2019年9月23日 TOKYO MX モーニングCROSS 田中康夫 国土の68・2%を占める日本の森林は荒れ放題🌳 千葉停電問題「真の理由」はこれだ❣ もはや「夜警国家」ですらないオワコン国家🎌「自己責任論」+ @8bit_HORIJUN 堀潤取材 過激化する香港抗議

[久保井朝美]台風17号接近というニュースです。台風17号は暴風域を伴って昨日夜に九州北部に再接近。その影響で宮崎県でも竜巻などの激しい突風が発生したとみられます。

[堀]台風15号の影響で停電が続く千葉県では県が備蓄する非常用発電機の半数以上が倉庫などに置かれたまま活用されていないことが分かったということなんですね。県の地域防災計画では市町村からの要請で貸し出す流れや、原則、避難所の運営や役場での予備電源などに行政サービス維持の為に使うということが想定されていたことから眠っていたのか、と。まあ更に、手続きも必要だということで台風17号接近中ですが、一方で教訓を生かすことができるのか?

[田中]駄目っしょ。

[堀]んーん。

[田中]だって(停電で役所の補助電源もダウンして)防災無線まで繋がらない中で(市町村から)連絡がないから持って行きませんって、御用聞きやるのが県庁だし御用聞きをやるように言うのが知事なのに。

[堀]仰るとおり。

[田中](千葉県知事が)自衛隊を要請したのは(台風直撃の翌日)火曜日の10日になってからだからね。

[堀]そうですよね。実際に館山の布良(めら)という場所に行きましたら「まだね、役所の人来てないんですよ」って4日目にして言っておられましたよ。

[田中]これね3000戸まだ電気が点いていない。だけど20000戸近く損壊している。同時に例えば、イトーキとかも木材を使っているから工場が出荷できない。メグミルクの牛乳だって牛も乳搾りができなくて牛は痛くてしょうがないわけでしょ。なのに関係閣僚会議も災害対策本部も作らないってのは、りっぱな「放置」国家になったんですよこの国は。

[堀]悲しい。

[田中]「ホウチ」国家ってみんなを「放置」する(笑)。

[堀]ああ…。

[田中]ふっふっふ。悲しいことですよ。

[堀]最大限の皮肉ですよね。

*

[堀]さて時刻は7時37分を廻りました。ゲストの皆さんの持論を展開するオピニオンCROSS neo。今日は田中さんから参りましょう。

[田中]時間無い?

[堀]大丈夫ですよ。

[田中]あのね、昨日(大相撲で)優勝した御嶽海、あの人はですね(香川県や大阪府と同じ面積に)人口が2万7千人しかいない長野県木曽谷の出身なの。あの人はね前回優勝したときに木曽谷の保母さんが、障害がある子供と一緒に遊ぶのを他の子はちょっと嫌がるんだけれども、彼は自分が駆けっこで最初に入ったあと、なかなか走れないその子の手を引いて一緒に走ったような優しさがあるって。で、お母さんはフィリピンご出身のマルガリータさんっておっしゃるんだよね。で、彼は東洋大学を出たあと出羽の海部屋で横綱が出ないから是非入ってくれって言われて、公務員に決まってたのに入って、そしてその前年が御嶽山の爆発だったわけ。だから山梨県、「山のない県」から海に出るために御嶽海って名前を付けたんです。

[堀]すごいストーリーを背負った…。

[田中]立派な人なんだよ。

[堀]注目したいと思います。

[田中]是非。

[堀]良い話を聞きました。

[田中]で、今日やるのは、前回は「港の見える丘公園をカジノの見える丘公園になんかさせないぞ」っていう「横浜のマハティールさん」藤木幸夫さんの話をしたんだけれども。

[堀]今日のテーマはこちらになります。

[田中]話長ぇ?(笑)

[堀]ははは(笑)。

[田中]東京電力には言いたいことは多々あるけれども、今回の(千葉県の台風災害・停電の)問題は東京電力の問題じゃないんですよ。国の根幹の問題なんですよ。何かというと、日本は森林の面積が…。

[堀]台風の話ですね。

[田中]はい。

[堀]台風で行政が後手に廻った。一体何が起きてたのか?停電も長引いてる、その背景を。

[田中]プレゼンの下手な私にちゃんと補助線を入れてくれてありがとう(笑)。

[堀]とんでもないです(笑)。

[田中]フィンランドが国土の73.9パーセントが森林、日本は世界で2番目で、スウェーデンよりも多い68.2パーセントなんですよ。

[堀]多いですね。あ、そうですか?森の国と言われる…、多いですよねやっぱり日本は森林の国なんだな。

[田中]じゃあブラジル。「ブラジル、日本より面積は広いだろ」って言うけど57.2パーセントで、そこが今、アマゾン(の火災)が大変だ、と。こんなことをやってたら世界中の問題だって言われて(当初は居直っていたジャイル・ボルソナロ大統領も慌てて)るわけでしょ?まあイギリスのようなところは「囲い込み(エンクロージャー)」運動してみんな羊飼っちゃったんで11.2パーセントで、あるいは中国とかオーストラリアとかインドも森林が少ないから災害が起きているわけですよ。でね、じゃあ日本、68.2パーセントある。国土面積の68.2パーセント。森林の中で人工林と呼ばれる、戦後、いわゆる針葉樹だから保水力が無い木を、(戦時中に)木を切っちゃったところに効率主義で植えてった。それが45パーセントです。(フリップの)下を見てください。国土交通省の予算というのは7兆3000億あります。プラス4632億円ってのは3・11関連予算です。農林水産省の予算も3兆円あります。農林水産省の中に含まれるとはいえ、国土の68.2パーセントの林野庁の予算は4000億円台なんです。

[堀]少ないですね。

[田中]で、「これは林野庁って言うから木を大切にしてるのかにゃ?」って、違うんですよ。その92パーセントはいわゆるダムにもならない小さな沢にコンクリートとか鉄を埋め込む谷止工、あるいは(間伐後には元の林となる必要最小限な作業道でなく山肌を削り取る大規模な)林道を作るという公共事業なんです。

[堀]なるほど。

[田中]ですから大切なことは、針葉樹というのは間伐をしなきゃいけないわけね。なのに森林整備に使ってるのは林野庁の予算の中の8パーセントなわけ。

[堀]こんだけか…。

[田中]だから今回起きたことも、木が倒れました、と。でもあれも木の中のところが腐ってたと。

[堀]そうでしたね。

[田中]じゃあ、切って…。私は「森林ニューディール」って、前に信州にお勤めだったっていうんだけれども。

[久保井]はい。長野のアナウンサーをしていました。

[田中]間伐を、2残1伐っていう(2列の残して1列間引く)間伐をしないと下に光が入らないわけ。

[堀]下が腐っていく。

[田中]で、これは最も人(の手)を使うから地域の公共事業から転換できない人たちの労働集約産業になるんですよ。だからこれ、自慢じゃないけれども私が知事の時には2.5倍に予算を増やしたわけ。土木(建設業)の人たちに100時間無料で講習(信州木こり講座)してもらって間伐の資格を取ってもらって、森林組合と一緒に切磋琢磨しましょうと。だからとても大事なことでしょ。ところが今回も「森の所有者がわからないからできません」って言ってるけれども、家を勝手にどけるのは権力の横暴だけれども、森の持ち主は分からなかったらそこを税金でやることが大事でしょ。で、どういうことかと言うと、これは私が昔使っていたフリップ。つまりこういう風に光が入るようになると養土が作られる。千葉県もあそこは山武杉(サンブスギ)という杉が生えてたんだけれども、クロマツとかアカマツとか、あるいは昔はヒノキとか針広混交林って言って針葉樹と広葉樹が一緒に、さっきの若者もお年寄りも一緒に育つみたいな森の体系だったのが、効率主義で針葉樹ばかりにして、しかも売れないから「やめます」ってなってっちゃった。

[堀]でもこんなに、20年ぐらい「山が課題です、災害を引き起こします、保水力が落ちています」、いろいろ言われてるのになんで国は動かないんでしょうか?

[田中]それはあまり儲からないと思ってるから。

[堀]儲からないか…。

[田中]でも国がやることは福祉でも医療でも教育でも、採算とれなくたって国家百年の為にやることでしょ。

[堀]そうですよ。

[田中]で、ラグビーで「トライ、ニッポン」って言ってたんだけれども、どうも私は「ツライ、ニッポン」になってんじゃねーの?かと。

[堀]確かに。

[田中]で、「夜警国家」ってのは「国はもう必要最小限しかやらねー」と。「それは違いますよ」ってのがフェルディナント・ラッサールって人が、採算取れない福祉や医療を無駄遣いじゃなくて効率的にやりましょうよと。9月20日の官房長官会見、「災害の規模、被害の状況等を総合的に勘案し最も適切な態勢を構築して災害の応急対策に当たっている」、ここまで述べたんだけれども私が付け足したんでもし苦情があったら内閣府の人、言ってきてください、「災害対策本部の設置も関係閣僚会議の開催も不要不急」と。

[堀]これ、田中さんが補ったんですね。

[田中]これをやるやらないじゃなくて、やっぱり心構えじゃないですか?と。で、なんでこういう社会になっちゃったかというと、実は1979年、40年前から新自由主義というものが始まったんだけれども、その時にマーガレット・サッチャーっていう人は何を言ったかというと「もはや社会なんてものは存在しない(There is no such thing as society)自分で自分の面倒を見るのが国民の義務だ」ってスローガンを掲げてその通りって言って出てきちゃったの。これが40年経って日本にも来て自己責任論ってことを言われているけれども、自己責任論ってのは基本的なことをした上で一緒に高まりましょうよってことで、私はこの象徴がやっぱり「これ」になっちゃってんじゃないのかな?と。以前に使ったフリップ。

[堀]「土砂崩れで橋脚が倒壊した高知自動車道の上り線=高知県大豊町」

[田中]針葉樹ばっかりで間伐してなかったから、立派な道路が作れたってこうなってっちゃうわけでしょ?

[堀]そうですよね。

[田中]ってことを考えたいな、と。

[堀]いやあもうホントに早急ですよ、国土強靭化なんて言っていたのに、同じ内閣ですよ?

[田中]だからカジノの見える丘公園を横浜に作ることが文明開化だ、って言う前にちょっと菅さん考えた方が良いよって。

[堀]足元の生命と財産を守って欲しい。いかがですか?金さん。

[金]自己責任論って言うのなら税金下げれば良いのに、なんで上げるの?って(笑)。

[堀]我々、払ってますからね。

[田中]あ、そういうことね。全部自分でやりなさいっていうなら税金なんか要らない、パスポートの管理だけすれば良いって話。

[堀]自助・共助・公助ね、随分、自助の割合が増えてきましたね。

[金]だから本当に、小さい政府でも有り得ると思うけど、日本は小さい政府じゃない。でも言ってることは小さい政府のようなことを言うとこういう災害の時にイラっとしますよね。

[堀]どうですか、久保井さん、話を聞いて。

[久保井]やっぱり全国各地で抱えてる問題なんだなってのは改めて。

[堀]そう。

[久保井]どうしても今回、千葉だったんで千葉が、って思うんですけれど、例えば先ほどの高知だったりとか、こういうことが日本全国で今後起こってくるということですよね。

[堀]毎回災害の度に同じ構造で、山が崩れます。

[田中]だから良い意味で国土強靭化はホントにあと5年で全部間伐をして、針広混交林にするってことにお金を使うことこそ雇用なんだよ。

[堀]そこに財政出動していったら良いじゃないかと思いますけどね。ありがとうございました。

*

[堀潤香港レポ]運動の最前線に来ました。丁度若者達がここに集まって来ていますが、この向こう側には武装した警察官達が学生達の抗議行動を迎え撃つという状況です。沿道にですね一般の市民の人たちがスマートフォンなどを持って見ているのが印象的です。

香港で続く政府への抗議活動、昨日は新海地区の商業施設で抗議集会が行われ、一部の参加者が中国国旗を踏みつけてゴミ箱に捨てたり、施設に隣接する駅の設備を壊すなど、抗議活動は過激化。

今ここで射撃が始まりました。水平射撃で催涙弾を学生に向けて放っています。周りでは学生が火炎瓶などで応酬をしています。大変緊迫した状況です。

夕方から辺りは一変し、火炎瓶と催涙弾が激しく飛び交い始めました。若者達はバリケードと火炎瓶で応酬、警察は次々と催涙弾を打ち込んでいます。周辺には多くの一般人も居ましたが催涙ガスの匂いが充満していました。警察がバリケードを強行突破すると学生達は一目散に逃げるように離れていきます。それを追いかける武装警察。そしてその数メートル先でも逮捕者。別の場所では新たに若者達がバリケードを作るとその傍らから火炎瓶を投げ込みます。それに警察官は催涙弾で応戦。

デモが始まってからもう既に半日以上が経過するんですが、あちらこちらでこうした攻防が続いています。

取材の最中、武装警官に追われながら一緒に走った香港人の若者から託されたメッセージ、「日本の皆さんに伝えてほしい。民主と自由。同じ価値を共有できる皆さんだから、そして私は日本が好きだからもっと報道して欲しい。知って欲しい。」

時刻はもう既に午後10時前なんですが、屯門という駅では今も(抗議行動が)続いています。先ほどですねこの辺りで催涙弾も発射されて逮捕者が出ました。周囲をですね武装した警察官がぐるりと囲んでいる状況です。

*

[堀]皆さんおはようございます。時刻は7時を廻りました。昨日(香港から)帰ってきたんですけれども、今日から久保井朝美さん、宮瀬茉裕子さん夏休みということでキャスターよろしくお願いします。(香港の状況)よく分かりました。何が分かったかと言うと、逃亡犯条例に反対している若者ということでは無くて、毎日のようにメインランド側から移住者が相次ぐ「中国化」に対して、自分の仕事が奪われていく、そして言葉が奪われていく、アイデンティティが奪われていくっていうことに対して、若者達が今声を上げないと20年後の自分達の未来は無いんだと、そういう危機感からのもので、ですから彼らが五大要求を絶対下げたくないというのはそこなんだよな、ということがすごく感じました。お二方、いかがでしょうか?今朝のゲストは田中康夫さん、そして金慶珠先生です。よろしくお願いします。いやぁ田中さん、ゴールをどこに見据えるか?ということで僕も探りに行って来たんですけれども、長引きそうです。

[田中康夫]中国はある意味じゃ連邦制を入れなければ無理なんだけれども、それは一党独裁に反するってことだよね。もっと言うと日本では自由と民主って、同じ名前で一緒の政党があるけれども、自由ってのは正にEUが実験をしたように、パスポート無しで誰もが自由に行き来ができるボーダレスってことですよ。

[堀]なるほど。

[田中]でも民主ってのは何かったら、実はボーダー・コンシャスというかボーダー・フル、それぞれの言語があったり食べ物があったり、慣わしがあったり宗教があったり、民主を認めながら全体として自由ってことをEUは実験しようと、実験というかトライしてたわけですけども、今話しがあったように他の人たちが入ってきてしまうな、ということでボリス・ジョンソン(英国首相)に象徴されるような「自爆テロ」をやるようなイギリスが生まれてきちゃう。

[堀]秩序を重んじる国家体制の維持を、国体の護持を求めてしまうという。

[田中]だから個々の、もちろん、仰ったような切迫感はあるけれども全体として、もし仮にあそこが中国であり、そして一国二制度と言ってたならばそれをもっと良い、緩やかな、しなやかな連邦制を導入できるかどうか、それは他の国にも、日本だって問われてることかもしれない。

[堀]そうですね。大学生たちに話を聞きますと、大学を卒業しても職にありつけないんだ、と。低賃金の仕事しかないんだ、と。なぜなら、メインランド側から来た中国資本の企業はやはり中国から来た人たちが牛耳っていくと。どうしてそうなってしまったのかということに対しての憤りや、国際社会への応援を求めてるようなんですよね。

[金慶珠]ただ、この堀さんの映像を見るとね、私、80年代の韓国の民主化運動、それこそ火炎瓶投げて催涙弾、っていう…。

[堀]光州事件があったあの頃。

[金]それを思い出したんですけれども、ただやっぱり堀さんが仰るように、これはいわゆる民主化デモとは若干違っていて、いわゆる反中デモであり反共デモであると。正にアイデンティティっていう問題ですよね。ただ問題は、そういう風になってくると、若者を中心にそれこそ自意識の強い若者が香港人なんだ、っていうことを強く訴える一方で、中国本土からどんどん人が来るのは問題かもしれないけれども、でもやっぱりそうやって潤っているでしょ?っていう親中的な声が香港の中にあるのも事実で。

[堀]そうですね。

[金]こういう風にデモが長期化していくと、一部暴徒化しているように、香港の中でも内紛の声がどんどん出てきていると。こうなると中国側にとっては、決して不利な状況ではなく、こうやって支離滅裂になった時に介入して秩序を保つんだっていう名分も機能するわけですよね。だからもちろん若者の気持ちも分かるけれども、どこかで、まずはちょっと秩序を維持しながら体勢を整えるというやり方、闘争のあり方についてももう一回考えるべき時点には来ているかなと。

[田中]まあでもそれはね、暴徒化してるのはごく一部であって正に他の人たちは子供を抱いて平和的な(行動で異議申立をしいている)わけですよ。でも仰ったようなことは、つまりガヴァナンスができてないのは香港政庁もそうだし、あるいは代議制の議員もそうだし、もっと言えば中国(政府)もだし、世界中もそうだしメディアもそうじゃないかっていうところの訴えだと僕は思うけどね。

[堀]実際に確かに、一部の若者たちがお店を破壊しようとすると周りの若者たちが必死に「やめろ、やめろ」と「引くぞ」ということで止めたりとか、あとね、周りの市民の人たちがデモに参加すると逮捕される可能性があるから、仕事を奪われたくないと。でも応援したいということでマンションの上からショッピングセンターの上から「後ろに警察がいるぞ」「がんばれ」っていうことを一斉に声援があがっている。

[金]あの、全体が暴徒化していると行ってるのではなく、一部であっても暴徒化するとそれが口実になるんですよ。あと、暴徒化すればするほど共感する勢力っていうのも減っていくわけですよね。だから正にそこが田中さんが仰るようにガヴァナンスの問題が全ての人に問われている。

[田中]だから逆に言えば暴徒化を仕向けている力もどこかにあるのかな?っていうね、陰謀論ではなくてね。

[堀]実際にね疑心暗鬼が現場には蔓延っていて。というのが、やはり紛れているんですよね。で、彼らが火炎瓶を投げたりしたり火を点けていく、正に。そういう中でメディアもですね、欧米メディアもものすごくたくさん入ってましたが、もうちょっと日本のメディアも入っていても良いかなと思うんですね。是非皆さん、関心を持っていただきたい。いろんな側面があるかと思います。是非、ハッシュタグ #クロスでご意見をお待ちしています。そうした中、台風が接近しています。

 

 

Vol.616「「思想・信条」がYa‘ssyと異なると「日経」で「告解」学習院大学長もシャッポを脱いだ「サンデー毎日」実践的「治水・治山」原論!ダム脳なリバーフロント研究所が登場の痛い「文藝春秋」w」

19/12月号 憂国呆談 season2 volume113◆ソトコト

消費税の軽減税率から、
台風15号の対応、
グレタ・トゥンベリさん、
日本の環境政策と農畜産品の行方まで。

水害は脱ダムのせいなのか!?
田中康夫の『実践的治水・治山』原論 まとめサイト始動しました!

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「サンデー毎日」2019年11月17日号

「水害は『脱ダム』のせいなのか❣田中康夫の実践的『治水・治山』原論」(※画像をクリック!

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✽治水・治山のあるべき姿を更に具体的に加筆した原稿はこちらです。

水害は『脱ダム』のせいなのか!? 田中康夫の実践的『治水・治山』原論「サンデー毎日」2019年11月17日号(11月6日発売)

リード文「しなやかな是々非々」

甚大な被害をもたらし、河川氾濫の恐ろしさを知らしめた台風19号。安倍晋三首相は防災の観点から八ッ場ダムを称賛し、また、「脱ダム」が水害を招いたという声もある。だが果たしてそうか? 長野県知事時代から、河川のネットワークを見極めた「治水」を思索、実践してきた田中康夫による真の国土強靱化論。

本文

「『土堤(どてい)原則』は、断じて譲れません」。

河川局を改組して2011年7月、国土交通省に誕生した水管理・国土保全局の官僚は拒み続けました。土と砂利以外の「不純物」が堤防内に混じるのは馴染(なじ)まない、と真顔で。

鋼鉄(スチール)も混凝土(コンクリート)も他の公共事業では「不純物」どころか必須の素材。コンクリート壁の隙間(すきま)から水が浸潤(しんじゅん)して平時から内部が“液状化現象”に陥りがちな堤防を補強すべく、両肩から基礎まで鋼矢板(こうやいた)を縦に2枚打ち込む護岸工法の事業化に向け、僕が求め続けた調査費が2011年度=平成23年度予算に初計上された後の遣り取りが冒頭の発言。

「決壊した箇所に仮堤防を設置する緊急復旧工事と、本格復旧工事の工法の違いを、河川行政に疎(うと)い我々に説明頂けますか?」。

民主党政権の一翼(いちよく)を担っていた国民新党代表の亀井静香氏と共に新党日本代表の僕が尋ねるや、“論理的で科学的な講釈”を垂れました。「緊急時には鋼鉄の使用も止むを得ないが、恒常的に駆体(くたい)として採用するのは好ましくない」。

翌2012年12月の総選挙で僕は敗退。複数の製鉄会社が導入に向け勉強会を立ち上げていた「鋼矢板工法」の調査費を、国交省は打ち切ります。

本誌の連載「ささやかだけど、たしかなこと。」(2015年10月11日号)で僕は、「鬼怒川(きぬがわ)決壊の「真犯人」は誰か!? 予防医学としての治水こそ新しい公共事業」と題し、新聞の「大本営(こくどこうつうしょう)発表」“コピペ”記事を再録しています。

「関東・東北豪雨」の2週間後、「締切堤防」と称し決壊箇所200mに「高さ4mの鉄製の矢板」「2枚の間に土砂を敷き詰め」、「鋼矢板工法」で仮堤防を設置した関東地方整備局はその1ヶ月半後、「土堤原則」に基づく「本格復旧の堤防建設工事に着手」と。

堤防を越えて川の水が溢(あふ)れ出る「越水(えっすい)」。堤防そのものが壊れる「破堤(はてい)」。一度(ひとたび)決壊するや溢れる量と流れの速さは激変し、物的被害も人的被害も桁違いとなります。破堤に至る原因の8割は越水です。河川の猛威の悲劇は、同じ場所で繰り返される蓋然性(がいぜんせい)が極めて高いと理解する米国や欧州、そして韓国では過去の決壊箇所の護岸強化に鋼矢板工法、或(ある)いは土砂とセメントを混合して固めたソイルセメント工法を導入済み。

翻(ひるがえ)って日本。今回の台風19号ハギビス襲来で堤防決壊が71河川140箇所に及んでも猶(なお)、後述する千曲川の決壊箇所を筆頭に鋼矢板工法は飽く迄(あくまで)も「応急復旧」の位置付けです。謂(い)わば「天動説」に胡座(あぐら)を搔(か)いて、「地動説」を小馬鹿にする浮かれポンチ状態。

「意識高い系」な面々が「首都圏の救世主」と称揚する、総事業費5320億円の八ツ場(やんば)ダムが利根川水系で役割分担するのは、全体の僅(わず)か1%に過ぎません。利根川支流の吾妻川(あがつまがわ)に巨大ダムを建造せねば2千名近いカスリーン台風の御霊(みたま)は報(むく)われず、と計画が発表されたのは今から67年前の1952年=昭和27年。

一万歩譲って八ツ場ダム建設が「必要悪」だったとして、河道掘削(かどうくっさく)と呼ばれる川底の浚渫(しゅんせつ)に投じた67年間の費用は如何程(いかほど)かと河川管理者に質(ただ)しても、該当する記録は見当たらずと言葉を濁すでしょう。

我々が手足の爪を切るのと同様、「減災」の肝心要(かんじんかなめ)は維持修繕。なのに財務省が「部・款・項・目・節(ぶ・かん・こう・もく・せつ)」と細分類する予算体系の治水の項目に「浚渫」は存在せず。

重機を用いて1㎡1万円強で実施可能な浚渫こそ、地元の土木建設業者が胸を張って従事可能な地域密着型公共事業。なのに国も大半の自治体も予算を別立てせず、現場の建設事務所の人件費等を「維持修繕費」に一括(ひとくく)り。護岸の補強、上流域の森林整備と並んで治水の基本たる浚渫は全国津々浦々で滞っています。

世界的趨勢を踏まえての「脱ダム」宣言

県土面積が全国4位の信州・長野県の知事時代、台風一過の秋季(しゅうき)に土木部・農政部・林務部の技術系職員を総動員して県管理の河川を総点検。浚渫の補正予算を県独自に組みました。3千万円にも満たぬ金額なれど、確実に治水に寄与。

「長野冬季五輪」から2年8ヶ月後の2000年10月に就任した僕は翌年2月、「長期的な視点に立てば、日本の背骨に位置し、数多(あまた)の水源を擁する長野県に於いては出来得る限り、コンクリートのダムを造るべきではない」と「脱ダム」宣言で9つの県営ダム計画の中止を打ち出します。

「治水・治山に王道なし」。「河川こそ、ネットワーク社会の象徴的存在」。「造るから治す・護る、そして創るへ。」と主張したのは、世界的趨勢(すうせい)を踏まえての決断でした。

1993年にミシシッピ川流域に甚大な被害を齎(もたら)した洪水を分析した米国陸軍工兵隊(アーミー・コープス・オブ・エンジニアズ)は、「洪水調節用構造物」としてのダムが却(かえ)って被害を増大させた側面を指摘し、避難プログラムの作成、氾濫原(はんらんげん)での土地利用の制限を含む総合的な洪水対策への大転換を促します。その翌年、ダニエル・ビアード内務省開墾局長が、「合衆国に於けるダム開発の時代は終わった」と日本も加盟する「国際かんがい排水委員会」で講演。

佐久間ダムを始めとして世界中のダム建設に資金提供してきた世界銀行も、「大規模ダム建設の巨額予算は往々にして当初計画を超過。調査対象81ダムでは堆砂(たいさ)が原因で当初の半分以下に保水機能が低下。ダムの耐久性の見直しは必至。洪水対策のあり方も抜本的な変更を迫られている」と知事就任直後に発表。

日本国内でも同年8月、宍道湖(しんじこ)・中海(なかうみ)の淡水化に851億円を投じた干拓事業を始め、計223の公共事業の中止を自由民主党政務調査会長が発表。採択後5年以上経過しても未(いま)だ着工せぬ事業。完成予定を20年以上経過しても竣工(しゅんこう)に至らぬ事業。実施計画調査に着手後10年以上経過するも未採択の事業。現在、休止=凍結中の事業。その4条件に基づく合理的判断です。

決断した亀井静香氏は、後(のち)に僕に述懐します。「方針を発表後、大抵抗する組織の中にも、これを入れて下さいと駆け込んで来る、心ある役人が居て、中止箇所数が増えたんだよ」。仮に後輩が、先輩の起案した事業に疑問を抱いても、中断・中止・廃止を進言する風土は霞が関に存在しません。官僚を闇雲(やみくも)に萎縮(いしゅく)させるのでなく、公僕(パブリック・サーヴァント)としての良心を覚醒させる触媒役の哲学が、政事屋(ポリティシャン)ならぬ政治家(ステーツマン)に求められています。

「脱ダム」宣言を発する3ヶ月前に僕は、美ヶ原に源を発する薄川(すすきがわ)の大仏(おおぼとけ)ダム建設計画を中止します。ダムなしでは松本駅前が水浸しになると旧建設省から出向の土木部長は力説。が、市街地を流れる薄川の夥(おびただ)しい分量の堆砂は“放置”された儘(まま)でした。

四半世紀も計画に翻弄(ほんろう)された建設予定地・入山辺(いりやまべ)地区での地元住民との車座集会後に即断するも、「素人知事」は些(いささ)か拍子抜けします。

「県政の停滞と混乱」を理由に知事不信任を1年8ヶ月後に決議する長野県議会、「民主主義の手続き」を重んじる記者クラブ加盟各社の誰1人として、強権的・独裁的だと抗(あらが)う素振(そぶ)りすら見せなかったのです。理由は簡単。前述の223箇所に含まれていたから。

河川はネットワーク社会の象徴的存在

他方、死者8千名の善光寺地震(江戸後期・弘化4年=1847年)の震央(しんおう)、1985年=昭和60年に26名の命を奪った地附山(ぢづきやま)地すべり災害の現場に近接する、活断層(かつだんそう)の真上に位置する浅川ダム計画を中止するお前は、無責任な「口舌(こうぜつ)の徒(と)」だと猛反発を食らいます。

冬季五輪のボブスレー・リュージュ会場へのループ橋と隧道(トンネル)の建設費を捻出(ねんしゅつ)すべく、眠っていたダム計画が“ゾンビ”の如(ごと)く復活。本体工事は未着工なのに総事業費380億円の半分以上を「転用」していた摩訶不思議(まかふしぎ)な公共事業。しかも驚く勿(なか)れ、「ダムを造っても千曲川と浅川の合流部一帯の洪水は防げない」と件(くだん)の土木部長は県議会で答弁するではありませんか。

その直截(ちょくさい)な答弁に補足すると、千曲川との合流地点には3基の排水機場が存在。増水時にはポンプで浅川から千曲川へと汲み出しますが、好事魔(こうじま)多し。国管理の千曲川の河川改修は遅々として進まず、千曲川の増水時には浅川への逆流を防ぐ為に樋門(ひもん)を閉鎖せねばなりません。行き場を失った浅川の水は「内水氾濫(ないすいはんらん)」と呼ばれる浸水を住宅地や耕作地に及ぼします。「洪水調節用構造物」は必要十分条件たり得ず。優(すぐ)れて河川は、ネットワーク社会の象徴的存在なのです。

閑話休題。首相官邸下の溜池(ためいけ)一帯はハザードマップで2m超の浸水深(しんすいしん)。今回浸水した長野新幹線車両センター一帯は長沼地区大字(おおあざ)赤沼(あかぬま)。千曲川の決壊地点は大字穂保(ほやす)。何(いず)れも水害の歴史を反映する地名です。

故(ゆえ)に、鉄建公団(日本鉄道建設公団=鉄道建設・運輸施設整備支援機構)とJR東日本(東日本旅客鉄道)の計画に住民は反対します。この田畑は、洪水になると1週間は水が引かない赤沼の遊水機能なのだと。長野市防災マップは車両センターの浸水を5m以上と表示。想定よりも低い4・3mに今回は留まったにも拘らず、羽田・成田から千歳へ機材を移動させた航空各社と異なり、上田、高崎等の高架駅どころか車両センター構内を走る本線の高架部分へと車両を移送させる鉄オタとしての愛情すら、JRという“疾走する駅前不動産屋”には希薄でした。

五輪前年の1997年10月開業が至上命令だった旧運輸省、旧建設省と長野県は、上流域に治水ダムを造れば解決すると甘言(かんげん)。それは地域住民を愚弄(ぐろう)する巧言(こうげん)に他ならず。有為(ゆうい)な県職員と共に僕は、浅川改修計画の優先順位を立案します。

先(ま)ずは浅川全域での河道掘削。天井川状態で信越本線の上を流れていた3km区間の河床を最大11m掘り下げ。完了後に現実的提案を行います。川幅が1000mを超える穂保地点で今回決壊したのは、下流5km地点の川幅210mと狭窄(きょうさく)な立ヶ花(たてがはな)での“糞(ふん)詰まり”が原因。その立ヶ花よりも下流に浅川から放水路、地下導水路を建設。車両センター地下に調節池を設置。一旦緩急(いったんかんきゅう)あればリンゴ畑を遊水地として活用する事前契約を農家と結ぶ。伝統的治水工法として濃尾(のうび)平野の木曽三川(きそさんせん)=木曽川・長良(ながら)川・揖斐(いび)川下流域に見られる輪中堤(わじゅうてい)、越水・破堤した場合にも被害の拡大を防ぐべく住宅地側に第2堤防=二線堤(にせんてい)を設けるetc. 国交省は尽(ことごと)く拒否しました。

僕の在任中に副知事を務め、浅川ダムの欺瞞(ぎまん)を熟知していた筈(はず)な総務省出身で現在の阿部守一知事は、「ダムなし」よりも「ダムあり」は浸水時間が1時間半も長引き、赤沼地区の浸水深は「ダムあり」で5cm上昇すると記された「報告書」を土木部から受け取ったにも拘らず浅川ダム建設に着手。3年前に竣工するも哀しい哉(かな)、浅川の内水氾濫は回避出来ませんでした。

河川管理者に、緊急放流の判断ミスや堤防決壊の監理(かんり)責任を刑事罰で問うた事例は皆無な「放置国家」日本。

「防災の日」に奇(く)しくも堤防が決壊し、翌日未明に民家19戸が濁流に呑(の)み込まれた1974年=昭和49年9月の多摩川水害。『岸辺のアルバム』(原作・山田太一、主演・八千草薫)が描いた不条理の「決着」も、地域住民が費用と時間を「自己責任」で負担する民事訴訟に委ねられたのです。

デジタル・データなど存在しなかった往時、マイホームと共に失った家族の絆(きずな)の写真は2度と戻って来ない。遣る瀬無い(やるせない)思いで狛江(こまえ)市猪方(いのがた)の市民が河川管理者の国を相手取った損害賠償請求訴訟。一審は原告の勝訴。控訴審で逆転するも最高裁が破棄。差戻控訴審で住民が勝訴し、判決が確定したのは1992年=平成4年12月。18年3ヶ月の歳月を要しています。

星霜(せいそう)を経て、国交省の外局に当たる気象庁が「平成30年7月豪雨」と命名した昨年の「西日本豪雨」。同省四国地方整備局は「大雨特別警報」発令後、愛媛県内の肱川(ひじかわ)に位置する野村ダムと鹿野川(かのがわ)ダムからの放流量を敢(あ)えて減らしてダム湖の貯水量を増やした後、満水状態となった両ダムから安全基準の6倍もの「緊急放流」を実施。下流域の西予(せいよ)市、大洲(おおす)市で9名が犠牲となりました。

名は体を表す。全長103kmの源流から伊予灘(いよなだ)の河口まで直線で僅か18km。蛇行する肱川の護岸補強も儘ならぬ中、前述の自民党・公明党・保守党連立政権時代の公共事業見直し勧告に含まれていた同水系の山鳥坂(やまとざか)ダム計画を、加計学園岡山理科大学獣医学部新設問題で耳目(じもく)を集めた、旧文部省官房長の加戸守行前知事を筆頭に今猶(いまなお)、切望する向きが存在します。

今回の台風19号水害でも、ダム湖に流入の全水量をそのまま下流へ流す緊急放流に至った東日本の6ダムは何れも、降雨前にダム湖の水位を下げる「事前調節」を実施せず。「その理由は現時点では答えられない」と同省河川環境課は取材に対して居直りました。「天動説」総本山の面目躍如(めんもくやくじょ)です。

戦後の森林政策の不作為を問う

一方、台風15号ファクサイが齎(もたら)した「千葉県豪雨災害」は、戦後の森林政策の不作為を体現しています。

江戸時代までは杉と赤松、黒松、そして檜(ひのき)を程良き塩梅(あんばい)で植栽し、手入れも怠らなかった山武(さんむ)市一帯。戦後造林の「山武杉(さんぶすぎ)」は荒廃し、根腐れならぬ溝腐れ病に見舞われていました。その倒木が大規模停電の原因です。

日本の国土の68・2%は森林。フィンランドに次いで世界第2位の森林率。その45%は戦後造林された針葉樹。間伐(かんばつ)が急務なのです。樹齢45年から60年の間に針葉樹は、2列残して1列伐採(ばっさい)する「2残1伐」列状(れつじょう)間伐を行なわねば、根元に太陽光が差し込まず、幹が太くならず、ひ弱な“萌(も)やしっ子”の儘。

森林が県土の8割を占める信州・長野県。森林整備の技術者を養成すべく僕は、「信州きこり講座」と銘打った100時限の無料講習会を開設します。間伐資格を取得した土木建設業者には入札参加資格を与え、森林整備予算も県独自に2・5倍へと増やし、旧態依然たる森林組合が牛耳っていた分野に切磋琢磨の精神を吹き込みます。

就任時、利息の返済だけでも1日に1億5千万円と破綻寸前だった県財政を、県民の理解と職員の協力を得て47都道府県で唯一、在任6年間連続で起債残高を減少させ、基礎的財政収支=プライマリー・バランスを連続黒字化させる一方、「地球温暖化を防ぐ森林づくりは百年の計」と「森林ニューディール」を掲げます。と同時に、人が人のお世話をして初めて成り立つ21世紀の労働集約型産業としての福祉・医療・教育の充実も図りました。

鋼鉄製ガードレールと同じ強度認証を受けた信州型木製ガードレールも、「森林ニューディール」の象徴的政策でした。

都道府県道も市町村道も、「造る」際には事業費の65%を国が負担。けれども舗装等の「治す・護る」費用は全額、地元自治体の負担です。大手製鉄会社の関連企業3社が製造する、行政用語で車両用防護柵と呼ばれるガードレールも全額地元が費用負担。地元への経済的還元は設置時の人足(にんそく)費用のみです。ならば、伐採・搬出・製造・設置の全工程を地域で賄う県産材のガードレールを実現出来ないだろうか?

八重洲、日比谷同様、嘗ては海の入江(いりえ)の湿地帯だった丸の内で1920年=大正9年に着工された旧丸ビル=丸ノ内ビルヂング。スギ科の落葉針葉高木メタセコイアが、9階建てビルを支える基礎でした。その一つが塩尻市の県林業総合センターに展示されており、僕は驚愕。つい先程まで生きていた樹木かと見紛う、光沢のある切株だったのです。

何れも県内業者が開発を担当した3タイプの信州型木製ガードレールは、HPに貼り付けた動画でご確認頂ける、つくば市の国土技術政策総合研究所での大型貨物車と乗用車の実車衝突試験を経て、2004年に実用化。知事を退任する2006年まで毎年、設置経費2億円で6箇所ずつ、木の温もりを感じさせる信州の新たな道路景観を生み出します。

「これぞ我々も胸を張れる公共事業」と現在は自民党参議院議員を務める、道路畑出身の佐藤信秋氏も国交省事務次官として予算化に尽力下さいました。

「田中県政の全否定」が基本方針な現在の長野県でも、軽井沢町の中軽井沢から千ヶ滝を経て鬼押出へと向かう県管理の国道146号線、上信越自動車道の群馬県に位置する碓氷軽井沢(うすいかるいざわ)インターチェンジから県境を跨いで県道92号線に入った場所を始めとする幾つかの地点で、地元紙「信濃毎日新聞」が黙殺し続けた県政改革の残滓(ざんし)に触れる事は可能です。

再び閑話休題。「減災」の肝心要(かんじんかなめ)は維持修繕。その「地動説」を、国交省の河川畑と同様に理解出来ないらしい農林水産省の外局に当たる林野庁。予算の92%は小さな沢に、「不純物」と国交省水管理・国土保全局が唾棄(だき)するコンクリートや鋼鉄を打ち込む谷止工(たにどめこう)、間伐完了後には再び下草が生い茂る作業道と異なり、山肌を抉(えぐ)り取る大規模林道に投じられています。

人件費が経費の7割を占める間伐や植樹の森林整備こそは疲弊した中山間地域に雇用と活力を生むのに、その予算額は全体の僅(わず)か8%。しかも今年度4661億円の林野庁予算は、「3・11」関連も含めて7兆3241億円もの国交省予算の16分の1。詰まり国交省の公共事業予算は森林整備費の195倍、と改めて知ると暗澹(あんたん)たる思いに駆られます。

とは言え、成功事例が無い訳ではありません。2013年の台風18号で京都市を流れる桂川(かつらがわ)の嵐山(あらしやま)周辺が氾濫し、両岸の10ha近くが浸水したのを教訓に近畿地方整備局は、こまめな浚渫や護岸の補強に加えて、渡月橋(とげつきょう)付近の河道掘削を観光客が減少する冬場の3ヶ月間に集中的に実施。上流の日吉ダムが1997年の運用以来初めて緊急放水ゲートを全開した昨年7月の豪雨でも事なきを得ています。

「真の文明は 山を荒らさず 川を荒らさず 村を荒らさず 人を殺さざるべし」の気概を抱いて田中正造翁が、渡良瀬(わたらせ)川流域住民の為に足尾銅山の鉱毒問題を明治天皇に直訴したのは今から118年前の1901年=明治34年12月10日。彼が還暦を迎えた年です。

千万人と雖(いえど)も吾(われ)往(い)かん。その「愛民心(あいみんしん)」に基づく彼の苦闘を忘れる勿(なか)れ。

人間の智能がAI=artificial intelligenceに優る唯一無比の心智(メンタリティ)は、「悟る」という営為。

それは、「科学を信じて・技術を疑わぬ」自称「意識高い系」な面々のアルゴリズム的思考では凡そ到達し得ぬ、「科学を用いて・技術を超える」心智でもあります。

「治水・治山に王道なし」。「造るから治す・護る、そして創るへ。」「『天動説』から『地動説』へ。」

富国強兵ならぬ富国裕民(ふこくゆうみん)の心智に基づく社会的共通資本のあり方が今、改めて問われているのです。

「水害は『脱ダム』のせいなのか」サイト 

~ただ単にやめれば良いのでなく、新しい治水のあり方を示す~「脱ダム政策の哲学と実践」サイト

「間違いだらけの日本の治水・治山」サイト 

田中康夫アドレス yassy@tanakayasuo.me

Vol.613「これぞ実践的「治水・治山」原論の決定版!「水害は脱ダムが原因!」と「天動説」を妄信するダム脳w反論できない「堀江貴文とNewsPicks」「上念司と虎ノ門ニュース」浮かれポンチな仲間達!」

「VERDAD」2019年11月号「田中康夫の新ニッポン論」Vol.76 「おもてなし」の「眠度」

田中康夫YouTube公式チャンネル「だから、言わんこっちゃない!」

Vol.610 治水・治山総集編Part2 森林率68・2%世界第2位 経費7割が人件費の間伐こそ地域雇用 なのに林野庁予算は国交省の16分の1 しかも間伐は林野庁予算の僅か8%

Vol.609「河川こそネットワーク社会の象徴的存在!「ローマは一日にして成らず」を勘違いする国土交通省水管理・国土保全局の唯我独尊な天動説w 間違いだらけの日本の治水・治山総集編Part1」

田中康夫YouTube公式チャンネル「だから、言わんこっちゃない!」Vol.595
千葉停電問題「真の理由」はこれだ!
国土の66・5%を占める日本の森林は荒れ放題!
3千億円ポッキリ林野庁予算で森林整備は僅か8%
国交省6.9兆円、農水省3兆円ハコモノ大盤振る舞いニッポン

2018年7月12日「モーニングCROSS」「羊頭狗肉な日本の水管理・国土保全~造るから治す・護る、そして創るへ~」文字起こし・関連資料

2018年7月24日「おはよう一直線」「間違いだらけ治水・治山の改善点」文字起こし・関連資料

2019年9月23日 TOKYO MX モーニング #クロス 田中康夫 ワールドワイドスポンサーの🏉ハイネケンを国内で製造・販売するキリンビール涙目😹 #Tokyoインパール2020🏟 ラグビーW杯、食べ物持ち込みOKに 大会組織委が容認 

[久保井朝美]台風17号接近というニュースです。台風17号は暴風域を伴って昨日夜に九州北部に再接近。その影響で宮崎県でも竜巻などの激しい突風が発生したとみられます。

[堀潤]台風15号の影響で停電が続く千葉県では県が備蓄する非常用発電機の半数以上が倉庫などに置かれたまま活用されていないことが分かったということなんですね。県の地域防災計画では市町村からの要請で貸し出す流れや、原則、避難所の運営や役場での予備電源などに行政サービス維持の為に使うということが想定されていたことから眠っていたのか、と。まあ更に、手続きも必要だということで台風17号接近中ですが、一方で教訓を生かすことができるのか?

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[田中康夫]駄目っしょ。

[堀]んーん。

[田中]だって(停電で役所の補助電源もダウンして)防災無線まで繋がらない中で(市町村から)連絡がないから持って行きませんって、御用聞きやるのが県庁だし御用聞きをやるように言うのが知事なのに。

[堀]仰るとおり。

[田中](千葉県知事が)自衛隊を要請したのは(台風直撃の翌日)火曜日の10日になってからだからね。

[堀]そうですよね。実際に館山の布良(めら)という場所に行きましたら「まだね、役所の人来てないんですよ」って4日目にして言っておられましたよ。

[田中]これね3000戸まだ電気が点いていない。だけど20000戸近く損壊している。同時に例えば、イトーキとかも木材を使っているから工場が出荷できない。メグミルクの牛乳だって牛も乳搾りができなくて牛は痛くてしょうがないわけでしょ。なのに関係閣僚会議も災害対策本部も作らないってのは、りっぱな「放置」国家になったんですよこの国は。

台風15号の停電なお3000戸 経済損失の全容見えず「日本経済新聞」

[堀]悲しい。

[田中]「ホウチ」国家ってみんなを「放置」する(笑)。

[堀]ああ…。

[田中]ふっふっふ。悲しいことですよ。

[堀]最大限の皮肉ですよね。

*

[堀]さて時刻は7時37分を廻りました。ゲストの皆さんの持論を展開するオピニオンCROSS neo。今日は田中さんから参りましょう。

[田中]時間無い?

[堀]大丈夫ですよ。

[田中]あのね、昨日(大相撲で)優勝した御嶽海、あの人はですね(香川県や大阪府と同じ面積に)人口が2万7千人しかいない長野県木曽谷の出身なの。あの人はね前回優勝したときに木曽谷の保母さんが、障害がある子供と一緒に遊ぶのを他の子はちょっと嫌がるんだけれども、彼は自分が駆けっこで最初に入ったあと、なかなか走れないその子の手を引いて一緒に走ったような優しさがあるって。で、お母さんはフィリピンご出身のマルガリータさんっておっしゃるんだよね。で、彼は東洋大学を出たあと出羽の海部屋で横綱が出ないから是非入ってくれって言われて公務員に決まってたのに入って、そしてその前年が御嶽山の爆発だったわけ。だから山梨県、「山のない県」から海に出るために御嶽海って名前を付けたんです。

[堀]すごいストーリーを背負った…。

[田中]立派な人なんだよ。

[堀]注目したいと思います。

[田中]是非。

[堀]良い話を聞きました。

[田中]で、今日やるのは、前回は「港の見える丘公園をカジノの見える丘公園になんかさせないぞ」っていう「横浜のマハティールさん」藤木幸夫さんの話をしたんだけれども。

2019年8月28日 TOKYO MX モーニングCROSS 田中康夫 不毛なカジノ是非論争🎰 Part 3 カジノの実像 MICEの概念 持続可能な経済効果とは何か

[堀]今日のテーマはこちらになります。

[田中]話長ぇ?(笑)

[堀]ははは(笑)。

[田中]東京電力には言いたいことは多々あるけれども、今回の(千葉県の台風災害・停電の)問題は東京電力の問題じゃないんですよ。国の根幹の問題なんですよ。何かというと、日本は森林の面積が…。

[堀]台風の話ですね。

[田中]はい。

[堀]台風で行政が後手に廻った。一体何が起きてたのか?停電も長引いてる、その背景を。

[田中]プレゼンの下手な私にちゃんと補助線を入れてくれてありがとう(笑)。

[堀]とんでもないです(笑)。

[田中]フィンランドが国土の73.9パーセントが森林、日本は世界で2番目でスウェーデンよりも多い68.2パーセントなんですよ。

[堀]多いですね。あ、そうですか?森の国と言われる…、多いですよねやっぱり日本は森林の国なんだな。

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[田中]じゃあブラジル。「ブラジル、日本より面積は広いだろ」って言うけど57.2パーセントで、そこが今、アマゾン(の火災)が大変だ、と。こんなことをやってたら世界中の問題だって言われて(当初は居直っていたジャイル・ボルソナロ大統領も慌てて)るわけでしょ?まあイギリスのようなところは「囲い込み(エンクロージャー)」運動してみんな羊飼っちゃったんで11.2パーセントで、あるいは中国とかオーストラリアとかインドも森林が少ないから災害が起きているわけですよ。でね、じゃあ日本、68.2パーセントある。国土面積の68.2パーセント。森林の中で人工林と呼ばれる、戦後、いわゆる針葉樹だから保水力が無い木を、(戦時中に)木を切っちゃったところに効率主義で植えてった。それが45パーセントです。(フリップの)下を見てください。国土交通省の予算というのは7兆3000億あります。プラス4632億円ってのは3・11関連予算です。農林水産省の予算も3兆円あります。農林水産省の中に含まれるとはいえ、国土の68.2パーセントの林野庁の予算は4000億円台なんです。

[堀]少ないですね。

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[田中]で、「これは林野庁って言うから木を大切にしてるのかにゃ?」って、違うんですよ。その92パーセントはいわゆるダムにもならない小さな沢にコンクリートとか鉄を埋め込む谷止工、あるいは(間伐後には元の林となる必要最小限な作業道でなく山肌を削り取る大規模な)林道を作るという公共事業なんです。

[堀]なるほど。

[田中]ですから大切なことは、針葉樹というのは間伐をしなきゃいけないわけね。なのに森林整備に使ってるのは林野庁の予算の中の8パーセントなわけ。

[堀]こんだけか…。

[田中]だから今回起きたことも、木が倒れました、と。でもあれも木の中のところが腐ってたと。

[堀]そうでしたね。

[田中]じゃあ、切って…。私は「森林ニューディール」って、久保井さんは前に信州にお勤めだったっていうんだけれども。

[久保井]はい。長野のアナウンサーをしていました。

[田中]間伐を、2残1伐っていう(2列の残して1列間引く)間伐をしないと下に光が入らないわけ。

[堀]下が腐っていく。

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[田中]で、これは最も人(の手)を使うから地域の公共事業から転換できない人たちの労働集約産業になるんですよ。だからこれ、自慢じゃないけれども私が知事の時には2.5倍に予算を増やしたわけ。土木(建設業)の人たちに100時間無料で講習(信州木こり講座)してもらって間伐の資格を取ってもらって、森林組合と一緒に切磋琢磨しましょうと。

環境省の環境白書 ✽知事就任は平成12年10月

(エ)長野県における「信州きこり講座」
 県の面積の78%を森林が占める長野県では、戦後に植林された人工林が間伐時期を迎え、民有林において約10万9千haの森林が間伐を必要としています。しかし、林業従事者の減少、高齢化や収益性の低下など林業をめぐる状況は一段と厳しくなっており、森林の維持、管理は困難な状況となっています。一方、多くの水源を擁する同県では、森林の持つ水源かん養、大気保全などの公益的機能を維持、増進する機運が高まっています。このため、「信州きこり講座」を愛称とする森林整備技術者養成講座を実施し、環境保全対策と雇用対策の両面からの取組を進めています。講座修了者には、森林整備事業の入札参加条件である専門技術者として認める等の制度的な後押しもあり、主に建設・造園業を中心に平成14年3月現在783名の受講者が登録されています。

[田中]だからとても大事なことでしょ。ところが今回も「森の所有者がわからないからできません」って言ってるけれども、家を勝手にどけるのは権力の横暴だけれども、森の持ち主は分からなかったらそこを税金でやることが大事でしょ。で、どういうことかと言うと、これは私が昔使っていたフリップ。つまりこういう風に光が入るようになると養土が作られる。

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[田中]千葉県もあそこは山武杉(サンブスギ)という杉が生えてたんだけれども、クロマツとかアカマツとか、あるいは昔はヒノキとか針広混交林って言って針葉樹と広葉樹が一緒に、さっきの若者もお年寄りも一緒に育つみたいな森の体系だったのが、効率主義で針葉樹ばかりにして、しかも売れないから「やめます」ってなってっちゃった。

[堀]でもこんなに、20年ぐらい「山が課題です、災害を引き起こします、保水力が落ちています」、いろいろ言われてるのになんで国は動かないんでしょうか?

[田中]それはあまり儲からないと思ってるから。

[堀]儲からないか…。

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「間違いだらけの日本の治水・治山」「VERDAD」2017年8月号「田中康夫の新ニッポン論」㊿

http://tanakayasuo.me/top/wp-content/uploads/2017/07/27cb7c766956f952aa0f1cc4b5b8a1ad.pdf

「砂防ダム」「VERDAD」2014年8月号「田中康夫の新ニッポン論」⑯

http://tanakayasuo.me/top/wp-content/uploads/2014/07/ba94495447c2089a30f55e0346f67c39.pdf
関連記事を含むサイト 

http://tanakayasuo.me/archives/12232

「国土強靱化」「VERDAD」2013年5月号「田中康夫の新ニッポン論」①

http://tanakayasuo.me/top/wp-content/uploads/2013/05/0e24da84a39310770bc5d432d26ad6a8.pdf
関連記事を含むサイト 

http://tanakayasuo.me/archives/10607

「社会的共通資本」 「VERDAD」2018年3月号「田中康夫の新ニッポン論」56

http://tanakayasuo.me/top/wp-content/uploads/2018/03/4a7cdb336435f35eab37f9747355f8b1.pdf
関連記事を含むサイト 

http://tanakayasuo.me/archives/22210

「鬼怒川決壊の『真犯人』は誰か!? 予防医学としての治水こそ新しい公共事業」 「サンデー毎日」
http://www.nippon-dream.com/wp-content/uploads/20150928170844.pdf

間違いだらけの日本の治水・治山まとめサイト

[田中]でも国がやることは福祉でも医療でも教育でも、採算とれなくたって国家百年の為にやることでしょ。

[堀]そうですよ。

[田中]で、ラグビーで「トライ、ニッポン」って言ってたんだけれども、どうも私は「ツライ、ニッポン」になってんじゃねーの?かと。

[堀]確かに。

[田中]で、「夜警国家」ってのは「国はもう必要最小限しかやらねー」と。「それは違いますよ」ってのがフェルディナント・ラッサールって人が、採算取れない福祉や医療を無駄遣いじゃなくて効率的にやりましょうよと。9月20日の官房長官会見、「災害の規模、被害の状況等を総合的に勘案し最も適切な態勢を構築して災害の応急対策に当たっている」、ここまで述べたんだけれども私が付け足したんでもし苦情があったら内閣府の人、言ってきてください、「災害対策本部の設置も関係閣僚会議の開催も不要不急」と。

[堀]これ、田中さんが補ったんですね。

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[田中]これをやるやらないじゃなくて、やっぱり心構えじゃないですか?と。で、なんでこういう社会になっちゃったかというと、実は1979年、40年前から新自由主義というものが始まったんだけれども、その時にマーガレット・サッチャーっていう人は何を言ったかというと「もはや社会なんてものは存在しない(There is no such thing as society)自分で自分の面倒を見るのが国民の義務だ」ってスローガンを掲げてその通りって言って出てきちゃったの。

[田中]これが40年経って日本にも来て自己責任論ってことを言われているけれども、自己責任論ってのは基本的なことをした上で一緒に高まりましょうよってことで、私はこの象徴がやっぱり「これ」になっちゃってんじゃないのかな?と。以前に使ったフリップ。

[堀]「土砂崩れで橋脚が倒壊した高知自動車道の上り線=高知県大豊町」

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[田中]針葉樹ばっかりで間伐してなかったから、立派な道路が作れたってこうなってっちゃうわけでしょ?

[堀]そうですよね。

[田中]ってことを考えたいな、と。

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[堀]いやあもうホントに早急ですよ、国土強靭化なんて言っていたのに、同じ内閣ですよ?

[田中]だからカジノの見える丘公園を横浜に作ることが文明開化だ、って言う前にちょっと菅さん考えた方が良いよって。

[堀]足元の生命と財産を守って欲しい。いかがですか?金さん。

[金]自己責任論って言うのなら税金下げれば良いのに、なんで上げるの?って(笑)。

[堀]我々、払ってますからね。

[田中]あ、そういうことね。全部自分でやりなさいっていうなら税金なんか要らない、パスポートの管理だけすれば良いって話。

[堀]自助・共助・公助ね、随分、自助の割合が増えてきましたね。

[金]だから本当に、小さい政府でも有り得ると思うけど、日本は小さい政府じゃない。でも言ってることは小さい政府のようなことを言うとこういう災害の時にイラっとしますよね。

[堀]どうですか、久保井さん、話を聞いて。

[久保井]やっぱり全国各地で抱えてる問題なんだなってのは改めて。

[堀]そう。

[久保井]どうしても今回、千葉だったんで千葉が、って思うんですけれど、例えば先ほどの高知だったりとか、こういうことが日本全国で今後起こってくるということですよね。

[堀]毎回災害の度に同じ構造で、山が崩れます。

[田中]だから良い意味で国土強靭化はホントにあと5年で全部間伐をして、針広混交林にするってことにお金を使うことこそ雇用なんだよ。

[堀]そこに財政出動していったら良いじゃないかと思いますけどね。ありがとうございました。

*

[堀潤香港レポ]運動の最前線に来ました。丁度若者達がここに集まって来ていますが、この向こう側には武装した警察官達が学生達の抗議行動を迎え撃つという状況です。沿道にですね一般の市民の人たちがスマートフォンなどを持って見ているのが印象的です。

香港で続く政府への抗議活動、昨日は新海地区の商業施設で抗議集会が行われ、一部の参加者が中国国旗を踏みつけてゴミ箱に捨てたり、施設に隣接する駅の設備を壊すなど、抗議活動は過激化。

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今ここで射撃が始まりました。水平射撃で催涙弾を学生に向けて放っています。周りでは学生が火炎瓶などで応酬をしています。大変緊迫した状況です。

夕方から辺りは一変し火炎瓶と催涙弾が激しく飛び交い始めました。若者達はバリケードと火炎瓶で応酬、警察は次々と催涙弾を打ち込んでいます。周辺には多くの一般人も居ましたが催涙ガスの匂いが充満していました。警察がバリケードを強行突破すると学生達は一目散に逃げるように離れていきます。それを追いかける武装警察。そしてその数メートル先でも逮捕者。別の場所では新たに若者達がバリケードを作るとその傍らから火炎瓶を投げ込みます。それに警察官は催涙弾で応戦。

デモが始まってからもう既に半日以上が経過するんですが、あちらこちらでこうした攻防が続いています。

取材の最中、武装警官に追われながら一緒に走った香港人の若者から託されたメッセージ、「日本の皆さんに伝えてほしい。民主と自由。同じ価値を共有できる皆さんだから、そして私は日本が好きだからもっと報道して欲しい。知って欲しい。」

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時刻はもう既に午後10時前なんですが、屯門という駅では今も(抗議行動が)続いています。先ほどですねこの辺りで催涙弾も発射されて逮捕者が出ました。周囲をですね武装した警察官がぐるりと囲んでいる状況です。

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[堀]皆さんおはようございます。時刻は7時を回りました。昨日(香港から)帰ってきたんですけれども、今日から久保井朝美さん、宮瀬茉裕子さん夏休みということでキャスターよろしくお願いします。(香港の状況)よく分かりました。何が分かったかと言うと逃亡犯条例に反対している若者ということでは無くて、毎日のようにメインランド側から移住者が相次ぐ「中国化」に対して、自分の仕事が奪われていく、そして言葉が奪われていく、アイデンティティが奪われていくっていうことに対して、若者達が、今声を上げないと20年後の自分達の未来は無いんだと、そういう危機感からのもので、ですから彼らが五大要求を絶対下げたくないというのは、そこなんだよなということがすごく感じました。お二方、いかがでしょうか?今朝のゲストは田中康夫さん、そして金慶珠先生です。よろしくお願いします。いやぁ田中さん、ゴールをどこに見据えるか?ということで僕も探りに行って来たんですけれども、長引きそうです。

[田中康夫]中国はある意味じゃ連邦制を入れなければ無理なんだけれども、それは一党独裁に反するってことだよね。もっと言うと日本では自由と民主って、同じ名前で一緒の政党があるけれども、自由ってのは正にEUが実験をしたように、パスポート無しで誰もが自由に行き来ができるボーダレスってことですよ。

[堀]なるほど。

[田中]でも民主ってのは何かったら、実はボーダー・コンシャスというかボーダー・フル、それぞれの言語があったり食べ物があったり、慣わしがあったり宗教があったり、民主を認めながら全体として自由ってことをEUは実験しようと、実験というかトライしてたわけですけども、今話しがあったように他の人たちが入ってきてしまうな、ということでボリス・ジョンソン(英国首相)に象徴されるような「自爆テロ」をやるようなイギリスが生まれてきちゃう。

[堀]秩序を重んじる国家体制の維持を、国体の護持を求めてしまうという。

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[田中]だから個々の、もちろん、仰ったような切迫感はあるけれども全体として、もし仮にあそこが中国であり、そして一国二制度と言ってたならばそれをもっと良い、緩やかなしなやかな連邦制を導入できるかどうか、それは他の国にも、日本だって問われてることかもしれない。

[堀]そうですね。大学生たちに話を聞きますと、大学を卒業しても職にありつけないんだ、と。低賃金の仕事しかないんだ、と。なぜなら、メインランド側から来た中国資本の企業はやはり中国から来た人たちが牛耳っていくと。どうしてそうなってしまったのかということに対しての憤りや、国際社会への応援を求めてるようなんですよね。

[金慶珠]ただ、この堀さんの映像を見るとね、私、80年代の韓国の民主化運動、それこそ火炎瓶投げて催涙弾、っていう。

[堀]光州事件があったあの頃。

[金]それを思い出したんですけれども、ただやっぱり堀さんが仰るように、これはいわゆる民主化デモとは若干違っていて、いわゆる反中デモであり反共デモであると。正にアイデンティティっていう問題ですよね。ただ問題はそういう風になってくると、若者を中心にそれこそ自意識の強い若者が香港人なんだ、っていうことを強く訴える一方で、中国本土からどんどん人が来るのは問題かもしれないけれども、でもやっぱりそうやって潤っているでしょ?っていう親中的な声が香港の中にあるのも事実で。

[堀]そうですね。

[金]こういう風にデモが長期化していくと、一部暴徒化しているように、香港の中でも内紛の声がどんどん出てきていると。こうなると中国側にとっては、決して不利な状況ではなく、こうやって支離滅裂になった時に介入して秩序を保つんだっていう名分も機能するわけですよね。だからもちろん若者の気持ちも分かるけれども、どこかでまずはちょっと秩序を維持しながら体勢を整えるというやり方、闘争のあり方についてももう一回考えるべき時点には来ているかなと。

[田中]まあでもそれはね、暴徒化してるのはごく一部であって正に他の人たちは子供を抱いて平和的な(行動で異議申立をしいている)わけですよ。でも仰ったようなことは、つまりガヴァナンスができてないのは香港政庁もそうだし、あるいは代議制の議員もそうだし、もっと言えば中国(政府)もだし、世界中もそうだしメディアもそうじゃないかっていうところの訴えだと僕は思うけどね。

[堀]実際に確かに、一部の若者たちがお店を破壊しようとすると周りの若者たちが必死に「やめろ、やめろ」と「引くぞ」ということで止めたりとか、あとね、周りの市民の人たちがデモに参加すると逮捕される可能性があるから、仕事を奪われたくないと。でも応援したいということでマンションの上からショッピングセンターの上から「後ろに警察がいるぞ」「がんばれ」っていうことを一斉に声援があがっている。

[金]あの、全体が暴徒化していると行ってるのではなく、一部であっても暴徒化するとそれが口実になるんですよ。あと、暴徒化すればするほど共感する勢力っていうのも減っていくわけですよね。だから正にそこが田中さんが仰るようにガヴァナンスの問題が全ての人に問われている。

[田中]だから逆に言えば暴徒化を仕向けている力もどこかにあるのかな?っていうね、陰謀論ではなくてね。

[堀]実際にね疑心暗鬼が現場には蔓延っていて、というのがやはり紛れているんですよね。で、彼らが火炎瓶を投げたりしたり火を点けていく、正に。そういう中でメディアもですね、欧米メディアもものすごくたくさん入ってましたが、もうちょっと日本のメディアも入っていても良いかなと思うんですね。是非皆さん、関心を持っていただきたい。いろんな側面があるかと思います。是非、ハッシュタグ #クロスでご意見をお待ちしています。そうした中、台風が接近しています。

おまけ

お利口な宮崎のマンゴーnot万古w王子の「意識高い系」発言とフジnot宇治テレビへの熊谷俊人千葉市長ツイート

みんなの党➡次世代の党➡日本のこころを大切にする党➡自由民主党の

「真相深入り!虎ノ門ニュース」御用達・和田政宗ちゃんを元民主党と断言した情弱なマンゴー王子

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「註の新たな註」

「いまクリ」と「もとクリ」、その記憶の円盤が舞い続ける時空。ようこそ現在から1980年の東京、そして日本へ❣

「✽文庫本化に際しての、ひとつの新たな長い註。」でお約束した「註の新たな註」は、両書に登場する「字句の解釈」に留まらず、高度消費社会の幕開けから現在に至る時代背景を、
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