにも満たないんだってね。日本最大の展示場が世界では77位と聞いて、情けなくなったよ。
田中 47万平方メートルのハノーヴァーを筆頭に、上海、フランクフルト、ミラノ、広州、昆明(こんめい)、ケルン、デュッセルドルフ、パリ、シカゴ。幾つか僕も訪れたことがありますが、見本市会場面積ベスト10は何(いず)れも25万平方メートル以上です。景気のリバンドを伴う「一過性」の東京五輪や大阪万博と違って、MICEは経済効果の「恒常性」を創出しますから。
藤木 宿泊・飲食・運送・観光と多岐に亘(わた)って、多くの雇用を地元に生み出すからね。 今、世界を見ると、金を持っている奴の勝ちという金融資本主義。まだ金融だけで止めておけば良いんだけど、金融の後に「マフィア」という単語が付くんだ。金融マフィア同然の連中が跋扈(ばっこ)して、それを多くの国の政府がウェルカムしている。嘆かわしいね。カジノ客は海外からという計算は、現実と違うだろう。日本の「タンス預金」を狙っているのは明らかだ。 唐突に聞こえるかも知れないが、1917年にロシア革命が起きて、今年は2018年でしょ。“資本主義”とは資本が元金で、主義というのはやり方。だから、元金をどうやって増やすか、それしか頭にない連中は、汗をかいて利益を上げたのと、人を騙して利益を上げたのと、その見境が付かなくなる時期が来る。それが資本主義と組む怖さだ、と(ウラジミール・)レーニンは言ってるんです。 だから皆、平等でいこうと美しいことを言ったものの、結果は伴ってないから、あまり彼を褒める訳にはいかないけどね。でも、101年経って、それが私たちの目の前に現れてしまっている。その中で、市民全体の将来を考えるのが、波止場で働く港湾人の使命だ。 今回も中央政府は、山下ふ頭にカジノを持ってきたらどうか、と考えている。しかし港湾人としては、あの場所を賭博場にされては困るんです。ただ、反対、反対と言ってるだけじゃ詮方ないから、それで上海や広州に引けを取らない見本市会場を中心としたMICEを展開して、市民の暮らしに貢献しようじゃないか。横浜港運協会の会長として、そう考えているんです。
◆
実は幕張メッセも東京ビッグサイトも、「国策」東京五輪メディアセンター等に用いる準備で来年4月から20ヶ月、利用不可。その「ビジネスチャンス」を虎視眈々と狙う中国と韓国。見本市という事業は、場所が移ったら、もう戻ってこない。これぞ嘘偽りなき「国難」です。にも拘らず、日本のメディアは一向に取り上げません。 藤木さんは横浜エフエム放送の社長も務めます。設立時、県域FM放送局は県名を社名に用いよ、と行政指導する旧郵政省に対し、「いや、世界的に知名度のあるYOKOHAMAでなきゃ、俺は降りる」と凄(すご)んだ武勇伝の持ち主。 僕自身が選曲とお喋りを担当する音楽番組「たまらなく、AOR」を3年前から担当しているご縁で幾度か謦咳(けいがい)に接する度、彼こそは「イデオロギーを超越した国士」と呼び得る俊豪(しゅんごう)だと感銘を受けます。 「雇用と活力を地元に生むのは、他国に伍する規模の見本市会場だ」。「コペルニクス的転回」を訴える“横浜愛”の深意が、真っ当なる市民・国民の心に届く事を願ってやみません。
[田中]だけどね、カジノって世界中に140カ国(ある)って東京都も言ってて、実は141カ国正式にはあるんですよ。でも大昔に1638年にヴェネチアの運河のところにカジノができたの。でもこのカジノは由緒ある感じなんで、こういうカジノなわけよ。
[田村]すごいね。写真も持ってきてもらってるんですね(笑)。
[田中]だって私もニワカ評論家だから(笑)。こういう、スロットマシーンもこんな雰囲気なの。だからドストエフスキーって立派な文豪、あの人、カジノでスリすぎてそれで小説書いたっていう人だから。
[田村]お金が無くなって小説書き始めた…。
[田中]そうそう。それで『罪と罰』とか書いたの。だからある意味では世界最古の、博徒とね泥棒と娼婦ってのは世界最古の職業かもしんないんだけど、カジノって意味はイタリア語ではCasa(カーサ)ってほら、「小っちゃなお家」でも、Sino(シノ)ってのは「内側」ってことなの。で、イタリア語だとCasino(カジノ)ってのは、ギャンブルだけじゃなくて「滅茶苦茶」とか「騒音」とか「娼館」っていう意味もあったりするの。でね、こういうことを言うとねよく「田中康夫はカジノ行ったことねーんじゃねーか?」って言われたんで、そんなことなくてですね、私はなんと…。
[田村]マイ・フリップがすごいですね(笑)。
[田中]もうね、自腹で12カ国16箇所行ってるの。って言ってもスロットマシーンくらいなんですけど。なのでね、4類型に分けてみました。
[田村]カジノを4類型に。
[田中]はい。で皆さんが先ほど仰ったマカオ、マカオは横にほら「夜總󠄂會」っていうナイトクラブがあって女が待機してて、ロンダリング型。中国の役人に新興財閥がお金渡すみたいな。で、アゼルバイジャンっていう国があってカスピ海の、(首都)バクーで映画『007』の中にも出てきたの。これ何かって言うとね、ロシアの官僚(シロヴィキ)を新興財閥(オリガリヒ)が接待すると。で、あえて示し合わせてプロが入って負けてあげて合法的ロンダリング。
[田村]なるほど。
[田中]3番目のカンピオーネってのはねスイスの中にイタリアの飛び地であるんですよ。スイスは今までEUに入ってなかったから、スイス銀行ロンダリングだ!と。でもこれ厳しくなったんで、僕が行った後の去年(2018年)に廃業しちゃったんですよ。逆に言うと囲い込み型ってのは全部カジノのところで、なんでも宿泊もご飯も全部外に出なくて良いですよってのがシンガポールや南アフリカのサンシティや、あるいはアメリカのアトランティックシティ。で、これ、トランプさんがやったんだけど逆にラスベガスと違って囲い込みだから衰退しちゃったわけ。で、こういう素敵なカジノっていうのは結局サローネ型。ヴェネチアとかドイツのバーデン=バーデンなんてちょっと素敵でしょ?
[田村]すごい資料を。良い場所ですね。
Saloneの意味
バーデン=バーデン
ヴェネチア
[田中]そうそう。で、後でお話しますけど、日本にもねゲームセンター型のカジノってのが沖縄にあって、アメリカへの思いやり予算(で沖縄うるま市の米軍基地)の中に。で、スロットマシーンだけ。で、ミラノにあるのなんかはゲームセンター型だからスロットマシーンだけ。だからこの囲い込み型を多分、日本はしようとしてる。
[田村]やろうとしているっていうことなんですね。
[田中]だから藤木さんなんかが言ってるのも、そんなことやったら中華街にも飯食いに行かねーだろ、と。
[田村]囲い込んじゃうと。
[田中]もっと良い(見本市)展示場を作ればそこで人が一杯働くし、外にもホテルにも泊まるしと。だからこの囲い込み型はアトランティックシティと同じように失敗しちゃうよってことを言ってるんです。
[田村]なるほどね。鈴木奈々さんみたいに治安が悪化するんじゃないかってなんとなく思っちゃってる人はたくさん居るんだろうが、今のお話を聞いてどうですか?
[鈴木]ラスベガスとかの話を聞いたら、そんなに治安が悪く…。
[古谷]ラスベガスはむしろ全米の中でも治安がものすごく良い街として評価されてるんですよ。
[鈴木]知らなかった。
[田中]ラスベガスはファミリー・デスティネーションって言ってバリー・マニロウとかのショーとかもあるって段々変えてった。でもこないだの銃乱射事件で何百人もの人が死傷するようなことも。それはカジノが原因。でもう一個ね、囲い込みって何かと言うと、全部中に入れちゃうってことでしょ?そうするとね地域にも(お金が)行かない。
[田中]よく巨大温泉旅館が、中でカラオケも夜鳴きそばも食べさせる。で、外にみんな行かない。だから藤木さんはそのことを言ってるわけ。地元の中華街にもホテルにも、あるいは国際展示場みたいなものをきちんと造れば保税(地域地域だから通関業務なし)で港に(船を)着けて外国から税金を払わないで展示できて、それは運搬の人とか見に来る(人々)とか膨大な裾野なんだと。だからやっぱり囲い込みってのは多分、横浜の場合にはねあそこにね血と汗(と涙)があるんだと(藤木さんが)仰るのは、横浜って実は関東大震災の時に2万5000人も、東京の人口の5分の1なのに亡くなって、その瓦礫とかを埋めて造ったのがあの山下ふ頭とか山下公園なんですよ。だからむしろそこに国際展示場みたいなだだっ広いのを造れば、なにか災害があった時はそれこそ避難所になるじゃないかと。カジノだと中は迷路みたいで、多分、避難所に使わせてくんないよね。だからやっぱり街ってほら、「三方良し」ってのが大事じゃないですか。売る人も買う人も世間も。まあでも去年、一昨年か、アメリカのプロパブリカっていう調査報道機関があって、シェルドン・アデルソン(ラスベガス・サンズCEO)さんというカジノ王とトランプさんがとても仲が良くて、そしてその人が是非日本で早く法律を通してくれと、やれよと、(フロリダで言われたと)いうことが載ってて、日本のメディアもちょっとこれ書いたんだけど、ちょっとヘタレなんでその後やらないわけよ。
Vol.399
『米ニュースサイト「プロパブリカ」が報じた 日米「007カジノ・ロワイヤル」の闇!』
Trump’s Patron-in-Chief 「プロパブリカ」
日本の宰相に🎴伝統的花札政策からの大転換を要求😜
— 田中康夫 (@loveyassy) October 11, 2018
カジノ王🎰シェルドン・アデルソンに牛耳られる@realDonaldTrump🃏
Trump’s Patron-in-Chief: Casino Magnate Sheldon Adelson
非営利・独立系調査報道機関ProPublica長文スクープ🕺🏼https://t.co/EcoJcLWdZr
手間暇かけぬw要約邦文記事も添付😋 pic.twitter.com/93beF2ejno
[田村]でも今の観点でいくとですよ、きちんとIRとしてゲートウェイ政策ですか?で、ちゃんと近隣も潤いが循環できるようなシステムって考えた時にどこが良いんですか?そうなった場合。
[田中]だけど「カジノの見える丘公園」にしたいですか?ってのが結構みんな思ってることなんだよね。
[田村]「カジノの見える丘公園」にしたくないんだよね。
[田中](カジノ)依存症云々じゃないし、逆に言うと(カジノは全国で)3箇所しか造らないわけでしょ?この日本に。パチンコ屋さん、1万軒あんだよ?でよくね、パチンコを止めさせろ!カジノだ!っていう人、3箇所になったら逆に暴動起きるよ、普通の会社帰りの人が。だから非現実的なんですよ。っていうかIRってカジノありきじゃないんでしょ?なんかカジノありきな話がヘンで、日本ってモノづくり産業元気無いって言うけど、ところが展示場・見本市会場、(雇用も経済効果も)裾野広いんですよ。日本の一番大きなビッグサイトで(敷地面積の順位が)世界77番目ですよ。
[一同]んーん。
[田中]他はみんな大きいわけ、中国もヨーロッパもアメリカも。これは朝の番組(モーニングCROSS)で使った(フリップ)なの。有効活用して(笑)。だから藤木さんは船が着けられる場所に25万平米で、25万平米っていうと世界10位以内に入るんですよ。これの方がよっぽど雇用を生むよねと。なのになんでカジノばっかりの話になってんの?っていうところはもう一回頭を整理した方が僕は良いよね?と思うんだよね。
[田村]なるほどね。もっとだからトータルでIRというのを考え直した方が良いってことですが。木曽さんどうですか?カジノが無いとIRって言えないのかどうかっていうことですが。
[木曽]カジノが無い複合施設ってのはたくさん世の中にはあって、それは六本木ヒルズとかそういったものだってカジノが無いだけなんですね。例えば東京ドームなんて東京ドームシティ全体でホテルがあってショッピングセンターがあって野球場があって統合型施設なんですが、その全体をカジノの収益で支えてるっていうビジネスモデルの部分が統合型リゾートで、(田中さんに)仰って頂いた国際会議場だとか展示会場の話はすごく重要で、国の今の施策の中でも統合型リゾートの中に占める展示会場の位置づけってものすごくデカいんです。ただ我々がというよりは国がカジノを合法化しなきゃいけないよね、っていう風に至った原因は、じゃあ予算どうやって誰のお金で建てるんだっけっていうところからスタートしてるんですね。カジノは儲かります。その儲かったお金でその他の行政的に必要なもの、たとえばMICE施設、国際会議場、そういったものを建てましょうと。
[田中]ねえねえじゃあカジノは誰が建てるの?
[木曽]カジノ事業者がお金を投じますって話です。
[田中]だけどね、私、そのことも分かんなくて、だけどね、今回法律でなんかいろいろやったけど、この一番下に誘致自治体はIR事業者に対する手厚い補償義務が課せられるっていう文面があるんですよ。てことは途中で例えば首長が変わって止めましょうとか、採算取れてないカジノがもし生まれたらそれは誘致した自治体が補填しなさいと。
[田村]ほぉ。守ってあげなきゃいけないっていうことですか?
[田中]…いう話を聞くと黒船が来てっていう感じだし、あとこれ木曽さんも記憶あると思うけど、外資系企業が5000億円の投資するんだったら、同等の金額くらいを日本が提示しないとカジノ産業根付かないって。で、富裕層の子育て向けにたくさんの文教施設がある地域は賭博の開発に向かないから豊洲は駄目、とかそうすると横浜だって大学とか高校一杯ある。これ、木曽さんが言った発言なんだよ。
[木曽]はい。文教地区は私の発言なんです。
[田中]苦笑(笑)。
[田村]ははは(笑)。すごいそのフリップを用意してるっつーのがすごい(笑)。
[田中](このフリップの発言の)上もねそう(木曽さんの発言)なの。いやいやだから良い議論をして欲しいと思うから、だからこれだけのお金出せる日本の企業、ありまっか?と。
[田村]どうなんですか?日本の企業も確かに田中さんが言うとおり、外資と同じぐらいのお金を投じてくれないと、全部外資の方にね旨味が行っちゃうみたいなことも起こり得るんじゃないですか?
[木曽]いま実は、例えば大阪で手をあげているMGMミラージュ…、MGMリゾートという会社があるんですがそこはパートナーとしてオリックスさんが入ってます。オリックスさんは、オリックスプラスα大阪系の企業さん含めて過半を取りたいということは仰っていて、日本の企業さんでも半分取りにいくっていう人たちは実は存在します。
[田村]なるほど。この千葉の人たちも。
[木曽]そうですね。千葉の方々も、彼らは資本力そんなに無いですから。
[田中]5000億出せないでしょオリックスの。
[木曽]5000億の中のナンボを借金、別途で調達をして株式で調達する分の半分っていうことになります。企業のコントロール力という意味では。
[田中]それだけ出すってことになればね、株主総会の株主とかファンドの人だって社会的企業としてどう思うか?ってことあるから、だから僕はホントにもう一回、カジノありきの議論からじゃなくて日本の永続的繁栄のために、せっかくできたIRの法律をどう有効活用するかってことは多分、木曽さんも思うことだし。
[田村]でも止まんないじゃないですか、カジノは。
[古谷]大体、石原(慎太郎東京都知事)さんが最初に提唱して、ゴタゴタゴタゴタ主にパチンコ業界が客が取られるって言って反対してる間にシンガポールに持ってかれたってのは事実なんです。
[田村]えー、じゃあ日本が先に、シンガポールよりも立ち上げようとしてたんですかIRは。
[古谷]そう。先行してたのにそれがパチンコ業界から、要するにシェアが奪われるという有形無形の圧力があって。
[田中]でもそれでトランプさんに言われたから、はいって話になると。
[古谷]トランプは駄目です。
[田中]IR、外圧に頭が上がんないって、こりゃウヨが怒らなきゃならんよ。
*
[田村]では「訊きたい世論調査」の結果発表です。
[古瀬]本日は東京に「カジノを含むIR」が設置されることをあなたはどう思いますか?というテーマで世論調査を行ってきましたが、最終結果はこのようになりました。「なしだ」と思う方が多いですね。「あり」も5863ptですね。メールをご紹介しましょう。ペンネームカジノさんです。「どう考えても日本にメリットが無いと思う。まず世界の金持ち連中をどうやって日本に来させるのか、その方法が見えない」という風にご意見頂きました。それではここで鈴木奈々ちゃんがお送りする今日の総括です。
[鈴木]はい。今日私が気になった言葉ってか事は、田中さんの「マイフリップ」。ちょっと持ってき過ぎだなと(笑)。
沖縄・米軍基地には「合法カジノ」があった!
沖縄の米軍施設内にあるカジノは日本人でも入場可能! 一攫千金を狙ってガチ勝負をしてきた!!
タイヨーステーキハウスは飲食からカジノが楽しめる米軍施設
日本で唯一カジノができる場所があった!
「もはや社会なんてものは存在しない(There is no such thing as society)。自分で自分の面倒を見るのが国民の義務だ」。身も蓋もない経済的新自由主義の「自己責任論」を掲げてマーガレット・サッチャーが大英帝国の宰相に就任したのは40年前の1979年。
『ニューズウィーク』元東京支局長で『フォーリン・ポリシー』寄稿編集者のクリスチャン・カリル氏は著書『すべては1979年から始まった』で彼女を含む4名、即ち「改革開放」を旗印に建国30周年の中国で国家資本主義を導入した鄧小平、「東欧民主化」に向けて米国CIAと連携して故国ポーランドを訪問したヨハネ・パウロ2世、亡命先からイランに帰国し「イラン・イスラム革命」を主導したシーア派指導者ルーホッラー・ホメイニーを「21世紀を方向づけた反逆者たち」と規定。
奇しくも同年にアフガニスタンへ侵攻したソビエトは10年後の89年に消滅し、ベルリンの壁も崩壊。市場原理主義と宗教原理主義が世界を席巻する中、『ジャパン・アズ・ナンバーワン』とエズラ・ボーゲルが持ち上げた日出ずる国も現在、“昏迷(こんめい)”しています。
7月8日付『日本経済新聞』が報じた「主要商品・サービスシェア世界市場調査」で、有機ELパネルも大型液晶パネルも上位5社は韓国・中国・台湾の企業が独占。エレクトロニクス分野13品目の上位5社に日本企業は皆無。高品質なメイド・イン・ジャパン銘柄が信頼を勝ち得ていると思いきや、5分類された医薬品に加えて化粧品・腕時計・ビール・茶・スポーツ衣料・冷蔵庫・洗濯機・太陽光パネル・風力発電機も上位5社は「ジャパン・ナッシング」。
にも拘らず経済産業省が主導する旧・産業革新機構=現INCJ、クールジャパン機構=海外需要開拓支援機構の官民ファンドがジャパンディスプレイ、ルネサスエレクトロニクス等のゾンビ企業の延命に血税を注ぐ、倒錯した“ニッポン凄いゾ論”が跳梁跋扈(ちょうりょうばっこ)。
「臨海部を活性化する上で有効だ」。既に2年8ヶ月前、「特定複合観光施設区域の整備に関する法律=カジノ解禁法」成立の時点で明言していた横浜市長。今年8月22日の会見で改めて、「カジノを基軸とする統合型(インテグレ-ティッド)リゾートの誘致」こそ「市民の皆さまの安全、安心、幸せな生活をしっかりお支えしていく為の最も良い方法」と胸を張り、「今年をピークに人口が減少に転じ、消費や税収の減少、社会保障費の増加、経済活力の低下と厳しい財政状況が見込まれる」と決断理由を述べました。日本全体が人口減少していくのに不可解な“ヨコハマ凄いゾ論”です。
「(1万店舗の)パチンコは地域と関連が深く、自治体に利益を還元する道があってよい」。この6月に『私の履歴書』で看破(かんぱ)した、旧自治省で市町村税課長を経験した石原信雄・元内閣官房副長官と共闘して政府に物申してこそ、政令指定都市20市の中で最も多い347万人を擁する横浜市が、輝く自治体の星となり得る好機。
大王製紙創業家3代目の井川意高氏は自身の経験を踏まえて「日本のカジノ法は童貞と処女がAVの脚本を書いてるレベル。(百戦錬磨な海外の業者にとっては)赤児の手を捻(ひね)るようなもの」と語ります。「悪い波を止め、自分たちの街は自分たちで守るのが『波止場』の心意気」と矍鑠(かくしゃく)たる89歳の藤木幸夫・横浜港運協会長も、昨夏に僕との対談で喝破(かっぱ)。
「クルーズ船も横付け可能な保税地域の山下ふ頭に(10万平米にも満たない東京ビッグサイトを超えて)他国に伍する25万平米規模の見本市展示場を民設・民営で設けるハーバーリゾートこそ、持続可能な雇用と活力を地元に生む」。人間の相貌(かお)と体温が感じられる港町を願う藤木翁の卓見です。
*
エフエム横浜で4年前から「たまらなく、AOR」の選曲&お喋りを担当している僕は、74回目の「敗戦の日」の翌日にNHK-FMでも90分間、「しなやかなAOR」と題して計16曲をお届けしました。ディーセント=慎み深い誇りを持った、そしてマチュアード=成熟した落ち着きのある音色を編み出す、分別を弁えた大人=即ちアダルト・オリエンテッドなAORの音楽が華開いたのは70年代後半から80年代初頭に掛けての、別けても1979年に数多くの名曲が誕生しています。
ジャズやロックと異なり、声高に正義を語る上下左右の「イデオロギー」とは無縁なAORは、サッチャーやロナルド・レーガンが喧伝する経済的新自由主義の徴候に鈍感だったのではありません。寧ろ逆に鋭く察知していたからこそ、密やかに謙虚な誇りを抱いて日々、真っ当に働き・学び・暮らす市井の人々のしなやかさを楽曲へと昇華させていきました。
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2019年8月16日 NHK-FM「真夏の夜の偉人たち しなやかなAOR」選曲・出演 田中康夫
昨夜の「たまらなく、AOR」
— 田中康夫 (@loveyassy) September 4, 2019
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